エントロピー反転円境界線内-50センチメートル
和才は、死ぬ気で、普通に歩いてエントロピー反転円境界線に入った。事実、誰もこのエントロピー反転円境界線を越えて帰還していないのだ。
ここに段落がいくつあろうと改行が何行、行われようとなにも起こらなかった。
和才は、生きていた。
エントロピー反転円境界線を越えた衝撃も何もなかった。
拍子抜けとはこのことである。
さすがの和才もへたり込んでしまった。
酸素もある。線量計に異常はなかった。各種、有毒ガス検知なし。中で、木々は普通に生い茂っている。というか、別に視界がこの境界線で遮られていたわけではないのだ。
なんでもない、一歩に続く普通の数歩だった。
和才の目の前には、岐阜県最北部に位置する標高2000メートル級の
この境界線半径10キロ内のどこかに富士林教授は居る。
(怖ぇー)
和才は3年生のとき始めて、富士林教授に怒られたときを思い出した。
「俺は、大学生じゃないそ」
和才は、呟いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます