第2話 帰宅

なんだかんだで狙撃手を巻いた私だったが、まぁいわんこっちゃない。

「迷子ーだーわー!」

元々長めにお散歩していたのに、狙撃手を巻くためにちょろちょろと動き回ってたら完全に迷った。

「そして一番バカだと思うのは携帯置いてきたことだよね!」

周りに誰もいないことをいいことにわめき散らす。喚いていても誰か助けてくれるわけではないのだが。

「とりあえず、最終手段としてそこら辺のおうちにお邪魔して交番の場所でも聞く??」

この時の私に電話を借りるという選択肢はない。文章を覚えるのは得意だが数字は覚えられないせいで電話番号は自宅さえ覚えてないからだ。

「おい、くそツインテール。」

独り言が自分との対話になり始めたとき、聞き覚えのある声が後ろから聞こえた。

「あ、骨くんじゃーん!助けて!」

「チッ、乗れ。」

かなり暴言を吐いているがどうやら迷子の私を迎えに来てくれたらしい。ありがたいことだ。

「ごめんねー、ちょっと色々あってさ。他の人は?」

「お前とはぎれさんの家。心配してリンリンも車出して探してるよ。」

どうやら事は随分と大事になってしまったようだ。本当に申し訳ない。

「でも、ちょうどいいかもなぁ。ねぇ、リンリンにも家に来るように言える?あとちひろさんとぴの字さん。他の二人は無理だろうからいいけど。」

「……高くつくぞ?」

そういいながら素早く連絡をとる彼は本当に優しい。

「運転中の携帯の使用は禁止されていますけどね!」

そんな彼につい軽口をたたいたら思いっきり荒い運転をされた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る