episode24 「混戦」
落ちた場所が海。
不幸中の幸い、というべきか。
全身がだるく、重い。気を抜くと溺れてしまいそうだ。
リーメイの輪具には時間の制限がある。
発動から終わりまで、約二時間。次に発動できるのは三日後。日々の鍛練で、ここまで使えるようになった。
それでもまだ足りない。
ロズも現れるという絶好の場であったのに、彼女は輪具の力を使い切ってしまった。
港には人が集まっていた。警備兵らしき姿もある。見つからないように泳路を変える。
岸に着いた。
今すぐここを離れたいが、身体が思うように動かない。いつもなら少し余力を残して戦うのだが、今夜は配分を考える余裕がなかった。
身を起こして、壁にもたれるのが精一杯。
人の気配を感じる。
くそう。
今日こそは、今日こそ倒せる自信があったのに・・・
意識がもうろうとしている。
誰かに抱き抱えられ移動しているようだ。反乱組織の仲間が助けに来てくれたのか。
何だろう。
背中に触れる腕の感触。とても心地よく感じる。そして、かすかに匂う体臭。
懐かしい。
私はこの匂いを知っている。
記憶が曖昧だが、港からかなり離れたと思われる。
迷わず道を進み、家の中に入った。どうやら自宅まで連れてこられたようだ。
ベッドに寝かされる。
「姉様、姉様。大丈夫? しっかりして」
私を心配してくれる声。
顔が近づいたので、彼の首に腕を巻き付けた。
「え?」
抱き寄せる。
胸元に彼の顔を押し付ける。
「五年もどこに行っていたのですか、ナック?」
「あ、姉様。いつから起きて・・・」
腕をほどいて身体を起こす。
「それよりも、姉様が生きていたなんて、驚きです。こんな嬉しいことはありません」
ナックをじっと見つめるリーメイ。
こんな立派になって。
顔つきがお父様に似てきたかしら。
弟だが頼もしく感じる。
「それにしても・・・」
ナックがリーメイの姿を見ている。
「なんというお姿ですか、姉様」
頭の布もストールもない、踊り子の衣装。恥部を最小限隠しただけ。踊っても脱げないようにきつく締めているので、小さな布が肌に食い込んでいる。
五年ぶりの再会で、こんな姿を弟に見られている。
恥ずかしいような、嬉しいような。
リーメイは半身起き上がって、またナックを抱き締める。
「本当に生きていてくれて、良かった」
「姉様もです」
二人はしばらく抱き合ったまま、お互いの温もりを感じていた。
「ねえ、何で殺さないの?」
問うロズ。
散々もて遊んで、輪具の力が尽きたリーメイ。簡単に殺せたはずだ。
イリリは彼女を海に放り投げた。
殺人が大好物の彼女とは思えない行動。
苦しそうに胸を押さえるイリリ。
「何だろう。あの娘を見ていると、胸が苦しくなってさあ。母性ていうのかねぇ、そういう気持ちが沸いてくるんだよ」
「ふーーん」
素っ気ないロズ。
「単純に、あの娘が好みなんでしょ?」
微笑むイリリ。
「ま、そうとも言うね。私に勝てるはずないのに、必死になって向かってくる姿。力尽きて苦しそうな顔。それが堪らなくてさ、何度も見たくなってしまう」
ど変態だ。
知っていたけど。
「じゃ、次は僕の番でいいかな?」
椅子から立ち上がるロズ。
「本気なの?」
問うイリリ。
「ラズの魔力も能力もないのに、私に勝てると思ってる?」
腕を組んで考える動作。
「う~ん、もしこれで勝ったら、僕って凄いよね」
イリリの足元に倒れている奏者の男。
軽く蹴り上げただけで船外へ飛んだ。
そのまま舞台へ上がる。
「私の身体が生身だから、何か考えているのだろうけど、退屈だったら速攻で殺すからね」
両手を広げロズを待つ。
「大丈夫。退屈になんかさせないよ。楽しい夜の始まりだ」
袖の中から短剣が現れる。
宙に浮いているような滑らかな動き。
両手の短剣が妖しく光る。
ロズの攻撃には、構えもないし、振り上げて勢いをつける動作もない。
もっと言えば、殺気すらない。
淡々と剣を振る。
そんな感じだ。
目元、首筋、胸元。急所の近くを何度も短剣が通り過ぎる。
イリリの蹴りがロズに入った。身体がくの字になって飛ばされる。
椅子やテーブルが四散した。
すぐに起き上がる。軽快な足取りでイリリに近づく。
短剣を持っていない。
指を弾いて小石を飛ばす。
最小限の動きで避ける。避けたつもりが身体に当たる。
僅かなズレが命取りとなる。
刃が身体をかすめる。
「これ、あなたの術なの?」
突き出した腕を下から殴る。狙いが少しずれる。
「さあ、どうでしょう」
回し蹴り。
狙った首はかすめただけ。
肘打ちでロズを吹き飛ばす。身体が小さく狙いにくいが、当たれば軽く飛んでいく。
微笑むイリリ。
