模擬戦 (2)
ちひろ「(くそっ…ドジっ子発揮しちゃった…こうしてる間にも向こうは間を詰めてくる…急いで隠れないと)」
はぎれ「(しまった…気を抜いて吐血しちゃった…たぶん、ちひろくんはもうすぐ近くまで来てるはず。いったん身を潜めよう)」
骨「すげぇ…開始位置からほぼ動いてないから相手との距離は結構あんのにお互い隠れてる……」
骨は心底感心した様子だが、他のメンバーは苦笑せざるを得なかった。
校内敷地にある屋外フィールドは決して大型ではないが、体育館くらいの広さはある。
バリケードが転々としており、少々入り組んだCQBフィールドと言ったところか。
索敵がメインのフィールドだが、バリケードもお互い隠れて動かないとは思ってなかっただろう。
ぴの「あ、うごきだしましたね」
チキンレースから一転、ちひろはフィールドを左から、はぎれは右側から攻め始めた。
このまま行けば確実に2人はかちあう。
しかし、それははぎれもちひろも直感でわかっていた。
ちひろ「(はぎれさんにはこのルートしかない。最弱なぼくは同じく弱者の気持ちがよくわかる)」
はぎれ「(おそらくこの先にちひろくんがいる…。だって、わたしならそうしてる)」
先ほどと打って変わって、隠れることなどせず一直線に相手に向かっていく2人。
骨「おぉ!まるでお互いの位置がわかってるみたいな動き!これは出会い頭に決着が決まる!!」
殿「ちょっと、うるさい」
旧校舎視聴覚室で試合を観戦してる骨は鼻息荒く実況を始めていた。
そして2人は、とうとう一枚のバリケードを挟んで背中合わせになった。
ちひろ「(おそらく…)」
はぎれ「(この向こう側にいる…)」
蟷螂は教師の目線で、以外にも素直に驚いていた。最弱と病弱。ふたりのシンパシーがここまで合うとは思っていなかったからだ。
ここまで相手の動きが理解できるとなれば、共闘時には強力なコンビネーションがみられるかもしれない。
ちひろ・はぎれ「(今だ…!)」
二人は同時にバリケードから飛び出す。そして邂逅。その距離、2m未満。
派手なデザートイーグルの銃声と、静かなソーコムの銃声が和音を奏でる。
骨「は!?この距離でお互い外した!?」
殿「もう!うるさいって!あと立ち上がらないで!見えないでしょ!」
さっちゃー「いや、外したんじゃない。この距離でお互いが避けたんだ」
ちひろ「やっぱり、肩をねらってきましたね」
はぎれ「ちひろくんこそ、靴を狙ってくるなんてずいぶん紳士なんだね。」
2人はニヤリと笑い合う。
まだ決着はつきそうにない
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