ブランニュー

 朝が来る。コップになみなみ水を汲んで、くすりを飲む。小さな錠剤を飲み下すには一口でじゅうぶんだ。残りはイチゴの鉢にやる。小さな苗は緑が濃く、ふてぶてしい。土が乾いたらたっぷり水をやれとのことだが、毎朝ちゃんとからからになる。しばらく雨が降らないからだ。おれも日照りだ。イチゴと水を分けあっている。


 日めくりをやぶる。うまくない。ちぎれて残った昨日の欠片を、引っ掻き、とりのぞく。さっきイチゴの苗からも余分な花を摘んだ。これからふくらむ果実はちくちく毛羽立ち、おれを睨みつけていた。やつは自分を竜の仔だとでも思いこんでいる。爪にはさまった昨日がぽろぽろ紙ふぶきになりながら、「あんたたちよく似ている」と笑った。


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