百の自分

 影がいくつも出来るから

 僕はその中のひとつだろう

 光がいくつも当たるから

 いくつもの僕が反射する


 スタッフ誰一人居ないスタジオで

 僕ら何かを演じてる

 心の中にそっと降りてくるシナリオを

 一字一句間違えないように慎重に


 考えてはいけない事まで考えてしまうよ

 だからいつだって動き出すのが遅くなる

 随分と周りと差がついちゃった

 だからいつまでたっても一人です


 百の洞穴に潜む百の意識

 心はどこまでも分裂して

 そしてそのどれもがそのテリトリーから出ようとしない

 山が崩れるのは時間の問題だと言うのに


 きゃっきゃっきゃっきゃ おサルさん

 自由気ままに駆けていく

 まるで光の反射のように

 石の僕をあざ笑うように


 少しずつ水滴が石の僕を刺激する

 後何年経てばそこに穴が開くのだろう

 そうすればこの呪いは解けるのか

 それともバラバラに砕け散るのか

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る