「感覚支配か。カマツめ、私の術をロズに与えたのね」
重力を無視してゆっくりと着地するロズ。
片手を上げる。
夜空に集まる黒い影。イリリに向かって落ちてくる。
鳥だ。
黒い鳥の集団が、イリリ目がけて落ちてくる。
くちばしを武器に。
イリリの拳が、肘が、黒い塊を赤に染める。高速で身体を振り回しているのに、見事な足さばきで、軸をひとつもぶらさない。
何十という数の鳥が、彼女に傷を負わせることなく散った。
死骸と鮮血が床板を染める。
顔や腕に血を浴びたイリリ。
微笑みが妖しく、美しさを演出している。
「すごいすごーい、さすがイリリだね」
拍手を送るロズ。
「これで終わりじゃないんでしょ?」
問うイリリ。
「夜はまだこれからよ。もっと楽しませてちょうだい」
ロズは笑みを浮かべ、ゆっくりと彼女に近づいた。
偶然とは思えないくらいの偶然は、やはり必然なのだろうか。
まだ信じられない。夢を見ているようだ。
背中を強めに叩かれるクラナ。
「痛い!」
思わず声がもれる。
「しっかりしなさい」
静かに怒られた。
横を向く。やっぱり本物だ。
見間違えるはずがない。クラナの横に座っているのは、魔法の師匠カサロフだ。そして、後ろにヴァサンとトロエ。
何度見ても、クラナの知る三人だ。
「まだ夢だと思っているのですか?」
カサロフに問われる。
一時間程前。
クラナは酒場の二階にいた。反乱組織の幹部が集まっているという個室の前。
頬を叩いて気合いを入れる。
何事も最初の印象が大事だ。なめられたら交渉は不利になる。
眉間に皺を寄せて、思いっきり扉を開ける。
「しっかりしなさい!!」
いきなりの大声。
「メラスとファウザがいなくなって、弱腰になるのは仕方ありません。ですが、逃げているばかりでは何も変わりません」
知っている。
この声、あの姿。
彼女の後ろに立っている男のひとりが、クラナに気づいて手を振った。
もうひとりいる。顎髭を伸ばした、大型獣のような男。
彼女がこっちを見た。
何か話しかけられたが覚えていない。
何故だか涙が溢れてきた。
「あなたにとって、大切なものは何ですか?」
問われる。
「・・・キース」
迷わない。
キースが私の全て。
「では、キース様が危険にさらされた時、あなたはどうしますか?」
そんなの決まっている。
「命がけで助ける!」
「今がその時です。あなたが出来ることを、全力でやる時です」
気持ちが高まってきた。
意味もなく立ち上がる。
大きく揺れる小舟。
「クラナさん落ち着いて。座っていて下さい」
舟を操縦しているトロエが言った。
ゆっくり座る。
微笑むカサロフ。
相変わらずの単純明解な性格。
それがクラナの良いところだと思う。
頭の中で状況を整理する。
キースに旅の同行を誘われたが、アーマンとの約束を守り断ったカサロフ。気持ちが変わり、ヴァサンとトロエを連れてリノーズを出る。
道中でイナハンの情報を仕入れて、反乱組織のあるコガより入国。
数日かけてようやく今夜、組織幹部たちとの面会が出来た。その場面にクラナが出くわした。
キースのことを聞いて、カサロフが無理矢理舟を用意させた。
クラナたちを乗せた小舟は、海上飯店を目指して進んでいる。
そういう状況だ。
港には警備兵や見物人が集まっている。暗闇を利用して、気付かれないように小舟を寄せる。
トロエは留守番。天文の知識は豊富だが、戦闘能力は皆無だ。
ヴァサンを先頭に乗船する。
「何だこれは、本当に船なのか?」
思わず声がもれるヴァサン。
豪華な装飾。手の込んだ壁や天井。宮殿でもこれ程のものない。
規則正しく並んだテーブル。誰一人おらず、食べかけの食事がそのまま。見たこともない料理の数々。景観に負けないくらい豪華だ。
頭の上で音がする。
戦場は屋上のようだ。
テーブルに伸ばした手を叩かれる。
「こら、いけませんよ」
またカサロフに怒られるクラナ。
「ちょっと味見だけ」
素早く口に放り込む。
咀嚼しながら表情が変化する。美味しいのだろうが、味が複雑過ぎて、表現できる言葉が見つからない。
クラナの様子を見ていたカサロフが、険しい顔になり、ため息をついて、彼女と同じ料理を口に入れる。
カサロフの感想を待つクラナ。
言葉が出ない。
二人して、もう一度食べてみる。
「香辛料が使ってあって、とても美味しいですが、私の好みではありません」
カサロフ。
「食材が新鮮なんだから、塩焼きが一番良いかも」
クラナ。
顔を見合せうなずき合う二人。
「おい、お前ら。行くぞ」
ヴァサンに怒られる二人。
一階食堂の真ん中あたりに階段がある。ヴァサンを先頭に登る。
「おい、行くぞ!」
