ラバたち

 母がウマで父がロバだからわたしはラバだと彼女は言った。おれも合いの子だから気が合った。

 ラバは青い皿にシュウマイを並べ、黄色い練り辛子を添えた。ラバは辛子が嫌いだが、彩りとしてそうした。持っている皿はこれ一枚きりで、青色に合うものしか食いたがらないため。ラバはラバのルールで生きている。おれはそれをかわいそうにも誇らしくも思う。おれは辛子を二倍使った。

 ラバは旧約聖書で活躍する。週末、おれたちは手をつないで隣町へ出かけ、おかずを買う。駅のホームは便所のにおいがひどい。おれたちはかわりばんこにビニル袋へ顔をつっこんで、シュウマイの湯気を吸いこんだ。今夜もひき肉はねっとりと甘く、辛子は鼻にしみるだろう。



(300字)

#Twitter300字SS・お題「食べる」

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