化学準備室にて

夕暮れの科学準備室-----


へろりん「おや?ここは生徒立ち入り禁止…って、なんだ、君か」


「いやぁ、寝坊しちゃって」


今日も今日とて放課後に登校してきたちひろは、自殺部隊のミーティングまでの時間を科学室で潰すことにした。


へろりん「君はよくここに来るけど…そんなに面白いかい?この部屋」


「ぼくは好きですよ。薬品に囲まれた部屋はマダラカルトを思い出しますし、なんとなく落ち着きます。それにせんせーのM9見るのも好きですしね」


へろりん「ははは。まぁゆっくりして行ってよ。ビーカーで紅茶を淹れよう」


夕日が差し込む科学準備室はノスタルジーそのものでまるで世界から切り離されたこのような時間が過ぎていた。


へろりんは、この欠席常習犯遅刻魔が、とある『部隊』に所属しているのを知らない。

----知らない。が。


「紅茶ごちそうさまです。ぼくはそろそろ帰りますね。」


へろりん「わかった。気をつけて帰ってね。それと-----」


「?」


へろりん「"早起き"は、ほどほどにね。」


「!…………わかりました。」


へろりん「それじゃあね。僕があげた『科学室出入り許可証』無くさないでおくれよ」


「…はい。それじゃせんせ、さようなら」


科学準備室を後にしたちひろは、嫌な汗をかいていた。どこまで鋭いんだ、あの先公は、と。


夕暮れに照らされて、へろりん先生からもらった科学室出入り許可証が、妖しく光っていた。

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