別の料理をつまんでいるところを、ヴァサンに見つかった。
慌てて階段に向かうクラナとカサロフ。
似た者親子か、お前ら。
思ったが、口には出さない。
二階も配置がほとんど同じ食堂。大きく違うのは、壁や天井に絵が描かれていること。装飾にもなっている信仰神の絵だ。
恐らくは、神のいる世界を描いたのだと思われる。実在しない空想の獣たちが、壁や天井を飛び回っている。
三階と四階。
ヴァサンの足が止まる。
世界各地の遊戯を集めた。絵札を使うもの、升目の駒を動かして、陣地の取り合いをする遊戯。どうやって遊ぶのか、分からないものもある。
「行きますよ、ヴァサン」
カサロフが言った。
気まずそうに階段へ向かう大型獣。
今度はヴァサンが怒られた。
いよいよ屋上だ。
剣が激しく交わる金属音。床板がきしむくらい踏み込む移動音。
始まっている戦闘。
腰の剣に手をかけながら、ゆっくり登るヴァサン。
「いらっしゃいませ」
後ろから声がした。すぐそこに立っているのに、全く気づかなかった。
両手を上げて敵意がないことを示すソマリ。階段を登りきる三人。
床板が濡れているのが少し気になる。
「只今、イリリ様とキースさんが戦闘中です」
ソマリが言った。
見れば分かる。離れているが、刀で打ち合っている。
「邪魔をするなと師匠に言われていますので、あなた達もこれ以上近づかないようにお願いします」
近づいたら、僕が殺します。
笑顔だが、十分過ぎる威嚇感。
踏み出そうとしたクラナの服を引っ張るカサロフ。
彼女を見るクラナ。
「少し様子を見ましょう」
カサロフが言った。
クラナは泣きそうな顔でキースを見た。
コルバンに仕えてもう何年になるか。ルコスにいた頃からだから、もう随分となる。
メラスとファウザの監視任務が終わり反乱組織の動向を追ってきた。動きがあれば主要人物を殺し、侵攻や組織の拡大を防いだ。
ようやく『カゲ』としての役割を果たせていると、充実した日々を送っていた。
それが、今度はキースの動向を監視しろと命じられた。しかも、彼女に関わる者たちを上手く導けだと?
何故敵側の者の支援をするのか、私には理解出来なかった。それでも、与えられた任務を遂行するのが『カゲ』の役目。
カサロフたちにイナハンの情報を流し、イリリの動きに合わせて、カサロフ達やナックが、キースに出会うように仕向けた。
少し時機がずれた部分もあったが、人の動きを完璧に導くことは難しい。
我ながらよくやっていると思う。
で、次はこの男だ。
タギクネ村の研ぎ師から託された刀を、コガまで持ってきた男。
修行者の青年。
名前は、なんだったか。
彼の持つ刀を、海上飯店まで持っていき、キースに渡すのが今の正解だが、あの人混みと警備兵の数の中で渡船するのは、少々手間がかかる。
ここは、キースたちの泊まっている宿屋に届けてもらおう。
私は再び宿屋の店主となり、行き先に迷っている青年に話しかけることにした。
屋上に着くと、白髪の女とロズが対戦していた。
あの女がイリリか。
ひと目見ただけで分かる。恐ろしく強い。相当手を抜いて対戦しているが、ロズは翻弄されている。
キースは彼女の動きに注目する。
「イリリ様、キースさんをお連れしましたけど」
ソマリが言った。
「遅かったわね。後でお仕置きよ」
対戦の手は緩めない。
ロズの短剣を素手で受けているが、傷を負っている様子はない。
「何故ですか。これでも最速で来たのにぃ」
「私より先に、ちょっと味見したでしょ。そのお仕置きよ」
大げさな動作で頭を抱える。
「参ったな。ばればれでしたか」
「すぐ終わるから、そこで待たせておいて」
「分かりましたー」
キースの方を向くソマリ。
「だそうです。しばらくお待ち下さい」
そう言って、彼は近くの椅子に座る。テーブルの上の料理をつまみ、酒を飲み始めた。
食事をしながら、イリリの戦いぶりを観戦している。
「キースさんも座って待っていて下さい」
ソマリに言われたが断った。
「今夜死んじゃうかもしれませんよ。せっかくのご馳走なんですし、食べたほうがいいですよ」
「後でゆっくり食べる」
キースが言った。
「そうですか」
残念そうに言う。
「すぐに終わるだって? 余裕だね、イリリ」
剣速は変わらない。
急所を狙っているが、全く届かない。
「そろそろ飽きてきたわ。もう何も無いなら、殺していいかしら?」
問うイリリ。
「じゃあ、僕もとっておきを出そうかな」
微笑むロズ。
カマツに与えられた能力。
人や動物を操る。
相手の感覚を操作する。
そして、カマツの護衛をしていた三体の人形。彼らの能力の中で、ひとつだけ選択して使用出来る。
何を選ぶ?
