第4話 活動内容①
次の日
昨日は、約束していた時間よりも遅く家に戻ったので、母は少しだけ寂しそうで心配そうにしていたけれど、高校生になったからそこまで一緒に夜いなくてもいいよ宣言が聞いたのか、根ほり葉ほりは聞いてこなかった。
母がご飯を作ってくれていたので、一緒にご飯を食べて学校がどうだのっていう他愛のない会話をし、お互い寝る準備とかをしながら、眠りについた。
法明寺にも伝えた通り、可能な限り普通の高校生の学校生活は送る。大学も目指す。塾行ったり放課後以降勉強に使う時間はないと暁美は思ったので、とにかく学校では一生懸命勉強する。
幸いにも暁美の学校は大学進学率の高い高校だったので、すごい真剣に授業を受けていても浮くことはなかった。
高校生といえば、本来望んでないことでも浮いてしまうことを嫌がって自分がしたいと思っていないことでもしなければいけない時もあるので、そう言った意味では、この高校の環境はありがたかった。
その代わり、部活も入らなければ、休み時間も勉強に時間を使ってしまっていたので、ぼっちは確定ではある。
放課後、周りから少し声かけられるも、ごめんね、この後バイトで。っとごめんごめんアピールをして、法明寺事務所にまっしぐらに向かう。
学校がちょうど、家と母の会社の乗り換えの駅、そこに法明寺の事務所があるが、乗り換えの駅と家の間にある高校ので、15分20分で向かうことができる。
この距離でかかる電車賃が定期で行けたら最高だったんだけどなーと暁美は思いながらも出来高でなんとかアルバイト代に近いものを得られるので、早く結果を出したいと思いながら法明寺事務所に向かう。
「おはようございます」
暁美は元気よく法明寺事務所があるマンションの部屋の扉を開け、廊下を歩き1Rの前のドアを開けると、昨日と同じ状態でゴミ部屋のところで法明寺が寝ているのかと思いきや、部屋のドアを開けてすぐ左手前にあるデスクで法明寺がノートパソコンをパチパチ叩いていた。
「あ、普通にこの時間帯に仕事していることもあるんですね」
とにかく法明寺に馬鹿にされたくない暁美は舐められない関係値を作っていくために、しばらくは毒をはけるところははいてやろうと誓っていたので、一旦しっかり仕事している法明寺の仕事している姿への毒のコメントをプレゼントしておく。
「あ、あーそうだな」
暁美の思惑なんてなんのその興味もなく、法明寺はパソコンをパチパチし続ける。
張り合いがないなーと思いながら、やることがないので暁美は
「とりあえず、この汚い事務所掃除しますね」
何にも返答してこないので、やって大丈夫だろうと判断して掃除し始める。勝手に色々収納とかを開けると、掃除機や雑巾やゴミ袋もあったりするので、部屋を掃除する物資は揃っているんだな〜なんて思いながら、ゴミ部屋の掃除をこなしてく。
なんだかんだで3時間ほど掃除をして、人を招き入れるのに恥ずかしくないレベルの綺麗な部屋の状態まで持っていく。法明寺はあいかわらずパソコンに集中しているようで特にリアクションもない。多分部屋が綺麗になっていることに気づいていない様子だ。
部屋を綺麗にしてとりあえず一本仕事こなした感になった暁美は、掃除の最中に大抵の場所とかも理解したので、自分でお茶を作って、ソファでお茶をすすりながら一休みする。もちろん法明寺のデスクにお茶をおいてあげる。あーサンキュ。なんて言っているくらいなので、それくらいの意識は多少向いているみたいだった。
お茶をすすってのんびりするのも終わり、時間も19時を過ぎていたので、帰ってもよかったけど、今日は母も遅いようなことを言っていたので、終電までに帰れればいいや。っと思い、何かを言われるまで待とうとして待っていたら暁美はウトウトして眠ってしまった。
「おい、、、、、おい、、、、、」
気持ちよく夢うつつな状態で身体の揺れを感じた暁美は
「あ、ひゃ、ひゃい」
「おい、なぞの擬音で目覚めてんじゃねーよ」
起きたての擬音を指摘されても。と意識のどこかの自分が法明寺に突っ込みながらも暁美は目を覚ます。
「あ、眠っちゃってましたね。パソコン作業は終わったんですね」
「あー終わった」
暁美を起こし終えた法明寺は、暁美の向かいのソファ席に座りたばこに火をつけて一服し始める。
「どうですか?部屋」
「あー、、、、」
部屋を見回しながら
「綺麗になったな」
法明寺はなんとも興味のないリアクションで返答する。
え、なんで??こんなに綺麗になったんだから素直に喜ぶなり感謝するなりないの?
今更部屋全体みたりして、さっき私を起こす前にこれだけ変わっていれば気づくでしょ。
あーやっぱりこのおじさん、ムカつく。
「もっとなんか言ってくださいよ」
心の声とは別に言葉でも一応何かを求めてみる。
「あーそうだな。やることなかったもんな」
違うでしょ。なんでこのおじさんは、ありがとうの一言が言えないのよ。
「はいはい。そうです。やることなかったんで掃除しました」
「なに、ふてくされてんだよ。お前かまってちゃんか?」
少しだけまた小馬鹿にしたような笑いを浮かべ、にやにやしながら聞いてくる法明寺にまたもや怒りを隠せない暁美だったが、別に法明寺と仲良くなるためにここで働いているわけじゃないから気にするのをやめようと、しかめ面をしてしまっている自分もいたが、唇を噛み締めて下を向き、表情を元に戻して
「かまってちゃんなわけないじゃないですか。別に不機嫌じゃないですよ」
っとあくまでも本人の中でのポーカーフェイスを気取って答えた。。。。。つもりだったけど、結局あからさまな不機嫌な態度をとっていると思う。
「それで、今抱えている事件とかってあるんですか?」
暁美はそろそろ。というかまだ初日だが、いつまでも雑務担当ばかりもやりたくないので、事件のことを聞いて見る。
「あ、事件か、事件はないなー」
「え?ないんですか?じゃ、じゃ、じゃーさっきまでパソコンで何やってたんですか?」
驚きを隠せずについついソファから前のめりになって法明寺にツッコムように確認する暁美。
「パソコンはなー。実は俺、心理カウンセラーやってんだよ」
にひひ。と笑いながらドヤ顔でピースして暁美の質問に答える法明寺。
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