episode17 「帰還」

 キースたちが「聖地」へ向かってから二十日あまり経過した。

 予定通りならば、あと十日程で帰ってくるが、現地でまだ奮闘しているか、既に帰路についているか、確かめる方法はない。今はただ、無事であることを祈るだけ。


 今日も酒場は賑やかだ。

 体格の良い給仕の女はよく働く。そしてよく笑い、よく飲む。どっちが客だか分からないくらいだ。

「あんた、最近ちょっと雰囲気変わったねぇ。何ていうか、たくましくなったような」

 相変わらず骨みたいに細いけど。

 背中を叩かれる。

 口一杯に詰め込んだ料理を吹き出しそうになるが、近くの酒で流し込む。

「ここのおかみさんに認められたら一人前です。短期間で大したものです」

 向かいに座るカサロフが言った。

 厨房に向かう給仕の女を見ながら、ひと息つくクラナ。

「そりゃどうも。恐悦至極でござんすわ」

 舌を出す。

 あまり機嫌が良くない。

 修行は順調だ。全然上手く行かなかった事が、ある日を境に良くなった。コツを掴むと、クラナの吸収力は速かった。

 素質ありと思っていたが、急激な成長ぶりにカサロフも驚いていた。

 では、不機嫌な原因は何か?

 ため息をついてテーブルに倒れ込むクラナ。

「はぁぁ~。キースに会いたいよぉぉ~」

 苦笑するカサロフ。

「キース様のこと、好きなのですね」

「『好き』なんて言葉じゃ足りない。早くこの手で抱き締めたい」

 キースに好意を持ってくれるのは嬉しいことだが、ちょっと複雑な心境のカサロフ。


 どちらかが男だったら良かったのに。

 あ、でもそれじゃあ好きになってないかも。


 起き上がって独り芝居して、また倒れ込む。数日前まで尻を押さえて唸っていたのが、今は酒場に来るくらい元気だ。

「少し昔話でもしましょうか」

 カサロフが言った。

 ジョッキの酒をひと口。クラナをじっと見つめる。

「私がキース様とお会いしたのは、産まれてからひと月ほど経ってからでした」

 クラナが起きる。

「自覚がなくても我が子同然。本当に嬉しく、とても愛しく思いました」

「可愛いかったろうなぁ」

 想像して笑顔になるクラナ。

「コンサリと私、父親のアーマン様、従者のメラス、ファウザ。キース様の成長を見守りながら、とても幸せな日々でした」

 本当に幸せだったのだろう。カサロフの顔は慈愛に満ちていた。

「特別な子ですから、不安なことが沢山ありましたが、特に変わった様子もなく、普通の子と同じように育てました」

 顔を見て笑ってくれたこと。

 初めて立ったこと。

 名前を呼んでくれたこと。

 カサロフの言葉には愛情が溢れていた。大切に育てられたことが伝わってくる。

「私はキース様に、普通に、ごく普通に成長して、幸せになって欲しかった。それなのに、巻き込んで、置き去りにして。後悔なことばかりです」

 表情が硬くなる。


 当時の事は少し聞いた。

 コンサリが連れ去られ、カサロフたちのところにロズが来た。彼の能力に何も対抗できず、幼いキースがカサロフたちの命を救った。

『力』の暴走。

 止めるには最上級の封印術しかなかった。

 背中の呪印はその時のもの。

 コンサリを取り戻すため旅立つ。幼いキースとの別れ。

「四才なんて、まだ親に甘えたい年頃なのに」

 キースの心情を思い、泣きそうになるクラナ。そんな彼女を見つめるカサロフ。

「私の代わりにキース様を守って下さい。そのために出来る限りのことを教えますから」

 クラナの様子が変わる。

 姿勢を正して、真剣な顔でカサロフを見た。

「じゃあさ、アレ、教えてよ」

 アレ、ですか。

 予想通りで笑いそうになる。

「駄目です」

 椅子から落ちそうになる。

「なんで?」

 どうにもクラナの動きや反応が、カサロフには可笑しくて仕方ない。師として笑うわけにはいかないので我慢する。

 結果の顔が苦笑顔だ。

「まだアレしか言ってないですけどぉ」

 語尾を強くして訴える。

「魔力のコントロールについては、確かに良く出来ています」

 カサロフの言葉に、自信満々の顔を返す。

「ですが、あの攻撃魔法《《》》は目標に届くまで魔力をコントロールしなければなりません。それは、今のあなたには無理です」

 クラナは少し考え、何かに頷き、何もなかったかのように食事を続けた。

「はいはい、分かりました。あたしにはそんな難しいこと出来ませんです」

 ジョッキの酒を飲み干し、おかわりする。

 苦笑するカサロフ。

 なんて分かりやすい性格。やる気満々だ。



 魔力は十分溜まった。

 問題はここからだ。魔力を矢のように形成して、標的に飛ばす。同時に次の攻撃に備えて、また魔力を溜める。

 放出と蓄積をほぼ同時にやって、狙った標的に魔力を導く。

「セベラッチ」

 プレ・ナの呪文。

 魔力の矢を形成する。

 カサロフほどではないが、それなりの形になっている。

「アターカ!」

 発動の呪文。

 魔力が武器となって飛ぶ。

 放出した魔力は標的に届く前で形が崩れ、失った魔力は補充できていない。

 何もかもが駄目だ。

 どこから悪い?

