第2話 角川さんと映画と漫画と歴史。

ほぼ右も左もわからぬ状態で、

「えーい!」とばかりに「カクヨム」に

デビューしてしまったのだが、

第一作のジャンルは「歴史・時代・伝奇」。

実はここが、いわゆる「過疎ぎみ」なジャンルということ、

コンテストに応募できないジャンルだということを

後になって知ったノンキモノである、私は。


*******

〔追記〕上記のことにつき、正確には

一部の大きなコンテストで数か月に渡り歴史系が除外されたもので、

多種のコンテストにわたるものではない旨、ご教示を賜りました。

謝して訂正します。

*******


というのも、一つには、

当該ジャンルの小説をおのぼりさんよろしくきょろきょろして、

「うわっ面白い小説を書いている人がいる!」

「この題材で書く人がいるとは!」

と驚いたりワクワクしたりで、

過疎か人気かに頭が回る状態ではなかったからである。


それに、「カクヨム」さんと言えば角川書店系、

で、「カドカワ」といえば「歴史」「伝奇」を意味する、

私と私の世代の一部の人にとっては。

だから、応募不可とは思ってもみなかったのである。


まず一世を風靡した「角川映画」は

歴史や伝奇を題材に扱ったものも多く、

たとえば私が「南総里見八犬伝」を初めて知ったのも、

1983年の「里見八犬伝」である。

ちなみに原作からしたらこのバージョンのは

ぶっ飛んだ設定と展開になっているが、

深作欣二監督の腕によってケレンミたっぷりの

エンターテインメントに仕上がっている。

俳優では夏木マリさんの印象が強烈であったが、

私にとって「犬塚信乃=京本政樹」になってしまったのも、

この映画のせい…げふんげふん、おかげである。


映画だけではなく、

漫画や小説も、歴史系のものが沢山あったなあ、角川には。


1990年代、いつも私が楽しみに発行を待っていたのが

角川の雑誌『歴史ロマンDX』。

もともと歴史が好きだった私のお宝の山のごとき雑誌で、

『ファンロード』(知ってる?)の読者投稿で

注目をしていた皇なつきさんが

「蛇姫御殿」でデビューなさったのも確かこの雑誌、

森川久美さんや、神坂智子さんといった

歴史を得意とする漫画家さんの作品が掲載されていた。

たとえば、ルネサンス期のフィレンツェを舞台に、

ロレンツォ・ディ・メディチとジローラモ・サヴォナローラの

葛藤を鮮やかに、印象深く描いた森川さんの「花の都に捧げる」。

作中では修道士サヴォナローラが美青年に描かれていたので、

のちに本当の彼の肖像画を見たときには驚愕きょうがくしたものである。


そうやって高校生時代、他の漫画や小説からも

歴史ものならではの醍醐味、面白さを教えてもらった。

大学の史学科を志した理由はいくつかあるが、

角川さんも私の背中をぽん、と強く押したのは間違いない。

そして、私はいまも、少々歴史に関係した仕事をして

この露命ろめいを繋いでいる。


ああ、それなのに、それなのに。


カクヨムコンテストに応募できないとは…何ですと?


(#゚Д゚)ゴルァ!!


というべきか、


(´・ω・`)(´・ω・`)ショボーン


というべきか。



角川さんと言えば、歴史・伝奇というイメージもあっただけに、

何か、寂しいなあ。

コンテストに参加できないのは何故?分母が小さいから?

読みごたえのある作品の数からいったら、他のジャンルに

引けを取らないのでは?と思うけれども。


ううむ、

育ての親に「もうお前は要らない子」と言われているような。

それは昔のイメージですよ!と言われたら、それまでだけれども、さ。


いいよ、別に。

コンテストに応募できようとできまいと、

私は淡々と歴史ものを書くだけだ。



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