敗者の休息

 偽りの光の中でがっくりと膝を落としている

 光には蛾ばかりが集まり

 星たちの見えないこんな夜


 まさか雨が降るんじゃあるまいな

 少し冷たい風がふふふと笑う

 見上げても何か分からない気配だけ


 帰る場所なんてあったっけ

 力をなくした身体を動かすなんて出来ず

 無機質な壁に背中を預けていた


 誰も彼も自分の世界に夢中だね

 微笑ましい光景が目の前を通り過ぎていく

 ああ 時間ってこんなにも長い


 夜を忘れたこの場所で

 空しさだけをポケットに残して

 あはは 乾いた笑いを吐き出した


 車もすっかり通らない

 誰も いや、それはいいか

 ずっと一人には慣れてるさ


 ぽつり 天からの贈り物

 まだ天気予報には少し早い

 ずっかり冷たくなった風がどこかへと誘う

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