 形を作るところ。いや、魔力の集め方が駄目なんじゃないか。カサロフはどうしてた?なんで形が崩れない?

 彼女の姿を思い出す。

 動きに無駄がなく、優雅ささえ感じるやわらかい動作。反して、大気に含まれた魔力が一気に集まる。

 白い息を吐く。

 昨夜は少し気温が高かったせいか、降り積もった雪は氷っていなかった。

 さらさらの雪だ。

 足元の雪をしゃがんで手に取る。軽く手を握ったくらいでは固まらない。もっとこう、力を込めて握らないと駄目だ。

 圧縮する熱で少し雪が溶けて、小さな粒が混ざり会う。雪の玉ができた。

 立ち上がるクラナ。

 喉の詰まりがすっと取れたような感覚。

 なるほど、そういうことか。

 魔力の密度だ。

 上手く形を作ろうとして、無意識に取り込む魔力量を調整していた。そうじゃなく、魔力を強く固めることが大事なんだ。

 同じ呪文でも、術者の認識や感覚の違いで、威力も精度も変わる。

 よし、もう一度・・・

 背後に気配を感じる。

 知らぬふり。

 詠唱無しで、魔力の矢が飛んで来た。直前まで我慢する。右に曲がった。避けたつもりが少しかすった。

 ちくしょう、寸前で曲げるとか意地悪過ぎる。


「早朝から練習ですか?」

 いつから見てたんだろ。

「キースが帰ってくるまでに完璧にしとかないと」

 微笑むカサロフ。

 誤魔化せた、かな?

「良い心掛けです」

 クラナのすぐ横で立ち止まる。

 片手をゆっくり上げる。魔力が指先に集まっていくのが分かる。

「セベラッチ」

 フワフワと漂っていた魔力が、一気に収縮し、そこから細長く先端の鋭利な矢の形を作る。

 頭上の腕を振り下ろす。

「アターカ」

 一瞬で遥か向こうの雪が吹き飛ぶ。

 粉雪が舞う。

 やっぱり凄い。威力も精度も。

 カサロフの方を見ると、こっちを見て微笑んでいた。

「食事にしましょう。手伝って下さい」

 それ以上何も言わず、振り返って歩き出す。

 怒っている感じではなかったよね。



 二日目の朝。

 簡易テントから出るヴァサン。

 相変わらずの寒さだが、天気は良い。

 彼を見て起き上がるジバ。軽くなでてやって、食事の準備を始める。

 何度も『聖地』への案内をしたが、今回ほど落ち着かないことは無い。

「おはようございます。早いですね」

 トロエも起きてきた。

 平静を装っているが、明らかにいつもと様子が違うヴァサン。今日も晴れましたね、と言って彼の顔を見る。

 予想通り返事はない。

 キースたちの事を考えているのだろうが、特に詮索はしない。

 すぐ横にはロカの壁。何度も見ても圧倒される高さ。この向こうに『聖地』がある。長年この仕事をしているが、どんなところか知らない。送るばかりで、『聖地』の話を聞く機会がないからだ。

 想像するに、トロエは争いのない楽園だと思っている。毎日が楽しくて、悲しいことや辛いことなんかひとつもない、まさに理想郷、みたいな世界。

 本当にそんな世界なら行ってみたいと思うか。いや、思わない。三日ともたずに飽きてしまう。多少辛いことや苦しいことがあっても、変化があったほうが楽しいに決まっている。

