第六話 エルフ 戦う
咄嗟に俺はベルを抱きしめて、魔法を発動していた。
この世界では魔力は、物質やなにかを媒体にして発動する。俺の魔力は自らの髪と同じ闇にぞくするものだ。俺の部屋にいる騎士と名乗る男たちは、俺の幻覚魔法の効果で呆然と座り込んでいる。そして部屋一面暗闇に覆われる。
俺の得意とする魔法。幻覚と闇だ。精霊と契約しているので、楽に魔法が発動する。俺は念のため、窓からベルを抱き上げ、部屋から逃げ出した。
とっさに俺はベルをつれて逃げ出してしまった。
もしかして俺、人間の国で逃亡罪かなんかで犯罪者決定なんじゃ。正直、ベルを置いて逃げ出したい。
後ろからせまってくる魔力に、俺は魔法でシールドをはじいて立ち止まる。俺の後ろにいたのは銀色の髪の長髪の魔法使いと、見事なオレンジ色の髪をして金色の甲冑をきた騎士の男だった。
ちなみにどちらもイケメン。俺はいらっとする。
「我がなは騎士アメル。その方を渡してもらおう」
金色の甲冑を着た騎士の男アメルの長剣から、火があがる。どうやらアメルは火の属性をもつ男らしい。属性もちは、その属性の魔法に特化している。なかなかの実力者だ。
「アメル殿援護しますぞ」
その後ろにいる銀色の髪を持つ美貌の魔法使いは、杖を掲げあげる。杖の部分に雷が帯びる。
俺はベルを地面におろすと、にっこり微笑む。
「なぁ、俺が嫌いなものを知っているか?」
指を鳴らしながら肉体強化の魔法を、俺自身にかける。そして猛スピードで駆け寄り、全力でアメルと魔術師の体をぶん殴り、腹を蹴り上げる。
その間二秒位だ。決着はすぐについた。
「俺が嫌いなのはイケメンと、俺よりも幸せそうなやつだ」
一応魔法で男二人を縛り上げておく。
「テスラ様もイケメンですけど」
こまった顔のベル。
「美醜なんぞ人それぞれの価値観だし、時代によって変わるほど適当なものだ。俺が言いたいのは異性にもてそうな奴は死ねというわけだ。べつにもてるということに幻想を抱いていないが、なんか許せん」
「そ、そうなのですか?あの・・・・あのよろしいのですか?そのあなたまで追われてしまう」
ベルがとまどいつつ、俺を見上げて聞いてくる。
「仕方がない。イケメンだからな。ベル、事情をきかせてもらおうか?」
悲しげにベルは俯いて、これまでの話しを話しはじめた。
「私は姫なんて呼ばれていましたけれど、全然そんなことはないんです。
今の王様の前の王様が、連れてこられた奴隷の身分私の御母さんに手を付けて、わたしが生まれたんです。それから城で下働きをしつつ、そのお給金で細々暮らしていたんですけれど、あるとき素敵な方に出会ったんです。その方は国のために働いて食べれない子供や大人のために日々ボランティアしている方でした。その人がある日母親が病気にかかってしまい、お金がないと私に相談してきて、なんとかその人のためにお金を工面しようとしたのですけど、私はその日食べるのも精一杯な貧乏生活で、どうしようもなくて、私はお城の帳簿に関する仕事を任されていたので、そこから横領してしまいました。自首してもいいのですけど、最後に一度だけ憧れていたエルフの里をみてみたいなと、思いまして」
ベルがそういうが、俺は怪しいと思った。
そもそもベルは何故あんなところで馬のついていない馬車にのっていたのだろう?
「すいませんでした。ご迷惑をかけてしまって。ここからは一人で行きます」
ベルは歩きはじめるが、すぐに倒れてしまう。俺は溜息をついて、ベルの腕を引き上げた。
「ここまできたら全部一緒だ。最後までつきやってやる」
ベルは深々と俺に向かって、頭を下げた。
ただではおきない。せめてベルの乳とにゃんにゃんしてやると、俺は覚悟を決めた。もちろん他の女ともにゃんにゃんはする。(キリ!)と、思っていたのだ。
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