罪、返る愛は人でなしの証

 ナギの視線の先には城があった。

 青く深い泉の真ん中に浮かぶ折れた大木のように、周囲を水に囲まれ森閑と佇んでいた。

 あの沈む城に近付くには水の中を泳ぐしか手立てはない、だがそれでは周りに浮かぶ死体と同じ末路になってしまう。どうすれば、どうすれば水に触れずに城まで行ける。

 ナギは考える。「そうだ」閃きながら同時に城の裏側に回る。城の裏側は高い崖になっており、そこからジャンプすれば二階か三階の窓のどこかに飛び込めそうだ。

 案の定裏手の崖と城の窓は人間二人が縦に並んだ程の距離だった。

 唾を飲み込む。ナギは近くの石を拾い窓ガラスに投げつける、バリン! と音を立てて小さな入り口が出来る。もう一度石を投げつける、枠に残ったガラスをどんどん砕いていく。


「ウルワ! アガミ! いるのかー!」


 開けた歪な穴の中に向かって声を張り上げる。真っ暗な城内に人の気配はない。

 返らぬ返事に不安や孤独が溢れてくる。この非現実的な惨事の中にカンナもいない、一人ぼっち、ウルワやアガミの姿は見えない、状況は暗澹としていて今すぐにでも膝を折り、立ち竦みたい。

 だけど出来ない、二人がまだ生きている望みがあるのなら会いたい。暗い思考を振り切るように光を求め頭上の月を見上げた。

 そこには見てはならないものがあった。


「ッ、嘘だろ」


 あれはもはや天上の小さな衛星ではない。惑星だ、城より巨大な惑星が空から飛来し、ゆったりと上空に沈滞していた。その大きさは計り知れず、空一面が月の表面と表現するしかない。

 眼前を覆い尽くす圧倒的な質量を前にナギは畏怖した。白く輝く巨星は確実に近付いて来て、やがて二夜に衝突し大地が消し飛ぶ未来を想像させた。

 こんな事が出来るのは――そう、月、月の異能をもつ王。

 ナギは確信した、これはオウサマが引き起こした災いなのだ。月が一番よく見える城の最も高き所に奴はいる。確信の瞳は城の頂点を睨む。

 ナギは不安を押し切るように頭を振り、大地を力強く踏みしめた。吐露する想い。


「俺が、あいつを殺す。あの時先延ばしにした、俺のミスだから。俺が殺す! 風、少し力を貸せ!」


 大気は返事も寄越さずナギに纏わりつく、風の層を纏う、ナギは窓に向かって飛んだ。


 「くっ!」


 ガンッ! 窓枠を破壊し廊下に転げ落ちる、ガラスの破片が体と共に飛散する。痛くはなかったが心臓が飛び出しそうだった。無意識に深呼吸を繰り返している、息を吸っては吐いて今己がどれだけ怖ろしい行動をしたかにぞっとする。

 一歩間違えれば水に落ちて死んでいた、風が跳躍力と浮遊性を高めガラスから身を守ってくれたが、この力がいつ裏切るかも分からない。飛んだ瞬間に風が操れない体になっていたら? 少しでも躊躇してジャンプを失敗していたら?

 悪い方向へ考えてはならないと思いつつも暫く立ち上がれそうになかった。全てが恐ろしかった。



 ナギが城に飛び込むより時を少し遡る。

 此処は城の最上階、それから更に螺旋階段を上がり、錆びた鉄扉を開け、空を一番に臨める最も高き場所。

 屋根の上を平らに広げ屋上としたこの場所には装飾として建てられた屋根付きの塔以外に何もない。高層にある開けた場所は、かつて王が退けた男が飛び降りた場所でもある。

 そこにユウラは居た、隣にはルナ、そして月を仰ぐ人物。


「ほんとだろうね、僕の探してる奴が来るってのは」


 着飾らない素のままのユウラは黒髪をゆったりと一つに結び肩から流していた。服装は女の子らしいのに愛嬌を感じさせない、そんな女がユウラ。


「疑わないでいてくれるならほんとうになるんですよ。貴方の探している人物は必ずこの場に立つ」

「どうして今まで教えてくれなかったんだ、あんたは知っていたんだろ?!」

「君があの少年を手管にしても捜したかった恋人殺しの犯人。確かに私は知っていましたよ、でもそれを教えないから君は早々に諦めて単独で捜索していた。古今東西、未来予知と言うものは知っていても話してはならないんです、話せば世界の法則が狂うから、私自身が狂うから、ね」