 だからこそこの仕事を選んだ。

 危険を伴うが、やりがいのある仕事だと思っている。


 食事の後は道具の手入れやジバの毛繕いをして、時間を潰した。キースたちがいつ帰ってきてもすぐに出発できるよう、旅の準備は怠らない。

 時々、ヴァサンが手を止めて、じっと遠くを見つめているが、トロエは気づいていないふりをする。

 太陽の位置から考えて、夕暮れ前の時間になった頃。そろそろ広げた道具類を片付けようかと、ヴァサンに目をやった時。

 トロエもヴァサンも、作業の手が止まった。

 寝そべっていたジバが、急に頭を上げて、何故かくちばしをカタカタ鳴らした。

 何だろう、この感じ。胸騒ぎみたいな悪い感じではない。

 もう一度ヴァサンに目をやった。

 今まで見たことがない、驚きの表情。壁のほうを見ている。トロエも振り返る。

 透明で触手のようなものが、壁から突き出ていた。「聖地の試練」の時と比べものにならない数だ。壁から得体の知れない、巨大な生物が飛び出してきそうだ。

 こんな現象初めてだ。

 どうしていいか分からない。

 突然、酒瓶の栓がポンッと飛んでいったような、そんな勢いで壁に穴が開いた。

 開いたと同時くらいに、壁の穴からキースとナックが現れた。

「無茶だ。五日でリノーズまで帰るなんて!」

 ナックが叫んだ。

「無茶でもやるしかない」

 足早でヴァサンたちに近づく。

 キースは二人には目もくれず、ジバに近づく。ジバは全く警戒していない。暫く見比べてから振り返った。

「すまないが、ジバを一頭お借りしたい」

 キースが言った。

 状況が全く分からないが、無謀な速さでリノーズへ帰らなければならないようだ。

「何があった?」

 ヴァサンが問う。

「カサロフさんの病気が治るかもしれない」

 答えたのはナックだった。

「ただ、その薬の効力に期限があるらしい」

 キースの手には、瓶のような容器。

 ヴァサンは少し考えて、

「ジバをリノーズまで止まらずに走れるように仕上げてやる。明日の朝まで待て」

 と言った。

「途中でへばってしまったら何にもならんだろ?」

 ヴァサンの言葉を聞いて、キースはようやく顔つきが穏やかになった。

「分かりました。感謝します」

 そう言って、彼女はじゃれてくるジバをなででやった。

 ヴァサンはナックを見た。

「何があったか説明しろ」

 ナックはうなずき、『聖地』での出来事を話し始めた。



「魔刀キース」の止め金を外した。

 小さな声で何か呟く。それは自分の戒めを解くための呪文の言葉。

 ゆっくりと刀を鞘から抜く。緩やかな曲線を描くそれは、先端が両刃の斬る《《》》より突く《《》》に特化した刀。

 両手で柄を持って下段に構える。

 笑みを浮かべるサロワ。操るのは主の魔法使い。額の文字は光ったままだ。

 手を上げる。

 ナックと同じく魔力でキースを包み込む。

 圧縮。

 直前で消えた。

 キースは何もしていない。何事も無かったかのように、サロワの左側から間合いを詰める。

「なるほどね。これが進化の答えか」

 キースが迫っているのに、警戒している様子はない。

 軽く一歩踏み出す。

 二歩目で一気に距離を詰める。ナックの足技の応用。

 刀を振り上げる。

 首を狙ったが、そこにサロワはいなかった。踏み出す前と同じ距離間。

 腰を落として低く構える。二歩目で飛ぶ。今度はもっと速く距離を縮める。

 一瞬めまいのような感覚。

 刀を振ったが、やはりサロワは離れていた。

 魔力でない力。

 キースは大きく息を吐き、目を閉じた。五感を狂わされているなら、使わなければいいだけ。

 刀を鞘に納める。そのまま姿勢を低くして、素早く抜刀。鈴のような音と魔力とは違う力が、刀身から放たれた。

 サロワは手の平を向ける。その魔法陣は魔力だけでなく、有を無に変換する力がある。

 飛んで来た力は忽然と消えた。

 そこにキースがいた。

 目の前で斬られた腕が宙を舞う。

 さらに首を狙う。庇った腕がまた斬り落とされる。

 浮いたのか、飛んだのか。

 サロワは刀の届かない場所まで移動した。

「参ったなぁ。この身体では君に・・・!」

 もうそこにキースがいた。

 構えた刀身は来ない。足を踏まれ、動きが鈍った。

 額の文字を「魔刀キース」が貫いた。

 腕を斬られても頭を貫かれても、赤い血は流れない。

