第4話 黒の気持ち

 お腹空いた…もうずっとそう感じていた。

 仕方がないから気晴らしに、そばに居たキャラコにちょっかいを出してみる。遊ぶ?眠る?他にする事ないからね。

 知らない。そう言いながらキャラコは対抗して来る。直ぐに尻尾を狙って来るから、首に噛み付いた。痛い!と叫ばれ、慌てて離して、ごめん…と謝った。

 本気で噛んじゃダメ。昔誰かに言われた気がする。

 遊ぶのは楽しいけど、お腹は空く。もうずっと空いている。

 何だか力が入らない。

 気が付いたら眠って居て、すぐ近くでぴちゃぴちゃ音がする。

 そして…懐かしい香り。何だ?何だか凄く引き寄せられる。何かを踏んで乗り越えて顔から突っ込んだ。これ…美味しい…必死で舐める。誰にもあげない。僕んだから。でも、キャラコは特別に舐めても良いよ。うっすらと開けた目に、同じように必死で舐めている姿が見えた。友達だからね…兄妹かな?

 抜けて居た力が戻って来た。

 だけど、黒い大きな鳥が目に入りぞくっとした。あいつ嫌い。嫌な目でこっちを見てる。でも来ないのは、もっと大きな人間が僕らの前にいるからだ。

 キャラコがクンクン匂いを嗅いでいる。そいつは安全?

 僕も側に行った。

 黒い鳥よりこっちが良いもん。

 そしたら、そいつの手から出ている長いやつが、揺れた。何だ⁉︎体がビクンと動いた。ゆらゆらと動く。何だこれ?捕まえて良い?目がそれから離れない。直ぐ捕まえるから!逃げたって捕まえるから。飛びついても飛びついても逃げるそいつをキャラコと追いかけた。何だか、楽しい。ずっとずっと一緒に遊べたら良いね。とキャラコに言った。うん!と元気な返事が帰って来た。


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