神さまたちの視線——上野、クラーナハ展
ヴィーナスはこちらを向いてわずかな笑みだ。ほっそりした身体はまるで少女、いつかの教室どこかの街角の既視感で、神ではない。のが、逆説的に聖性を溢れさす。板に描かれた絵だという。はてしない海と時間を渡って台東区へやってきた。
冬の迫る公園は銀杏のにおいも薄れて灰色。最後に動物園に行ったのはいつだったろう? 母とパンダを眺めたのと同じまなこは今日ひとり、500年前の視線に焼かれた。噴水広場では制服の少女たちがにらめっこしている。ここではあらゆる視線が飛び交うけれどおおむね喜と楽で平和。
展覧会では板絵の修復に関するビデオが流れていた。もちろん公園を歩くわれわれの時間を修復しはしないし、白黒の熊だって神だ。
(お題:絵)
クラーナハ展を観に行って想起したもの。
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