第11話   お山の不思議

 今から四年ほど前の夏のことです。

 まだ仕事を引退する前で、比較的元気だったころです。

 ある日、ふっとした思い付きから、

 中国自動車道を延々と走って、広島県の庄原市にある「葦嶽山」という標高815メートルの山に登りました。

 ただし、途中までは自動車で登れるので、実際に歩く距離はそれほど長くはありません。登山道も整備されていて、素人でも難しいというコースではありません。

 ただ、最後に頂上に上がるところだけが、ほんの少しだけ「山登り」という感じになっています。

 815メートルというと、東京スカイツリーが634メートルですから、結構な高さです。

 頂上部は、それほど広くはないのですが(狭い!)、それが、なかなか「やった、お山の大将」だなあ、と感じるさせる要素なのです。

 実はその先、少し反対側に降りたところに、割と知られた巨石群があるはずだったのですが、軽装だったこともあり、なんとなく嫌な感じがしたので敬遠して、下山することにしました。

 ところが、頂上から登山道に降りる、ほんの少しの急坂で、うっかり転落してしまったのです。

「おわ、これは頭から転がる。骨折間違いなし。下手したら、もう終わり。」

 と感じるほどの暇がありました。

 ところが、ここの瞬間が、非常に不思議なのです。

 完全に転がったな、と思ったのに、体がふわっと浮いたようになり、まったく上手い具合に、お尻から「すとん」と座り込む格好で着地しました。

 おかげさまで、足首を少しひねった程度で、そのまま登山道を下り、車のところまで問題なく帰り着き、帰宅の途に付けたのです。

 偶然といえば偶然ですが、あの「ふわっ」感は何とも不思議です。

 ド素人が思い付きで山歩きをしようとしたのを、山の神様か、あるいは、たまたま山の中に駐在していた宇宙人さんが、助けてくださったのかもしれません。

 やはり、整備されたコースであっても、この位の山になれば、きちんとした準備が必要と実感し、それ以来、お山には踏み込んでおりません。

 

 この「葦嶽山」は、かなり昔のこと、酒井勝軍さまとおっしゃる方によって、二万三千年前の「ピラミッドである」として認定されたことで知られていまして、(1934年の事とか)「日本ピラミッド」と呼ばれているとのことです。

 このあたりの事情については、ある種の、思想的な背景もありそうなので、ぼくは細かいところには立ち入らない事に致しますが、いずれにしても、あれでたいしてケガもなく済んだのは、まったくありがたい事でありました。


 ところで、何を書こうとしているのかというと、さっぱりもう、わけがわかりませんが、岡山県の熊山町というところに「熊山遺跡」というものがあります。

 こちらは、標高508メートルの「熊山」の上にある、階段状のピラミッドが知られています。

 これは、自然の「ピラミッド」じゃなくて、人工物です。

 ぼくは、山陽自動車道経由で行き、「これなども二万年位前のものだったりしたら興味深いよなあ」、などと思いながら自動車で登りました。すれ違いはまず無理という狭い登山道ですが、こちらは頂上近くまで車で登れるのがありがたいです。立派な駐車場も整備されています。

 実際見てみると、非常によくできた石積ピラミッドで、奈良時代前期に作られたものだろうというお話です。

 実際に目で見れば、「一万年とか二万年前、ということは、まあないよなあ」、と感じますが、非常に不思議なものであることは間違いありません。

 この山の一帯には、かなり多数の石積があるという事ですから、古代の信仰に大きく関わっていたのでしょうけれど、詳細は解りません。

 「葦嶽山」とちがって、頂上部は非常に広く、ゆったりとしています。

 展望台に、ひとりで座ってぼうっとするのも、天気さえよければ最高だと感じましたが、登山道を走るのが、ちょっと恐怖!だったので、二回目を行くことは、ないだろうなあ、と思っております。

 残念ながら、どちらも「UFO」には出会えませんでしたけれど。

 

 























 






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