砂や風、水など、自然のものを操る。
少しだけ時を戻せる。
相手が脅威と感じている者を呼ぶ。
ロズはすでに決めていた。
突き出した短剣。イリリは迷わず刃を掴んだ。左拳がロズの胸に当たる。
突き抜ける。
イリリの両手が塞がっている。
ロズは残った腕で彼女の頭を狙う。
突き抜けた腕をさらに押し込み、肘を曲げて、背後からロズの首を掴む。
体勢を崩されて、ロズの短剣は空を切る。
刃を掴んだ手は、傷を負うことなく刀身を折った。
ロズに顔を近づけて、唇を重ねる。
「今まで、あなたはよく働いてくれわ。ありがとう。さようなら」
「別れの言葉は、まだ早いよ」
ロズが微笑む。
船が少し揺れた。
何か巨大な物が 迫っている。
イリリの背後に黒い塊が現れる。
海水だ。
重力を無視して、海水が柱状に盛り上がっている。
海上飯店より高く。
その柱は、生き物のように弧を描き、イリリ目掛けて落下した。
飛び散る海水。
黒鳥の死骸が全て流される。
どういう仕組みか。海水の塊がロズとイリリを包み込んでいる。流れ落ちない。留まっている。
ロズの身体は人工だ。何日でも水中にいられる。イリリは生身。時間が経てば呼吸ができず苦しくなる。
そういう策だった。
水中にいる二人を見ているよう。身体の輪郭がぼやけている。
二人が離れた。あの水量だ。間合いが開いても海水は二人を包んでいる。
ロズは、トセイヤよりも繊細に操ることが出来る。海水を無理矢理イリリの体内へ流し込む。口元を手で隠しても無駄だ。侵入経路はほかにもある。
「おやおや。あのままだと、イリリ様が溺死しちゃいますねぇ」
ソマリが言った。
助ける気はない。
海水で包まれたイリリが、ゆっくり前進している。少しずつ、少しずつ。しかし確実に。
手を差し出した。
ロズがその手に吸いつけられた。
同時に、包んでいた海水が流れ落ちる。
海上飯店が傾く程の水量。
キースたちとは反対側に全て流れる。
「あれ、何でかな?」
イリリに首を掴まれたまま、問うロズ。
「あなたには言ってなかったけど、私も《《》》特別な存在なの」
少し考え、納得した。
「へぇー、そうなんだ。これは失敗したなぁ」
終わりは突然やって来る。
頭部を引きちぎられ、身体は船外に蹴り落とされた。
「最後にひと言だけ言わせてあげる」
掴んだロズの頭をキースに向ける。
「楽しかっ・・・!」
ロズの両目が吹き飛んだ。紅い髪を掴んで海に放り投げる。
「なんちゃって」
笑うイリリ。
近づいてくる。
濡れた髪から滴り落ちる水滴。端正な顔立ち。東方系だが鼻の形のせいか、北寄りの民族を思わせる。白髪。光りの加減で銀色に輝いて見える。
ソマリのいるテーブルに近づいて、酒の入ったらグラスを持つ。
水のように一気に飲み干す。
キースより頭ひとつ分背が高い。
「初めまして」
イリリが言った。
「ようやく会えたわ。待っていたのよ、キース」
全身を舐めるように見つめる。
笑みを浮かべた。
「殺すには惜しいわ。私のものにならない?」
問う。
「海に出て、ラズのいる島に行きたい」
キースが言った。
イリリは笑みを浮かべたまま。
「もう手遅れよ。今さらあなたが行ったところで、何も変わらない。何も変えられない」
目線は外さない。
笑顔の中の、冷たい瞳を見つめる。
「私が変える」
笑うイリリ。
「いいじゃない。益々気に入ったわ」
グラスをテーブルに置く。
「じゃあこうしない? 私と戦って、勝つことが出来たら、船を用意してあげるわ」
返事を待つ。
「キースさん、受けないほうがいいですよ。勝ち目はありませんから」
ソマリの助言。
相手をその気にさせる、二人の
「いいだろう」
キースが答える。
先へ進むには、それしかない。
「邪魔したら、刻むからね」
ソマリを指差して言った。
何度もうなずくソマリ。
舞台の前まで歩み、間合いを取る二人。
「出し惜しみは無しよ。全力で来なさい」
イリリが言った。
見透かされている。
後の事など、考えている場合ではない。
自分の中の戒めを解く言葉。
今までとは違う風が吹いてきた。
勝手に身体が震えるソマリ。感動なのか恐怖なのか、自分でも分からない。
圧倒的な二人の気迫。
料理をつまむことも出来ず、座っていることも出来ない。
キースと多少は力の差があると思ったが、さっきは相当手加減していたようだ。今の感じで来られたら、瞬殺だった。
