外側で点火

 林間学校なんて。山登りで足をくじいてしまったため、キャンプファイヤーは遠目で眺めるしかなかった。即席保健室のバンガローで留守番。

「コロブチカなんて踊りたい?」

 踊りたくはない。でもみんなで火を囲んで、じりじり頬を赤にして、ざわざわして、夜だよ? つまんないって文句は輪の中で言いたかったんだ。

「ま、私はダメって言われてるから」

 そうつぶやくクラスメイトのことはよく知らないが、両親の信じる神さまの関係で、してはいけないことが多いらしかった。

「代用品」

 そうして彼女は隠し持った白色に火をとぼす。小さく赤くまたたいて、煙はほそい。

「きれいでしょ」

 チョコレートのにおいのタバコのことは、神さまにもゆるしてほしい。



(お題:火)

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