冷たい密室と博士と助手
草々緋美
閉じこもり
「さて、調査を始めましょう、博士。」
砂漠地方の地下に存在する、バイパス。
ここに助手と一緒に来ていた。
二手に別れるほど道はなくてまっすぐだ。
暗すぎて夜目でもギリギリ分かる程度。
「とりあえず進みましょうか、助手。」
「どこまで続いてるんでしょうか。」
バスでも余裕で通れる広さだ。
出口は遠くまでないようで、長さは不明だ。
乗り物用に作られた場所なのだろう。
しばらく歩いてるうちに、少し開けたところがあった。
扉が少し開いてる。
下に何か挟まっていた。
「なんでしょうか、これ。」
ミミちゃんが持ち上げると扉が動いた。
「何やってくれてんだてめーら!」
扉の向こうから声が聞こえたが、閉まったため何がいたのかはわからなかった。
「全く、とても偉いけもの様である博士に向かって失礼なやつなのです。閉じ込められて当然なのです。」
全くその通りだ。
「さらに先へ行きましょうか。」
「はい、博士。」
さらに奥へと進んでいくがいっこうに明るくなる様子はなかった。
ところが、かすかに風を感じた。
「博士、どこからか風がきています。」
「そのようです。壁を調べながら進んでみましょう。」
ミミちゃん助手が左側を担当して、右側に注意しながら進む。
少し進んだところに穴があった。
「穴を見つけました。」
「さすが博士なのです。」
褒めたところで何も今は上げられない。
一緒に入るには小さすぎるので、別れて入る。
丁寧な入り口になってないところから、壊れてしまったのだろうと考えられる。
ラッキービーストはこのあたり直さない。
穴をくぐリ少し進むとほんのり明るい空間にたどり着いた。
図書館よりは低いものの、飛ぶことができるほどの高さだ。
「こんな場所があるとは驚きですね。」
「想像したとおりのものがありそうですね、博士。」
大きな箱がまずあった。
まだ奥の方に進めば何かありそうだ。
この箱はなんだろうか。
一周してみたが、穴は空いていない。
中に何かはいってるかもしれない。
箱を一面の一箇所、何か飛びて出るとこがあった。
握ってみた。
何も起こらない。
握ったあと動かしてみた。
手前に引くと、動きそうだった。
ただ、動く気配はあるが動かなかった。
「博士、手伝います。」
ミミちゃん助手と一緒に引っ張る。
少しずつ手前のほうに開いた。
最後はちゃんとした扉になった。
「意外と重かったですね、博士。」
「そうですね、助手。そしてとても冷たい風が通っていくのがわかる。
中が暗い。
何があるのかはよく見えない。
しかし、入る選択肢を選ぶには決まっていた。
「入りますか。でも暗いですね、博士。」
ドアの周りを観察する。
不思議な出っ張りがあった。
そこを推してみた所、中が明るくなった。
「おお、明るくなったのです。」
「これで中を探検しましょう。」
先に中に入る。続いて助手がやって来る。
中にはまた箱が沢山積まれていた。
下から上まで、壁沿いにびっしりを積まれている。
箱の形をしていなくて、袋の中に入っているのもあった。
「これ、じゃぱりまんですかね。」
助手が袋をあけて中に手を入れて取り出す。
「これはじゃぱりまんのようです。ただとても固いです。」
手を入れて同じように取り出してみる。
確かに固い、そして冷たい。ずっと持っていられない。
その時、大きな音がした。
小さな振動とともに何かが起きた。
振り返ると、さっき苦労して開けたドアが仕舞っていた。
「ドアが閉まっているのです。」
「仕方ありません、また開ましょう。」
その言葉に賛成だったが、さっきと違って引っ張る所がなかった。
「さっきと作りが違うのですよ、助手。」
「困りましたね、博士。しばらく待ちましょうか。」
試しに持っていたじゃぱりまんを投げつけてみた。
ゴン、と音がしたが特にドアには変化がなかった。
時間がたったら開くかと思い、待ってみたがそんなことはなかった。
むしろ時間が立てば立つほど、どんどん寒くなる。
身体も冷たくなってきている。
助手の方を見る。
震えていた。同じだった。
息が白い。
いつまでこの状態でいなければならないのだろうか。
野性解放してドアに向かって攻撃をしてみた。
少し削ることができた。
だけどこの寒い状態で続けるのは難しい。
あんまり動きたくない。
中を見渡す。何か外に出る手段はないものか。
そこで端っこに何かいるのが見えた。
「そこにいるのは誰ですか?」
近寄っていく。助手も後ろについてくる。
「ラッキービーストですね、博士。」
ラッキービーストが3ついた。
全て動いていない。死んでるようだ。
同じように脱出できなくて動けなくなってしまったのだろう。
「こうはなりたくないですね。」
その通りなのです、助手。
だから出なくては。
何度か助手と一緒にドアに攻撃をしてみた。
へこんでいくのがわかったが、あの重かったドアを壊すまでには時間がかかりそうだ。
何か良い手段はないのか。
「まるで、雪山地方みたいですね。」
「そうですね、助手。あそこもこのように寒いのでしょう。」
寒さ対策なんてしてこなかったから寒い。
助手とくっついてみると意外と温かい。
「博士とくっつくと温かいですね。」
同じことを考えていたようだ。
一緒に温めあって少し体力が回復した。
再び、ドアに攻撃をしてみた。
もう何度もできることではない。
じゃぱりまんが食べれれば続けることができるけど、今あるやつは固くて食べれない。
助手と一緒に攻撃したところで、反応があった。
もう諦めてしまおう、そう思ってたときの反応。
それにきづいて助手は何度も攻撃をした。
すると、なんとドアが開いた。
「さすがです、助手!やったのです。」
「ありがとうございます、博士。」
助手の息は細かった。
「誰かいるのかーって、誰だおまえら。」
「誰だとはなんですか、ツチノコのくせに。」
「オレのこと知ってるのか?」
「見ればツチノコ以外にないのです。何はともあれ、助かりましたのです。」
ドアが開いてツチノコを見た時にぐったりとしてしまった助手を支えながら外に出る。
「何だここ?すごい寒いじゃないか。」
「入って調べようとしたらドアが閉まってしまったのです。」
「あー、よくあるやつだな。さっきやられた。」
あ、途中ドアが閉まった時に叫んでいたのはこの子だったのか。
「ちょうどよいのです、中にラッキービーストがいるので出して上げて欲しいのです。」
「なんでこんなところに?」
「そんなのは知らないのです。お願いなのです。」
助けてもらった手前、強く言うことはできなかった。
いいぜ、と言ってツチノコは大きな箱の外にラッキービーストを運んできた。
3つともちゃんと立っているものの動く気配はない。
どうしようもないので、このまま放置しておくしかない。
「改めて、助けてもらいました。ありがとうなのです。」
「なのです。」
助手はまだ動きがぎこちない。
「べ、別に助けたわけじゃないし、な。たまたま開たかっただけだからな。」
その通りなのかもしれない。
ただ、開てしまっていたら中から出られなくなっていたのはツチノコだっただろう。
「これなんのためのものだろうな?」
気にしているツチノコには同感だ。
なんでこんな寒いものがここにあるのは分からない。
でもまずは、ミミちゃん助手と温かくなりたかった。
冷たい密室と博士と助手 草々緋美 @Kusa2_hibi
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