第11話 回合、第一次実験テスター3
ほどなくして会議室の中央に立った、僕とせとかに視線が集まる、僕は緊張をほぐすため先ほどの御陵君よろしく、一つ深呼吸をしてみるがうまく緊張がほぐれない、ますいまずいどうする!と少しテンパりそうになっていると、不意に御陵君の席の方から
「やっぱあれ○梨々だよな、うん〇梨々だわ、はあ~~、やっぱ英〇々もイイ」というリビドーが小声で漏れ聞こえてきたので、少しそちらに視線を向けてみるとなんとも恍惚とした表情をこちらに向けている御陵君が確認できたが、次の瞬間、溶けたアイスのような表情を浮かべていた御陵君が「イッッー」と奇声をあげた、どうやら隣の紅葉さんに強めに足を踏まれたようだ、同胞たる御陵君に同情の視線を送ろうとして、気づいた、いつの間にか体のこわばりが消えている、よし!今がチャンスと口を開いた。
「初めまして、灰谷誠二といいます。年は27で、出身は京都です、趣味は御陵君と被ってしまうのですが、アニメ、マンガ、ラノベの鑑賞です、認定障害はアスペルガー障害です、えっと、最近改めて調べたんですけど今は自閉スペクトラム症というでしたっけ、主な症状は手先の壊滅的な不器用さ、運動神経の破滅的な悪さ、立体平面を問わず空間把握が苦手で、計算も遅いです、あと意味の伴わないものの暗記と複数のことを同時に行うこともとても苦手です。」
「少しいいですか?」
僕がそこまで言い切った後に姉小路さんが問いを発した。
「はい、どうぞ」
「意味の伴わない暗記とはどういうことでしょう?」
「えっと、例えば、りんごは英語でappleですが、僕は生まれも育ちも日本なので、これを覚えるときはappleという僕にとっては意味のない塊を日本語ではリンゴだと関連付けて覚えるわけですが、これがあり得ないくらい記憶に定着しないんです、逆に少しでも意味が通っているものは結構容易に記憶に定着して今でも脳にこびりついているくらいです、例えば、「いろは歌」とか。」
と姉小路さんに応答していると「あの~」と言いながら御陵君がおそるおそるといった感じで会話に入ってきた。
「にわか知識なんですけど、それって強い興味があるものや、好きなことなら強く記憶しておけるって特性なんじゃ?」
と言われると、そういえば自閉スペクトラム症にはそういう特性もあったことを思い出して、「ああ、なるほど~」というと姉小路さんも「私もその可能性が高いと思いますよ」と同意を示し「つまり、障害の深度では私と御陵君が軽障害の中でも重いほうであり、灰谷君は軽い方であるが、障害の範囲は私と御陵君は狭く、灰谷君は広いということになりますね。」と話をまとめたところに、「質問終わったの?じゃあ次は私の自己紹介ね!。」とせとかが意気揚々と声をかけてきて、
「誠二のEP、№3河村(かわむら)星(せ)都(と)夏(か)よ、チームのメンバーと良い関係を築いていきたいと思っているわ、これからよろしく!」と実に快活な自己紹介をかました。
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