「いつでもいいわよ、キース」
イリリが言った。
体術でも刀でも、攻め込むには距離のある間合い。
キースが上半身を低く、前かがみに構えた。
ゆっくり二歩前進。
三歩目。飛ぶ。
イリリの左横に来ていた。
腕を突き上げる。少し身体をずらして避ける。キースは回転して回し蹴り。腰を落とす。頭の上で足が止まり、引くと同時に右腕の突き。片手で弾く。
キースの左手は後ろに。
小刀を振り上げる。刃でなく、鍔を軽く押す。狙いは外れ、反動で腕が外に開く。
小刀を手放す。
その場で回る回転力を利用。空中の小刀を右手に持ち替え、振り下ろす。
イリリが後退して届かない。
突き出す。
掌底。刃を指間に通し鍔を握る。
手放す。
右手を後ろにまわし、小刀を抜く。
指に挟んだ小刀を持ち替える。
刃が交わる。
お互いが、お互いの次を待つ。
キースが引いた。イリリが足を前に踏み出す。
後転。
蹴り足が、イリリの持つ小刀の柄を蹴った。
片手をついて三回転。着地すると、キースの両手には小刀がある。
臀部の皮鞘に収める。
右腰の鞘に手を置く。指で鍔を押し、静かに抜刀。
イリリは微笑む。
ソマリは背筋が氷り、息が苦しくなった。
刀を持つだけで、キースの気が高まったようだ。
下段に構えて摺り足で進む。
「これよ、これ。この緊張感。殺し合いはこうでなくちゃね」
嬉しそうなイリリ。
キースが一気に飛び出た。
床板がきしむほど踏み込む。振り上げた刀は、イリリの服をかすめる。
風を切る音と刀の圧力。
すぐに引き戻して突き出す。イリリの腕が動いた。
折れると直感した。
引きかけた腕を掴まれた。イリリの右手はキースの左腰の刀を持ち、腹を蹴られた。
吹き飛ぶ。
足が浮いて、数回転がったが、膝立ちで止まった。
抜き取った刀を眺めるイリリ。
「良い刀だけど、まあまあね」
軽く振る。
「ま、武器なんて所詮ただの道具。使い手次第でどうにでもなるけどね」
両手で持って中段に構える。
ソマリは驚いていた。先ほどの小刀といい、イリリが武器を手にしているのを初めて見たからだ。
刀の攻防が始まった。
交わり、空を切り、また火花が散った。
一撃が必殺。振り抜く速さ、受けからの攻め、呼吸をする間もない連撃。
イリリの一撃は重い。
片手では受け止められない。
イリリが上段から振り下ろした。
左腰の鞘を抜き、刀身の峰側から支持した。
強烈な一刀。膝をつきそうになるが、踏みとどまる。
火花を散らしながら、刀を引くイリリ。
正面からの蹴り。両腕で受けたが、吹き飛ばされた。
また転がった。両足を滑らせながら止める。落下防止の柵が足に当たる。
走る。
隙を作ってはいけない。イリリの流れに乗ってしまう。ためらわず踏み込む。
一刀両断。
刀を振り切る前に、腕を掴まれた。
「出し惜しみは無し、って言ったでしょ?」
イリリが言った。
「お前こそ、本気で向かってこい」
微笑む。
掴んだ腕を離して、少し後ろに下がる。
「ためらっているのね」
イリリが言った。
二人とも中段の構え。
「じゃあ、私が引き出してあげるわ」
ほぼ同時に踏み出る。
刀が交わる金属音と火花。
床板がきしむ程の踏み込み。
どの角度で刀を振ろうと、どんな体勢であろうと、全てが必殺。
イリリの肘が何度もかすめる。
蹴り上げようとする足を、足で止める。
お互いが、動きの先を読む。
「少し様子を見ましょう」
カサロフが言った。
クラナは泣きそうな顔でキースを見た。
そんな只中に三人がやって来た。
白髪の女がイリリ。
悔しいが美人で、女性が見ても官能的な肉体だ。この世で二番目だけどね、とクラナは思う。
剣技でキースが追い込まれた。信じられない。イリリは余裕の笑顔。
キースは腰から再び鞘を抜く。刀を交えながら、肘や足を執拗に当ててくる。両手で対応しないと避けきれない。
イリリの剣速が速くなり、キースは防戦が増えてくる。
しかも、一撃が重い。
イリリの手のひらが目の前に。
見えない力で吹き飛ばされる。椅子やテーブルを散らかしながら転がる。
ゆっくり立ち上がる。
そこでようやく、クラナたちがいることに気づく。
カサロフ、ヴァサンまで。
来てくれたのか。
何か言おうとしたクラナの前に、カサロフが立った。
「キース様、あんな奴さっさと倒して下さい。遠慮はいりません。何があっても私が守ります」
絶対に守ります!
