エルフ 助ける
この一帯はテスラの土地だ。金に任せて買い占めた。俺は精霊に愛されている。(乳がついている精霊以外)この土地は原初の神々が愛していたと言われる世界の大木が生え、その下に湧き上がる生命の泉を、お風呂に使っている。
大理石と岩でできた特製温泉に、瀕死のハーフエルフの子供をつける。
吟が悲鳴をあげて、俺の腕に掴まってくる。
「大丈夫だ。お前もエルフの末裔なら聞いたことがあるだろう。ここは生命の泉から湧き出た水を使った温泉だ。すぐにこの子供は回復する」
「温泉て何?」
吟は首を傾げた。
吟は温泉も知らないらしい。吟の全身は傷だらけで、薄汚れてがりがりに痩せていたきっと、吟は温泉なんて一度も入ったことがないのだろう。テスラの中に、エルフの里の頭の固い連中への怒りが沸き起こる。
テスラは桶で温泉のお湯をすくい、吟の全身にくまなくかけた。
「温かい?」
「そう魔力で温かくした水だ」
「げほ!!」
テスラが抱えていたエルフの子供のエルが、息を吹き返した。
「エル!」
泣きそうな顔で吟が、温泉の中につかって行く。かけ湯もしないで吟は温泉に入ってしまったが、今回だけは許すことにした。
そこでテスラは気づく。
・・・・・はて?何か忘れているような。
テスラの脳裏に、金髪少女の面影がよみがえる。その瞬間、テスラは忘れていたことをおもいだした。
「あ、ベル!?」
足くじいていたベルを、クマ族の里に置いてきていたんだった。ベルは人間だ。このハーフエルフの里を、知られるわけにはいかなかった。
「ななこ!この子たちの世話をたのむ!飯を食わせてやってくれ。あと、あの部屋にはいかせるな」
ゴーレムメイドななこに命じ、テスラはクマ族の里へと瞬間移動した。
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