第7話EP計画始動!!

「さて、じゃあ、EP計画の具体的な支援の内容の話に入るわよ」

と星都夏は握手を解いて、腰に手を当て、少し得意げに言った。

「ああ、お願いするよ」

僕は若干緊張しながら答えた。

「まず誠二、あんたは今やってる警備のバイトを辞めたら、国税庁内のEP計画管轄部署に入るのよ」

そんな僕に対し彼女はいきなり特大の爆弾を落としてきた。

僕はショックでフリーズした脳をなんとか再起動させるため、大きく深呼吸を二回繰り返し、彼女に尋ね返した。

「国税庁ってあれだよね、あの東京にあって全国に支局持ってて、日本の税金関係の総元締めやってるあれだよね?」

彼女は僕の返答を聞くと軽くため息を吐き言った。

「ほかにどんな国税庁があるのよ、あんたの言ってるそれであってるわよ」

僕は間髪入れずに震える声で言った。さっきから動悸が激しい。

「でも、国税庁の職員っていったら、国家公務員だよ、エリートだよ」

そうだ、現在時給950円の3Kバイト労働者(アスペルガー症候群付き)の僕からしてみれば、国家公務員なんて職業は自分とは到底同じホモサピエンスという種だとは思えない超絶エリートの集団というイメージしかない。そんなエリート集団の一員に僕を加えるという、そんなエリート集団の中で僕が必要とされているという

アスペルガー持ちで運動神経最悪、手先は壊滅的に不器用、体力もあまりない

時給950円の警備のバイトの中ですらあまり役に立ってないこの僕を……

僕が間髪入れずに返した返事に彼女は口角を上げて、ニッと快活に微笑みながら力強く言った。

「そうよ、あんたは国家公務員になるの」

彼女のその笑顔を見たとき、不覚にも僕の瞳からは本日二度目となる熱い熱い塩水が流れ出ていた。それを見咎め優しげな顔で彼女はいう。

「はあ~たくっ、あんたその感極まったらすぐ泣くくせ、少しずつでいいから直しなさいよ」

僕はいまだ止まらぬ塩水を服の袖でぬぐいながら必死に答えた。

「ぶぁい」

結局彼女は僕が落ち着くまで話の続きを待ってくれていた。


数分後、やっとこさ気持ちの高ぶりが落ち着いた僕は彼女に話の続きを促した。

「取り乱してすいません。続きをお願いします。」

「OK、で国税庁のEP計画管轄部署に所属したら、そこで社会貢献活動、つまりお仕事をしてもらうわ、ちゃんとそこそこのお給料もでるわよ、内容はそうね~ま、簡単にいうと重篤な脱税犯の検挙ね」

「脱税犯の検挙??、ずいぶん物騒な仕事内容ですね、というかいくら国家公務員とはいえ、警察でも検察でもない人間がそんなことしていいんですか?、それに重篤な脱税を行うような人たちでしょ、中にはかなりやばい人たちもいるんじゃないですか?、僕とてもじゃないですけどそんな人たちを身一つで制圧なんかできませんよ!」

僕は必至で彼女に訴えかけたのだが、

「そこは心配しなくて大丈夫、ちゃんと検挙してもいいって法律も整たし、どんなやばいやつでも制圧できるように強力な装備を貸与するわ」

と彼女は自信満々にそうのたまったのだ。

「まじですか」

「まじよ!ってことで三日後にこれから仕事をしていくためのもろもろの手続きと貸与品を受け取りに一度東京の国税庁に行くから、それまでにバイトやめて身辺の整理もしておくこと、OK?」

「了解しました」

「よし、じゃあ三日後の11時にこのカラオケの前で集合したのち

国税庁直行よ」

そして三日後、もろもろの身辺整理を終えた僕は、地元のカラオケボックス前で彼女とおちあい、新幹線で一路東京を目指していた、その新幹線の車内で唐突に彼女がきりだした。

「あ、そうそう、最初の通達にも書いてあったと思うけど、EP計画第一次テスターはあんたの他にあと二人いるからね、で、当然その二人にも私と同じEPが一機ずつ貸与されてるから、実質六人で仕事にあたることになるわ」

「はあ、なるほど、で、残りお二方ってどんな方なんですか?」

「それは、私も知らないわ、ま、本部は知ってるんだろうけど、今のところEP間で情報の共有はされてないわね、とっ、いってるまに東京ついたわよ。」

京都から約2時間、僕たちは首都の地を踏んだ、と思った約30分後には国税庁の前にいた。










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