カサロフの言葉を聞いて、キースが微笑んだ。
目を閉じて、鞘を戻し刀を鞘に収めた。
深い息をする。
何かが変わろうとしている。キースの身体の中で、何かが起きている。
後は任せた。
小さな声。
だが、キースの思いは三人に伝わった。
万が一の時、どう対応すればいいか。その時その瞬間、言葉を交わさなくても、三人は理解し納得した。
目を開けるキース。
力の根源は分からない。だが今、彼女は身体の全てを支配した。握力も脚力も、全身を流れる血液さえも。
それが何を意味するのか。
「良い顔になったわね」
イリリが笑う。
唐突に、キースから奪った刀を投げる。弓で射った矢のごとく。勢いそのままで到達した刀を、キースは当たり前のように右手で掴む。
左腰の鞘に収める。
「あなたは、武器を手にすることで力を解放する。私は肉体そのものが武器となる」
足を前後に、両腕を大きく開いて、上体を低く構える。
風がイリリに向かって吹いてきた。
この感じ・・・まさか・・?
クラナもカサロフも、驚きを隠せない。
この、見えない力が身体全体から溢れ出ている感じ。大気が震えて、気流が変化するこの感じ。
キースと同じだ。
キースと、同じ・・・なのか?
軽快な足取り。
両腕を交差して刀を抜く。指を動かして柄の握りを確認する。
そこにいたのに、イリリの真上にいた。
振り下ろした双刀。イリリの片手が触れずに向きを変える。気流の変化のせいか、景色が歪んで見える。
イリリの右横に着地。
刀身に込められた力が、床板を大きくしならせる。
双刀を横に振る。
刃は届かなかったが、圧力がイリリを吹き飛ばす。着地点に走る。腕を引き寄せる動作を注視しながら距離を詰める。
腕が伸びた。
回転して避ける。
加速した剣速。
白髪が舞う。
振り抜いた双刀を回避して、イリリの蹴りがキースの頭を狙う。
当たらなくても圧力が体勢を崩す。
イリリの動きはしなやかで力強い。
間合いを取ったキースに追従する。拳が触れた状態からでも、破壊力は並みではない。
身体の横、腰の辺りに食らった。打撃と同じ方向に身を捻ったが、抑えきれなかった。
軽く触れただけでも衝撃が襲った。
足が浮く。
もうそこにイリリの拳がある。
双刀を突き出すのが精一杯だった。
刃を砕き、胸元の武具を破壊した。受け身も取れず、床板に叩きつけられる。
ただの一撃ではない。絶命させる一撃。折れた刀は手放さなかったが、起き上がる様子はない。
「あらら。殺しちゃいました?」
ソマリが投げかける。
全身の力が抜けて倒れそうになるクラナ。
カサロフが寄り添い、腕を腰に回して支える。
泣きそうな顔でカサロフを見るクラナ。
強い目。
分かっている。
今度は私達の番だ。
いつの間にか星空は雲に覆われていた。
雨粒が一滴、二滴。
突然のどしゃ降り。
見上げるイリリ。
床に倒れたまま動かないキース。
雨に濡れても気にしていない。イリリがゆっくりキースに近づく。
「まだ力の使い方が分からないのね」
見下ろす。
うつ伏せのキースの腕を持ち上げる。正面から首を掴んで掲げる。
足が浮いている。
両手には刀身の折れた刀。腕を動かせない程衰弱したキースは、首を絞められて呼吸すら弱い。
絶命寸前だ。
「よく頑張ったわ」
イリリが言った。
キースは、薄れる意識の中で、この状況をどこかで見たと感じる。
イリリに会ったのは今日が初めてだ。あり得ない。あり得ないが知っている。
この後は・・・
私は死ぬのか・・・
折れた刀が手から落ちる。
意識が遠くなる。
愛おしそうな顔でキースを見つめるイリリ。
首を傾げる。
「まだ痛みは感じるのかしら?」
降ろしてみる。
首から手を離すと、立っていられずその場に座り込む。頭は下を向いたまま動かない。
キースの左腕を掴んだ。
突然、殺気の塊がイリリの背後に現れた。
ヴァサンだ。
剣を振り下ろす。
そこにイリリはいない。剣は床板を思いっきり叩く。
イリリは腕を伸ばしたが、ヴァサンの姿はそこに無い。
キースの横には細身の女がいた。
視線で人を殺せるくらいの顔つき。
「次は殺す」
そう吐き捨てると、クラナはキースを抱きしめ消える。
ソマリのいる方を見るイリリ。
目の前に、魔力の塊が迫っていた。腕で弾いたが、嫌な音がした。
もう一人の女は、今まさに船の屋上から飛び降りようとしていた。
「頼みますよ、ヴァサン」
すぐ横に現れたヴァサンに言って、躊躇なく飛び降りるカサロフ。