 刀を引き抜こうとしたが抜けない。

 サロワは笑っていた。

「君の成長速度は恐ろしいな」

 まあでも、ここで会えて良かったよ。

「もう会うことはないからね」

 貫いた文字の光が薄れる。

「君は僕のいる所にはたどり着けない。どんなに成長しても、イナハンにいるイリリには敵わない」

 絶対に。

 同じような言葉を何度も繰り返す。

 サロワの中の男の気配が消えた。

 刀の負荷が取れた。キースは素早く抜き、サロワの首を斬った。

 鈍い音をたてて転がる。

 キースは刀を鞘に納め、斬り落とした頭に近づいた。

「カサロフを助ける方法があるのか?」

 問う。

「お前・・・の、母親の肉体からだに近づければ、な」

 かすれた声でサロワが答える。

 途切れながらも方法を話す。

 最後に、

「奴の仲間が・・・ドガイのフィニカという街にいる。俺たちを・・・作った男だ。そいつを倒せば、・・・もう・・・」

 男の存在が消えた。

 部屋の隅にいたパパスが動き出す。キースの方へ歩きかけて止まる。後ろを向くとナックが『魔法樹』の外から登ってきたところだった。輪具の力で折れた骨も回復している。

「何だ今のは?! 再生に時間がかかってしまった」

「プレ・ナの魔力だからな」

 登りきったナックに答えるパパス。

 キースを見るナック。

 状況は一目瞭然だ。

 二人はキースに歩み寄った。

「ここには誰もいないのか?」

 ナックが言った。

『魔法樹』に入る前から今まで、サロワ以外誰にも会っていない。

「人との接触を嫌うからな。今は深部におるんじゃろ」

『魔法樹』の地下深くに集まっているらしい。一日のほとんどは、吸い上げた「力」を魔力に変換する作業を繰り返す。

 パパスはずっと上を見ているキースの足元に寄り添った。

 樹の枝に似たものが、幾重にも重なり入り乱れて、上は見通せない。

 この先に母がいる。

「この上は、大気に魔力を放つ場所じや。その力を利用して、お前の母は精神をカサロフに飛ばしていた」

 ワシの肉体もそこにあった。

 何故か過去形。

 キースは下を向いた。

「もうここには帰らないつもりだったからな。三十年も放置すれば、樹に取り込まれておるわ」

 一度目をそらし、もう一度キースを見るパパス。

「お前の母が十年か。果たして姿が残っておるかどうか」

 サロワから聞いた話を思い出す。


 肉体がまだあれば助ける方法がある。肉体と樹は、何本ものつるのようなもので繋がっていて、それが体液を循環させて肉体の劣化を防いでいる。蔓には体液を浄化する機能と一時保存するための木の実のようなものがある。ひとつもぎ取って、分け与えよ。

 それで病気は治るはずだ。

 ただ、ある一定の時間が過ぎると、肉体は樹に取り込まれて同化する。


 途切れながらもサロワが教えてくれた方法。何故こちらの味方についたのかは分からない。

「学者は、調べて結論を推理して、それが正解だった時、この上ない喜びと達成感を得る。コイツはそれが欲しかったのだろう」

 パパスが言った。

 既に生命力を失ったサロワの肉体。異国の服だけ残して、中身は塵となり消えていた。もう確かめる術はない。

「どうやって登ればいい?」

 キースが問う。

「本来は魔法で指示を出すのだが、お前の場合は、・・・はて、どうしたものか」

 パパスやナックでは意味がない。本人が魔法で命令しなくてはならない。そもそも、魔力を持たない者がこの地にいることが想定されていない。

 ふと、思いついた。

 ナックを呼んだ。

 キースのすぐ後ろに立たせる。

「目一杯の魔力を集めろ」

 言われるがまま、ナックは輪具に魔力を集める。パパスは彼の肩に乗り、好機を待つ。

「何をする気だ?」

 と、ナック。

「試してみたいことがある」

 以前にカサロフと話していたことを思い出す。試すなら今が絶好だ。

 パパスの指示に従い、片手をキースの背中に添える。

「ポフ・スターカ」

 プレ・ナの魔法言葉。

 ナックの表情が変わる。

「な、何だこれは?」

 全身の血が、生命力が、根こそぎ吸い取られていくような感覚。

 これは・・・

 輪具で集めた魔力が、キースの身体に流れ込んでいた。凄まじい吸収力だ。

「やはりそうか」

 パパスは納得しているが、ナックは違う。

 キースは魔力を取り込めない体質だったのでは?

