第10話回合、第一次実験テスター2
自分以外の二人のテスターからの回答を聞いた後、彼女は微笑みうなずいてから
ゆっくりと語りだした。
「では、まず言い出しっぺの私からですね、私は先天性の経度痙性型脳性まひを患っていますので、手足が思うように動かず、握力もすごく低いです、でも知的障害などの他障害の併発はありませので、会話や意思疎通は普通に行えます、移動は
車椅子での移動がほとんどになると思います、いろいろとご不便をおかけしますがどうぞよろしくお願します。と語ったのはいいものの、正直、手足が満足に動かない私にEP計画の事前説明で聞いたような重篤脱税犯の検挙なんて今ここに至ってもできる気がしないのですが……。」
と彼女は苦笑いでいったん話を締め
「では次に私のパートナーの自己紹介を聞いてあげてください。」
と自らのEPに話のバトンを渡した、そのバトンを受け金色の髪と翡翠の瞳を持つ長身の男性は丁寧なしぐさで語り始めた。
「だだ今ご紹介にあずかりました、十六夜様のEP、№1リチャード・スミスです。主人ともどもこれからよろしくお願いします。」
二人分の挨拶をすますとリチャードさんが十六夜さんの車椅子を押して二人は座席に戻っていった、その姿を眺めながら僕はずっと気になっていることがあった。
そう!!僕のEPせとかが○村・○ペンサー・○梨々にそっくりなように、
リチャード・スミスはアー〇ー・〇ンドラゴン・〇ロトタイプにそっくりだった。
最初にああいう手紙がきて、連れているEPの姿がああなら僕と似たような感性の人なのかもしれない、つまりそういう
そうこうしているうちに姉小路さんが立っていた位置に二人目のテスターが進み出ていた。彼はその場で一回深呼吸するとゆっくりと喋りだした。
「えっと、名前は
という御陵君の緊張気味の挨拶が終わると、彼の横に立っていた長いストレートの濡羽色の髪に紅い瞳を持つ長身の美女が静かに語り始め、
「薫君のEP、№2黒緋(くろあけ)紅葉(もみじ)よ、以後よろしく。」と簡素に過ぎる挨拶を行った、これはさすがにまずいと思ったのか、パートナーの御陵君が「紅葉さん、もうちょっと柔らかく挨拶できない?」と苦笑いで紅葉さんに声をかけていたが、紅葉さんは取り付く島もなく「無理ね」とそっけなく答えていた。普通これからチームを組む相手にこんな挨拶をされたら多少なりとも不愉快な気持ちになるものなのだが、この時、僕、灰谷誠二は歓喜の感動に打ち震えていた、なぜなら、「霞ヶ〇〇羽先輩だあ~!!!、ひょ~!!!×△○×××」
そう、何を隠そう、御陵君のEP、紅葉さんがどこからどう見ても〇ヶ丘詩〇先輩だったのだ!!!、あまりの歓喜に脳が震え涙が流れだし、何言ってんのかわからなくなる始末。
しかし灰谷誠二にとってこれは本当に致し方なきことなのだ、だって僕最初にEPの姿を決めるとき○梨々か〇羽先輩かで丸二日悩みに悩んで、血涙を流しながら○梨々にきめたんだもん!!その涙を流しながら切り捨てた未来の可能性が目の前に現実のものとして降臨している!!これで歓喜し脳が震え涙しないやつは人間じゃないね、はあ~サイコーと妄想の世界におもいっきりダイブしていた僕の背中に強烈な平手打ちが叩き込まれた。
「オウギャー、ぐおおお」
最初強いショックに驚いて奇声を発し、すぐに痛みで呻くことになった僕を呆れた顔で見つめパートナーがいう
「なにデレデレ締まりのない顔してんの!ただでさえあまり良いとはいえない顔なんだからせめてシャキッとしなさいよ!」
「いっっぐざくとりー」
と答えると彼女は一つため息を吐き
「ほら、大取り、私たちの番、いくわよ」
といい席をたったので、痛む背中をさすりさすり慌ててついていった。
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