ヴァサンもすぐ後を追う。
三人が消えて、キースも連れて行かれた。
雨がやんだ。
通り雨だったようだ。
ずぶ濡れのイリリが、恐怖を連れてソマリに近づく。
何を言っても弁解になる。
邪魔をしたら刻むと言われた。
ソマリは死を覚悟した。
目を閉じていても、イリリがすぐそこにいるのが分かる。
抱き寄せられて口づけされた。
目を開けるソマリ。
この顔は・・・
「こんな中途半端じゃ、何も満たされないわ」
民族衣装を脱ぎ捨てる。
いつ見ても欲情を刺激する裸体。艶のある肌に、形の良い大きな乳房。絶妙な曲線のくびれ。
殺人欲求が性的欲求に転嫁している。
ソマリの服を脱がそうとするイリリ。
「イ、イリリ様。ここでするおつもりですか?」
問う。
「うるさい。今すぐ私を満たしてちょうだい」
ため息。
もうこうなったら従うしかない。
しばらくして、警備兵たちが海上飯店に向かったが、乗船間近で真っ二つに折れて沈没したと、後から聞いた。
とても心地好かった。
懐かしい感触と香しい匂い。
ユジン家の長男で、正統継承者だったナックは、両親に厳しく育てられた。武術の鍛練はもちろん、生活習慣にも厳しく、耐えられなくなると、いつも姉のリーメイを頼った。
目を開ける。
いつの間にか寝てしまった。
姉のリーメイに抱かれながら、ベッドに寝ている。頭の後ろに腕を巻きつけられ、豊かな胸に顔を押し付けられている。
幼少の記憶。
泣きながらリーメイの部屋に行くと、ベッドで添い寝してくれて、慰めてくれた。
あの頃と同じだと思った。
違うのは、リーメイが殆ど裸同然だということ。きつく締めていたのが苦しかったのか、胸や恥部を隠す衣装は緩んで、隙間から秘部が見えている。
ナックは起き上がろうとしたが、リーメイの腕がほどけない。それどこか、さらに引き寄せられて彼女の乳房に顔が埋もれる。
これは他者が見れば情事の最中だ。
「姉様、起きているのですか?」
問うが返事はなく、甘い吐息が聞こえてくる。
リーメイの足がナックの足に絡んできた。
彼の股間に膝を擦りつけてくる。
「ちょ、ちょっと、姉様。そこは・・・」
何だこの状況は?
焦るナック。
「目の前にこんな良い女がいるのに、あなたは何もしないのですか?」
問われる。
理解に苦しむ。
リーメイは確かに素敵な女性だ。姉として尊敬しているし、憧れでもある。しかし、姉は姉だ。欲情を向ける相手ではない。
それとも、俺が間違っているのか?
キースとクラナのように、女同士の恋愛があることを知った。姉弟の恋愛があっても不思議ではないのだろうか。
そして、上気した顔のリーメイを見て、抱いてはいけない感情が込み上げている自分がいる。
これはマズい。
これ以上続くと、抑えきれないかもしれない。耐えようとするが、リーメイが積極的に誘ってくる。
理性より本能が上回って、リーメイに馬乗りになった時だった。
何やら外が騒がしい。
リーメイの名を呼び、家に入って来る者がいる。
「リーメイ、急患だ!」
部屋に入ってきた男は、二人の状況を目にして、一瞬で凍りついた。
睨み合う二人。
ぶつかり合う殺気が、部屋の空気を重くする。社交的で人当たりの良いトロエでさえ、耐えきれずに部屋を出た。
カサロフを見て、両手でバツ印を作る。
ため息。
「困りましたね。キース様の容態を確認したいのですが・・・」
「お、恐ろしいです。二人とも言葉数は少ないですが、空気が重いんです」
思い出して震えるトロエ。
「俺が見てくる」
立ち上がるヴァサン。
カサロフとトロエに全力で止められた。
「あなたが行くと悪化します」
カサロフに同意するトロエ。
「な、何故だ。どうしてそうなる?」
「ヴァサンだからです」
トロエ、同意のうなずき。
納得はしていないが、渋々座る。
「もう少し様子を見ましょうか」
カサロフが言った。
「キースさん、でしたか。うちのナックが大変お世話になったようですね。ありがとうございます。でも、ナックにも選ぶ権利があります。色目を使って誘惑するとか、はっきり言って迷惑なので、止めてくださいな」
そう言って笑うリーメイ。
目つきが鋭い。
「こちらこそ、私のキースが大変お世話になりました。ありがとうございます。キースは私のものです。世界一美人だからって、ちょっかい出すのはやめてもらいたいですわ。おたくのナックには、どういう教育をなさったのかしら?」