「魔力の質と量に問題があったのだ」

 彼女は魔力を取り込めない、のではなく、大陸の魔力では足りなかったのだ。それは、プレ・ナの血を受け継いでいるから。

 初めての感覚に戸惑うキース。

「どれくらい魔力が維持できるか分からん。さっさと行ってこい」

 パパスが言った。

「どうすればいい?」

「念じればよい。今やりたい事を」

 キースは見上げた。

「私は・・・」


 私は、コンサリ・・・母に会いたい


 不思議な感覚。

 全身に何か別のものが混ざっていて、それが身体から抜け出たような、そんな感覚。


 遥か上の交錯した枝が、生き物のように動き始めた。その中の一本がゆっくりと降りてくる。キースのすぐ目の前に着地。巨人が腕を差し出して、乗れと言っているようだ。

 振り返って、パパスを見るキース。

「従えばよい。時間に限りがあることを忘れるな」

 うなずくキース。

 手のひらのように平らになった部分に乗る。

 すぐに枝が動き出す。ゆっくりと、確実に上がっていく。無数の枝が道を開け、更に上へ。

「大丈夫なのか?」

 キースが見えなくなった頃、ナックが問いかけた。

「分からん」

 長い間『聖地』から離れていたせいもあるが、予想外の事が多く、パパスはそれしか答えられなかった。


 乗っている枝が止まった。

 キースは大きく息を吐く。

 何とも言えない感情が込み上げる。

 以前リノーズの酒場で、コンサリと間違えられたことがあった。

 ひと目見て納得した。

 緑色の髪。顔つき。本当に似ている。巻き付いた蔦のようなもので全身は見えないが、背格好も同じくらいだ。

 眠っている。

 声をかけたら目を開けて、起きそうだ。痩せ細っているでなく、肌つやも良い。本当に十年以上このままなのか。

 人より長く生きるプレ・ナだからか、カサロフより若く見える。

 彼女が母という実感は無い。思い出も記憶も無い。なのにこの感情は何だ。顔に手をあてると、自然に涙が溢れていた。表情は変わっていないはずなのに、成長した姿を見て、微笑んでいるように感じる。


 やっと会えた。

 あなたと話をしてみたい。

 必ず取り返します。


 巻き付いた蔦を辿ると、楕円の木の実のようなものがいくつもぶら下がっていた。あれがサロワの言っていたものだろう。

 コンサリの近くの枝に乗り移る。木の実を持って軽くひねって切り離す。繋がっていた蔓から赤い液体が出たが、すぐ修正され、新たな実ができ始めていた。取った実には繋がっていた管が付いている。中の液体《《》》がこぼれないように結んだ。

