over time

電車を乗り違えて

慌てて引き返して安堵する


それでいいと思っていた


かけがえのない時間

噛みしめていたつもりだった


かけ違えたボタン

気にも留めていなかった


あなたが直してくれた物語

栞すら挟まずに閉じる愚かさ


部屋に射す光 あたりまえのもので

眩しさを遮る手 あたりまえではなくて


細めた目は何ひとつ捉えてくれない


真っ白な壁 

削るようにえがく肖像

いつまでも表情の浮かばないレリーフ


何度、試みても似ていないのは

あなたのこと 何も知らなかったから


いまさら悟っても


この部屋の景色は戻らない


今さら引き返してもどこにも着かない

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