第6話 夏祭り 離
「射的で楽しかったね。」
後ろを歩く殿にリオが話しかける。あくまで二人は囮であり恋人同士なのだからさっきの相手が怪しかった、なんて話はできない。判断するのは後続組であるし、もしも何か起こるまで二人は今の役回りを続けなければならないのだ。
「そうだね、リオはたくさん取れたし。次は何か食べたりする?」
「そうだね。たこ焼きなんて、」
どうかな?と続くはずだったリオの言葉は雑踏に掻き消される。ただでさえ人が多い中ちょうど二人を分けるように人混みが大きく移動したのだ。
長身のリオはともかく、少し低めの身長の殿は完全に人ごみに埋もれ流される。着慣れない浴衣と下駄という組み合わせもよくなかった。
―こうして二人はいとも簡単にはぐれたのである。
「うーん、まじかぁ…。なんかはぎれさんにものすごく怒られそうだなぁ…。」
人混みが途切れたあとリオは殿が流された方向へ歩いていくのだった。
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