 元の枝に戻る。すぐに降下を始めた。

 今は何も出来ない。

 見えなくなるまで上を向いているだけ。

 道を開けていた枝が、元通りの位置に動き始めた。

 一瞬下を向くキース。


 ・・・頼みましたよ


 慌てて顔を上げる。

 枝が交錯してコンサリの姿は見えない。

 いま、声が聞こえた気がした。



 簡易テントの中。

 オイルランプの灯を調節するヴァサン。

『聖地』での出来事を話し終えて、ひと息つくナック。

「要するに、お前は大して役に立たなかった、ということだな」

 真顔で言うヴァサン。

 後ろを向き、肩を揺らすトロエ。

 本気でないと分かっているが、事実なので笑えないナック。助けを求めてキースを見たが、既に寝ていた。

「それで、あの木の実のようなものをカサロフに投与すると、病状が回復するのか」

 ヴァサンの言葉にうなずくナック。

「あくまで、サロワが正しい事を言っていれば、ですけど」

 嘘を言っているとは思わなかったが、正解かどうかも分からない。


「木の実の中身は、おそらくコンサリの血液じゃろう。ならば、鮮度が大事。魔力濃度が高い聖地ここなら何日経っても大丈夫じゃが、大陸だと五日程で腐ってしまうな」


 ランフィー・ギニーの村を出る時、パパスが言った。前例は無いが、五日を目安にしておけば間違いない、と。

「過酷な旅路じゃか、ヴァサンなら何とかするわい」

 信頼も度が過ぎると嫌味に感じる。

 今ここで、パパスに文句を言ってやりたい。

 ヴァサンはそう思っていた。

「しかし、パパスさんがいなくなると、寂しくなりますね」

 トロエが言った。

 パパスは『聖地』に残った。


「もう大陸に用はない。あとはここで余生を送る」

『魔法樹』から出てすぐ、パパスが言った。

 サロワはいなくなったが、また別の仲間が来るかもしれない。コンサリを守るつもりだとすぐに分かった。

 全員が振り返っていた。

『魔法樹』から伸びる通路。

 次々と人が現れた。

 姿形は確かに大陸の人と変わらない。細身で肌は白く、瞳は青い。顔つきは大陸北部の民族と同じで彫りが深く鼻が高い。だが何となく違う。そういう表現しか出来ない。

「パパスさん、お久しぶりです」

 先頭の若者が言った。

 言語は同じだ。

「彼、サロワは良い存在ではありませんが、害は無いと判断して迎え入れました。結果的に、色々成果を上げてくれました」


『魔法樹』はあまり好きではなかったようですが。


「ワシの旅は終わりじゃ。大陸での武勇伝を聞かせてやるから、楽しみにしておれ」

 微笑む若者。

「それはいい。みんな喜びます」

 後ろのプレ・ナたちが横に広がって、通路の前を開ける。

 高齢と思われるプレ・ナが独り、通路をゆっくりと歩いてきた。

「なんじゃ。まだ生きとったか、クソじじぃ」

 パパスが言った。

「それはお互い様だ、チビじじぃ」

 しばらく何か言い合っていたが、高齢のプレ・ナはキースを見て閉口した。

 ゆっくりと、キースに向かって歩き出す。

「コンサリの子か」

 そう言って、片手を差し出す老プレ・ナ。

 キースも手を出す。その手を握る。

 なるほど、と何かを感じ取り、うなずく老プレ・ナ。

「カサロフの印に上書きするか。なかなかの強者だ」

 キースを見た。

「よいか、コンサリの子よ。背中の封印は、お前が十七になった時、解放される。上書きした女の判断だが、それは正しい。心しておけ」

 もうひとつ。

「お前は常にコンサリに守られている。その事を忘れるな」

 首を傾げるキース。

 いずれ分かる。

 老プレ・ナはそれ以上何も言わず、去っていった。



 早朝。

 準備を終えて再確認していた。そこにキースがやって来た。

「おはようございます」

 キースには目もくれない。

 安全を考慮して十日かかるところを、五日で帰ろうというのだ。準備に落ち度があってはならない。

 ジバはキースを見て、甘えるような声を上げた。軽く撫でてやる。

「もう行けるのか?」

 ヴァサンが問う。

「はい。いつでも」

 昨日は早くから寝ていたし、顔色も良い。

 何か言いかけてやめる。荷物の固定具合をもう一度確かめる。

「無茶なことをお願いして、申し訳ありません」

 キースの声は聞こえているはずだが、ヴァサンの反応はない。

 準備万端だ。

「コイツは三頭の中で若いし元気だ。多少の無茶にも耐えられる。だが、必ず一日は休息を取れ。それが結果的に近道となる」

「分かりました」

 必要最小限の荷物。五日分の食料と防寒服等。腰の刀は布で巻く。リノーズが近くなったら、荷物は全部捨てろと言われた。

 ジバに乗るキース。

「では、先に行かせてもらいます」

 ヴァサンがジバの手綱を掴んだ。

「過酷な旅路だが、大丈夫だ。必ず成功する」

 防寒具で表情は分からないが、キースの目つきが少し変わった。

 ナックとトロエが起きた頃、キースの姿はなく、ヴァサンの大きな背中が待ち構えていた。



 夕食の準備まで少し時間がある。

 カサロフは教えてくれないので、自分でやるしかない。形を作るところまでは出来ている。問題は標的に当てるまでのコントロールだ。

 炎や氷の攻撃魔法は、魔力を変換して、着地点を決めてしまえば終わりだが、この魔法は違う。初動から着地点まで、魔力の塊を維持しつつ、標的まで指示しなければならない。

 集中力と根性(クラナ個人的)がいる。

 少しでもキースの役に立ちたい。魔力の供給と破壊力のある攻撃魔法があれば、絶対良いに決まっている。

 何としても会得したい。

 場合によっては、キースに頼られる事があるかもしれない。

 キースに頼られる。

 キースが頼ってくれる。

 キースはあたしだけのもの。

 想像するだけで顔がニヤけてしまう。

 いつもの広場に向かう途中、何かがこちらに迫っていた。あれは・・・ジバだ。誰か乗っている。防寒具で顔は分からないが、キースだと思った。

「あー、駄目だ。キースが恋し過ぎて、とうとう幻覚が見えてきた」

 キースに早く帰って来て欲しい、という思いが見せた幻覚。無意識に自分で自分に幻覚魔法をかけたんじゃないかと思う程、鮮明で臨場感があった。

 手綱を引いて、勢いよく止まる。

 幻覚はクラナの目の前でジバから降りて、彼女に抱きついた。

「クラナ、帰ってきたよ」

 キースの声がした。キースの匂いがした。

 我ながら、何と現実味のある幻覚だろうか。感触までキースだよ。

「ジバを頼む」

 キースは急いでカサロフの家に向かった。

 見送るクラナ。

 幻覚・・・なんだよね?

