第三話 エルフナンパを頑張ろうと考える

  胸だ。胸とはなんだ?脂肪?いいや、夢の塊だ。俺が抱き上げると、ちょうど少女の胸の部分に俺の手が、触れるか触れないかのソフトタッチぎみになる。

いえーい!

身近に見下ろすベルの顔もなかなか繊細な可愛らしい顔立ちだ。胸もでかいし。これが一番重要だ。

・・・・顔を挟んでくれないか?その胸で。

「あの?なにか私の顔についていますか?」

あまり俺が顔周り(胸)をみるものだから、ベルが不安そうに聞いてくる。

なにがついているかって?胸がなと、俺は心中つっこむ。俺は一応あれだが、ベル命の恩人だ。そこにつけこみ、なんとかベルとにゃんにゃんできないかなと、真剣に考える。俺は一度もナンパに成功したことがない。全部俺が神秘的なエルフのせいだ。けれど男たるものあたって一度は砕けなければならない。

俺のナンパの決めことばはあれだ!

『はーい!お嬢さん、俺と一緒に天国しようぜ!』

天国という抽象的な言葉は俺の照れ隠しだ。なかなかナンパはうまくいかん。だがこれはチャンスだ。今日こそいや、来年こそ、童貞を卒業する。

「あの、なんか怖いんですけど。そんな射殺すような血走った目で、見ないでください。エルフって人の肉食いませんよね?」

俺が食いたいのはお前の乳だぜ!とは言わない。エルフは真摯なのだ。

「ああ。エルフは人と何にも変わらない。まぁ、魔力は人より強いがな」

「黒髪のエルフなんて、初めて見ました」

珍しい黒髪のせいで、俺は散々同じ村のエルフどもに排除されてきた。やはり妻になる女性は人間が良かった。

「エルフや人とは不思議なものだ。表面でしか判断できない。黒髪だろうが、猿だろうが、乳が付いていればなんでもいいのにな」

「エルフって守備範囲がひろいんですね。あと乳が付いているというのも、表面上ですよ」

そんな風に少女と話していると、都会の診療所の赤レンガの邸が見えてきた。

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