廃工場 起

ナル「はぁ?それってつまり…ゾンビ??」


蟷螂「そう呼ぶにはいろいろと問題があるが、まぁ、概ねそう捉えてもらっても構わない。ある研究所で人間兵器をつくる、みたいな実験が行われていたらしい。今回はその研究の過程で生まれた失敗作の掃除が任務だ」


骨「へぇ…しっかし、人を食べる人って、それじゃまるっきりゾンビじゃん」


夕暮れの旧校舎。とある教室で、まさに作戦会議が行われていた。

今回ばかりは全員参加の会議である。ちひろはSkypeだが。


呟いた骨は、しかしゾンビとはかけ離れたひどく現実的なことを考えていた。


骨「(その、実験も、人を食べるって作用も、まるで…………)」


蟷螂「今回向かうのは海沿いの廃工場。かなり大規模な構造をしている。さっちゃーの話よるとどうやらこの地下に、その実験施設があるらしい。そこを叩くぞ。」


ちひろ『依頼人は?』


通話越しにちひろが呟く。


蟷螂「教頭。の、さらに上かららしい。詳しくは知らされてないが、われわれ自殺部隊には関係ない。今回も死ににいって帰ってくるだけだ。大規模な作戦になる。今回は全員で行くぞ。殿、はぎれのバックアップと薬は頼んだ。彼女の力が、いざとなったら必要かもしれない。」


殿「わかりました。」


蟷螂「では、7時間後のフタサンマルマルに作戦を開始する。それまで待機だ。」


一同「了解」


骨は、確信していた。研究所の正体と、これから駆除しに行く相手の本質を。


骨「(大本が叩けるかは分からない。けど、有力な情報が得られるかもしれない…)」


普段、飄々としている骨が、嫌に口数が少ないのを気に止めるものはいなかった。





--その数時間後、旧校舎保健室


???「やぁ、きみがはぎれくんかな?」


はぎれ「はい…そうですが…あなたは?見たところ教師のようですけど……」



???「ははは。ぼくの白衣は飾りじゃないよ。きちんと本校舎で化学を教えている立派な先生さ。ところで…

…君に渡したいものがあるんだけど。」

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