 振り返ると、ジバと目が合った。

 ジバはカタカタとくちばしを鳴らし、威嚇した。



 暖炉の前で片腕をさするカサロフ。まだ少し痛みがあるが、大して問題ではない。

 懐かしい感覚。

 キースが『聖地』から持ち帰ったもの。無事に帰還したことを喜ぶ間もなく、彼女の説明を聞く。

 方法など分からなくても、身体に近づけるだけでよかった。

 楕円の木の実のようなそれは、切断した管が勝手に動きだし、カサロフの腕と繋がった。中の液体が流れ込む。

 コンサリと精神がつながっていた感覚を思い出す。

 役目を終えた木の実は塵となり消えた。

 常に感じていた身体のだるさが無くなり、一定の効果を得たと思った。

 過酷な旅路で疲労が貯まっていたキースは、その後すぐ眠ってしまった。今も奥の部屋で寝ているが、クラナが付きっきりで看病しているところだ。

 時々聞こえる、ため息だか喘ぎ声だか分からないものが気になるが、二人の問題だし、情事に口を挟むつもりはない。


 二日後。

 ヴァサンの家からジバの世話を終えて帰ってきたキースと三人、暖炉の前に集まる。

『聖地』での出来事、クラナの修行の事、これからの事を話し合った。

 目的は変わらない。

 奪われたコンサリの精神を取り返すこと。そのためには、東の国イナハンに行かなければならない。

 そこに魔法使いの仲間、イリリがいる。

 だが、その前に・・・

「スレイとラザンが待っている。彼らの手助けがしたい」

 キースが言った。

 微笑むカサロフ。

「そうですね。彼らとの約束ですから」

 クラナを見て、キースを見る。

「修行の成果を試す良い機会ですが、これはキース様の同意がなければ実行出来ません」

 カサロフが言った。

 キースの表情が曇る。

 契約のことだ。

 キースとクラナの命の契約。

「クラナ、私は・・・」

 キースの言葉を止めるクラナ。

「あたしの事なんか気にしなくていい。キースはあたしの命そのもの。少しでも役に立てるなら安いもんよ」

 契約の代償は大きい。

 クラナは椅子から立ち上がり、キースを後ろから抱き締めた。

「キースを独り占めよ。こんなに嬉しいことはないわ」

 今でも十分独り占めですが。

 思ったが、言葉には出さないカサロフ。

「私だけではどうしようもない。よろしく頼む」

 クラナ、満面の笑み。

 カサロフの心境は複雑。

「契約の儀式は少し時間がかかります。夕食の後にしましょう」

 はーい!

 クラナはご機嫌だ。

 分かっているのだろうか。これは生死に関わる契約だ。浮かれ気分でするものではないのだが。

 カサロフは笑みを浮かべる。

 愚問だ。

 それがクラナという女。真っ直ぐな性格で、自分の価値観を最優先する。

「キースとあたしは一心同体。今夜からずっと一緒のベッドで寝るからね」

 キースの顔を覗き込むクラナ。

 何故か恥ずかしそうにするキース。

 女同士で楽しいものなのか、カサロフには理解出来ない。

 分かっているのは、クラナの裏表のない性格が羨ましい、ということだった。

 


 キースの笑顔が旅路の成功を示していた。

 十二日の旅を終えて家に着くと、そこにキースが立っていた。共に旅したジバの世話をしていたところだったのか、彼らが到着することを知っていたのか。

 そんな事、どうでもよくなった。

 言葉を交わす前に、キースがヴァサンに抱きついた。続いてトロエ、ナックの順。

 五日間でも十二日でも、過酷な旅路に変わりはない。共に旅したからこそ分かるというもの。

「無事でなによりです」

 キースが言った。

「お前もな」

 ヴァサン。

 彼は笑みを浮かべていた。


 酒場に誘ったが、やはりヴァサンは来なかった。トロエも渋々断った。

 コンサリを完全に取り返したわけではないが、一歩前進、ちょっと色をつけてもうひと息と説明した。

 酒場の村人たちは拍手喝采、祭り以上の盛り上がりだ。

 ありがとうキース。ありがとうキース。

 コンサリ、ありがとう。

 次々とキースに抱きついてくる。

「やっぱりあたしの目に狂いはなかったね。出来るだと思ったよ。一杯もらってもいいかい?」

 そう言って、何杯目かの酒をあおる給仕の女。その飲みっぷりにまた拍手。さらにはみんなで唄を合唱。肩を組まれてもそんな唄は知らない。ナックは両脇の男の口に合わせるだけ。

