第7話 夏祭り 変

一方流された殿はというと、自分の位置がわからず道の端っこにしゃがんでいた。

「うーん。今日は厄日かなぁ…ほんと。」

人混みに押される間に誰かの足があったって切れた踝、赤くすり切れた靴擦れ。

オーダーだから最初からかなり浮かれていたわけじゃないが完全にうちのめされた気分になり、憂鬱になる。

というよりも、もともと憂鬱だったのかもしれないな、と思う。

別に彼氏がいるから幸せとか、彼氏がいないから劣っているなんて思考を持ち合わせてはいないけれど、誰かに特別に愛されてみたいという気持ちは少なからずある。だけども今まで浮雲のように生きてきた殿を特別な意味で愛してくれた人はいなかった。

「恋とか愛とかよくわからないんだけどね。」

理解者としてははぎれを筆頭に自殺部隊の面々は、この世界で生きるには少しばかり歪すぎる私を受け入れてくれていると思う。でもそれは仲間としてであって、それ以上の意味はない。

「ぶっちゃけ、自殺部隊の面々リア充多いからあてらてるのかもねぇ。」

そんな風に自分の思考にふける殿は気づかなかった。

後ろから今日の一番の厄災が近づいていることに。








骨「あれ、リンリンさ、殿と一緒にいなくね??」

ナ「まさか、はぐれたとか?」

黒「だとしたら、今回は失敗かな。」

ち「手とかつながないからダメなんだよ。」

萩「殿と手をつないでデートした奴のは…もぐ。」

骨「…なにを?」






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武装高校side殿 金魚殿 @Dono-Kingyo

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