また睨み合う二人。
「ちょっと、二人とも落ち着いて。キースが寝ているから」
ナックが言った。
状況から察するに、彼女たちが言い争っている原因は、ナックにあると思われる。
本人は気にした様子はない。
リーメイは父親と同じく医学を学んでいた。キースを診察した結果、外傷はほとんど無く、極度の疲労だと診断した。
ただ、気になることがある。傷痕は新しいのに、治りかけていること。キースの回復が異常に早いのだ。
医者としてとても興味深い。薬や術があるなら、今後の治療に活かしたい。
何か秘密があると思い問い詰めた。
「キース様は、人とプレ・ナの間に産まれた方なのです」
迷った末、カサロフが答えた。
「プレ・ナ・・・?」
予想外な答え。
イナハンは魔法文化がほとんど無い国だ。プレ・ナの存在を知らない者も多い。
ユジン家は
プレ・ナに生殖機能が無いことも知っている。
リーメイに納得してもらうには、もう少し説明が必要だと判断した。
キースの母親とカサロフの関係。彼女の旅の目的。結局は密事まで話すことになってしまった。
しばらく沈黙していたリーメイが顔を上げた。
「実は、彼女の服を着替えさせた時に、私宛ての手紙が出てきて・・・」
手紙を見せる。
「ワトシにおられる知り合いの老師様からでした。キースさんに協力してほしい、という内容でしたが、今の話を聞いて納得しました」
戦う相手が同じなのですね。
「アーマン様や二人の従者様には、大変お世話になりました。私達が今まで生きていられたのも、彼らのおかげです」
微力ですが、私達にも協力させて下さい。
微笑むカサロフ。
「それは心強い。よろしくお願いします」
合掌して礼をするリーメイ。
「ですが、だからと言って、キースさんを許したわけではありません。今後、私のナックを誘惑しないで下さいな」
「それは・・・」
返答に困るカサロフ。
「おやおやおやおや。ちょっとおかしな事をおっしゃいますわね、リーメイさん」
クラナが二人の間に割り込んだ。
「私の大事なキースが、そんな下品な事をするばずないでしょ。そちらのナックが、しつこく誘って来るので困っているんですけど?」
「まあまあまあまあ。私のナックがそんな事するはずないですわ。それはあなたの勘違いじゃありませんか? 」
笑顔で睨み合う二人。
この二人、意外と気が合うのでは?
カサロフは苦笑しながら思った。
クラナ監督のもと、リーメイとカサロフで、キースの診察が行われた。彼女がこの家に運び込まれてから二日目。目覚めてから一日経った朝のことである。
ベッドの横の椅子に座るキース。全裸で腰に布を巻いた姿。
昨日まであった傷痕が綺麗に無くなっている。驚くべき回復力。心臓の鼓動も安定感しているし、骨にも異常はない。
ほぼ完治。身体を動かしても問題ないと判断した。
次はカサロフ。
キースは横を向いて背中を見せる。
すぐ目の前にいるクラナと目が合って、少し恥ずかしそうにする。その仕草が可愛い過ぎたのと、キースの裸体が、クラナの鼻息を荒くさせる。
「これは・・・」
カサロフは驚きを隠せない。
キースの背中にある「死印」は、色褪せて消えようとしていた。
鳥の羽根のような形に、指で押したような複数の点。本来は成人(十七才)になってから、羽根が一枚ずつ、点がひとつずつ消えていき、少しずつ「力」を身体に馴染ませる仕組みになっているのだが、自力で解放しようとしたため、こんな形になったと思われる。
ふと、キースの左肩を見る。見慣れない文字の刺青がある。クラナに目を向けると、同じ場所に同じ刺青があった。
横に立っているリーメイを見上げる。
「イナハンが国として成立する前に使われていた文字です」
リーメイが言った。
意味は、『永遠の愛』。
クラナの自慢気な顔を見て、少し笑ってしまった。
先日のキースの戦いぶり、間もなく成人になること。それを考慮して判断する。
「死印」の状態、問題なし。
二人の許可が下りた。
「駄目です」
クラナが何か言いかけたが、カサロフが先に否定した。
何も言えない。
動かそうとした両手を戻すクラナ。
「そういう事は、宿に戻って、二人だけでして下さい」
全て見透かされている。
クラナは、服を着るキースを見ながら、残念そうなため息をついた。
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