銀の夜

 水たまりににじむネオンたち

 有り得ないほどの嘘や偽りを飲み込む街

 誰も本音では生きていけないと


 時計台の針が抱き合う頃

 家々の灯りは次々と消え

 一人 窓の外の月を眺めてる


 静かに優しく月はそこに在って

 太古の昔からきっとそうしていたんだね

 ゆっくり葉っぱが黄色くなっていく

 秋は気付かれないように深くなっていく


 温かいコーヒーが少し恋しくなって

 コポコポとカップに注いで

 この当たり前の風景を眺めてる

 昔の人たちが神話を受け取ったであろう神聖な時間


 人々は夜の街に耐え切れない想いを置いていく

 そうしなければ生きていけない病んだ世界

 本当は月の光に照らされただけでもとけていくのに

 終電を逃すまでしがみつかなくてもいいのに


 月の光は今夜も全てを包み込んで微笑んでいる

 求める者に安らぎの夢を与えてくれる

 三日月小舟は夜の空をのんびりいくよ

 かなしい人たちもみんな見守られているよ

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