職員室


座っていてもわかる巨漢と、髪をくくった白衣の男が話していた。


「どうです?こうやってコーヒー入れるとサイフォンみたいでしょ」


「はっはっは!そりゃあ美味そうなコーヒーだ。こんど俺のつくったハーブティーもご馳走するぜ」


「ははは。見かけによらずオシャレなことをするんですね。」


「ちげぇねぇ!はっはっは!」


大男が笑うたびに、彼の椅子がぎしぎしと悲鳴をあげる。

しかし、彼はスッと目を細めると先ほどまでの豪放磊落な雰囲気とはうってかわって、緊張を孕んだ声色で呟いた。


「いやぁ…しかし、温厚な顔して作っちまう先生には勝てねぇなぁ…。」


「いやぁ、ははは。褒めてもらって嬉しいですよ。でね---」


白衣の男が、まるで死神のような雰囲気を放つ。


「これを、例の彼女に与えてみようかと。」


「………さすがに、笑えねぇぜ。そんなことしたら、骨川がだまってねぇんじゃねぇか?」


「えぇ…もちろん。だから、与えるのは彼女に、です。でも、これを使うのは………ね?」


「--なるほどな…。しかし、成功すんのか?これ」


白衣の男は流石に笑身を浮かべたまま答えなかった。


コーヒーは、冷めていた。


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