 キースに抱きつく男たち。

 クラナが必死で守ろうとするが、軽く吹き飛ばされる。

 コイツら、魔法で飛ばしてやろうか。

 殺意を抱くクラナ。


 賑わいが少しおさまったところで、キースたちは酒場の隅の席へ移動した。

「一緒に来ないか?」

 唐突にキースが問う。

 再会した時から思っていた。もう一度一緒に旅がしたい。いや、側にいて欲しい。体調が回復しているのなら尚更だ。

 クラナも同意した。

 まだまだ学びたいことがある。

 ナックはここから別行動でイナハンへ向かうと言っている。ゴルゴルでスレイたちに参戦した後のことを考えると、戦力的に不安なこともある。

 カサロフは嬉しそうな顔をしたが、ジョッキを置いて姿勢を正した。

「ありがとうございます。とても嬉しく思います」

 幼いキースをドレイドに置き去りにしたこと。今でも後悔している。その事を気にせず誘ってくれるのは、この上ない喜び。

 だが・・・

「アーマン様がここを旅立つ時、迎えに来ると言って下さいました。とても大切な約束です。ですから、それまで待っていたいのです」

 笑顔だが、強い意志が伝わってくる。

 十年も待たされて、まだ信じているのか。

 あの男を。 

 開口したが言葉は出ない。説得は無駄だと感じた。クラナもナックも同じ。

 キースは分かった、とひと言。残念さがにじみ出ている短い言葉。

「クラナはよく学びました。きっと良きパートナーとなるでしょう。ですから何も心配してません。安心して見送ることが出来ます」

 カサロフが言った。

 何故か照れるクラナ。

 隣でジョッキを勢いよく置くナック。珍しく酒を飲んでいた。

「俺ももっと修行を積んで、イナハンで再会した時には、頼りになる男になってるからな」

 少し酔っているようだ。

「大陸の東側は体術が盛んだと聞いています。ナックさんの活躍する場が増えてくるでしょう。期待しています」

 カサロフに言われると何だか嬉しくなる。

 意味もなく雄叫びをあげるナック。

 何だか分からないが、彼に便乗して大声をあげる男たち。

 また大宴会の始まりだ。

 予感があったのか、給仕の女はジョッキを持てるだけ運んできた。

 厨房の主人が根をあげるまで、酒樽が空になるまで、小さな村の小さな酒場は、地鳴りがする程盛り上がった。


 出発は早朝。

 前日にヴァサンが珍しくカサロフの家にやって来た。馬二頭と旅の荷物。餞別だと言って置いていった。

 おかげで一日早くの旅立ちとなった。

 目覚めてから出発まで、ずっと笑顔でいられた。キースたちが見えなくなって、我慢していた感情が溢れた。

 涙が止まらない。

 会いに来てくれたこと。立派に成長していたこと。旅に誘ってくれたこと。


 全て終わったら、また会いに来る。


 最後にキースが言ってくれた言葉。

 心が揺れた。

 本当にいいのか。キースのおかげで体調は良くなってきた。 今こそキースの力になる時 ではないか。

 十年待った。

 いつ守られるか分からない約束より、今を大事にするべきでないか。

 自問自答を繰り返す。

 考え過ぎて、呼ばれていることに気づかなかった。

 振り返ると、ヴァサンが立っていた。

 慌てて涙を拭く。

「珍しいですね。キース様を見送りに来たのですか?」

「違う!」

 即答だ。

 しかも何故か怒っている。

 後ろにナックがいた。彼はヴァサンの家で寝泊まりしていた。

「おはようございます、ナックさん」

「おはようございます」

 ナックは特に変わった様子はない。

 ヴァサンは何に怒っている?

「何とかしろ」

 ヴァサンが言った。

「何をですか?」

 ナックが歩いてきて、二人の間に立った。

「ヴァサン、俺を弟子にして下さい!」

 一瞬理解出来なかったが、そういう事かと納得した。

 キース様の周りには、本当に個性豊かな、面白い者たちが集まりましたね。

「笑ってないで、何とかしろ」

 またヴァサン。

「私に言われても困ります。これは貴方の問題です。ご自身で決めなさい」

 そう言って、カサロフはさっさと家に入ってしまった。

 取り残されたヴァサンは、どうしていいか分からず、なるべくナックと目が合わないようにしている。

「俺はただの案内人だ。何も教える事がない。弟子なんかとらん!」

 何日も同じような問答が続いている。

「では、しばらくでいいので、仕事のお手伝いをさせて下さい。力仕事なら任せて下さい。俺がいれば百人力です!」

「そんな馬鹿力がいるような仕事はない!」

 ヴァサンは足早に帰路に向かう。

 追いかけるナック。


 ずっと二人の大声が聞こえる。

 扉を少し開けて、彼らを見送るカサロフ。大丈夫。ヴァサンなら良い師になれます。

 見守る笑顔のなかに、心の迷いを隠すカサロフだった。



 リノーズより遥か南。今は遺跡と化した古い街。岩山を削り、掘って、かつてはプレ・ナたちが住んでいた。

 もう数百年も昔の話。

 二十年前、海を渡って二人の男が大陸にやって来た。目的はそれぞれ違う。

 ひとりは魔力の源を母国に持ち帰るため。

 ひとりは己の技術向上のため。

 魔法使いと人形師。

 魔法使いは失敗した。偶然その場に居合わせた剣士に殺される。

 人形師は生身の人と変わらぬ人形を造ることが出来た。だが、魂を定着させ、その人形に『生』《せい》を与える技術が無かった。それを求めて、大陸にやって来た。

 プレ・ナが残した技術。

 人形師は見つけた。未完成だった技術を大成させた。

 まずは魔法使いを呼び出した。成功だ。彼はもう失敗しないように、仲間が欲しいと言った。

 強い剣士。研究者。そして、もうひとり。絶対的な強者。我ながら最強な者を呼べたと自負している。生きている者の魂を人形に移すことも成功した。

 魔法使いは三人の仲間を使い、次々と計画を進めて、母国へ帰った。

 人形師は?

 魔法使いに頼まれたプレ・ナの人形に手こずっていた。

 その間に魔法使いの仲間が二人、冥界へ帰った。研究者は元々戦闘能力が低かったので理解できるが、まさかあの剣士を倒す者が現れるとは、想像していなかった。

 魔法使いは、あとひとり、最強の戦士がいるから作らなくていいと言ったが、この先何があるか分からない。人形師は、自分の護衛用に人形を作った。

 これで本題の人形作りに専念出来る。

 誰にも邪魔されない。

 ・・・そう思っていたのに。

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