「くっ、あんたは……あんたは未来が見えるのか」

「見えませんよ」


 嘘つきは両手を広げる、身振りと共に極めて冷淡に言い回す。


「予測と予知は違う、私は予測した人間の行動を君の欲しがる情報として提供しているだけ」

「なら、今になって犯人を教える気になったのは何故!」

「それは私がもう直ぐ死ぬからです」


 さらりと死期を公言するオウサマに対しユウラは言葉を失った。

 オウサマはユウラの髪に指を通す。含蓄を孕み、絡みつく黒髪の間を青白い指が流れ落ちる。


「死ぬって……」

「誰か来たようですよ」


 振り向く。現れたのは――、果たして望んだ未来であろうか。



「……」


 鉄扉を越えたのは――アガミ。

 この結末を受け入れるか受け入れざるかで言うなら、ユウラは水を吸い込むようにすんなり受け入れただろう。愛した人が、かつて愛した人を殺した憎くてたまらない相手だった。なんて、運命のイタズラだろう、イタズラだけど最も自然なシナリオ。

 アガミ――彼がトキワを殺した犯人だ。

 例え背にウルワが続いていたとしても、後に自分が犯人だと自白する者が現れたとしても、ユウラはアガミを犯人として受け入れ、揺らがなかっただろう。


「だって最も自然なのは、弟である貴方が親に言われて兄を殺す事だったから――」


 トキワが亡くなるのと同時期に二夜に現れたアガミ、トキワが無抵抗で殺された理由。

 どれをとっても一番怪しいのはアガミだ。

 信頼していた弟に死を委ねたのだ。

 こんなのあんまりだ、だけど、これが真実だ。


 アガミは王を見据えていた。ユウラの視線に自らの視線を合わせようとはしない。


「貴方は何をしたいんだ!」


 アガミは叫ぶ。ウルワの手を強く握り何時でも応戦出来るよう構える。オウサマが手を出してきたら全力で対抗する、温和な本性の中に現れる赤い髪のような強い意志の色。


「人一人が願いを叶えたいと思うのは罪な事ですか?」


 オウサマは対話する相手に顔を向けず語る。


「願いを叶える為に月に頼んだ、それが悪い事ですか?」

「この状況を、知っててやったなら罪だ」

「……貴方はいつも真面目さんですね、滑稽を貼り付けた姿も、痛みを隠し逃げる手段なんでしょ? 貴方の本音は叫んでますよ、辛い辛いと。偽善で固めて弱さばかり目立つ」

「くっ」

「清算してしまいなさい、この女と斬りあって」


 指し示されたのは無言のユウラ、復讐の剣は手に構えられている。


「ユウラ……今はオウサマを止めよう、月を止めなければオレ達は死ぬ」

「マナコ、聞いていい? 貴方が――」

「今は待て! 今は一刻も早くオウサマを」


 そこでアガミの声は途切れた。ウルワを抱いて背後に飛び退く、元いた場所を斬撃の閃光が通過する。


「その子の手を離して、抜いて、剣を」

「ユウラ」

「お願い、斬って。貴方を殺させて!」


 感情の針が胸を刺す。ユウラもアガミも傷つけるだけの愛憎。

 人を殺して返る罪が愛ならば、私達は既に人としては生きていないのだろう。



 ユウラはアガミに斬りかかる。鋭利な剣は愛した者の心臓を狙う。

 大きく振り上げられる剣に女の気迫、アガミはウルワを鉄扉の前に置き、前に出た。

 剣を抜く、射抜くような視線と共に銀の剣閃。


「っつ、重い」


 男女の力の差が歴然として伝わる。ならば、その分を速さと精度をもって補うのだ。ユウラは再び斬りかかる。

 執拗に足払いを仕掛け体のバランスを崩す、そこに刃をねじ込み、浅い傷を負わせだんだんと消耗させる。力勝負で敵わないなら小技で攻めるしかない。

 足元を狙うのは卑怯と言われているが関係ない、卑怯すら技術の一端と下段を攻め続ける。

 アガミはユウラの足払いの狙いを読み、下段を攻められる度後ろに飛び退いた。躱せないものは自らも得意な足技を使い相殺する。両者の足に痛みが走る。

 力がぶつかり合いぐらつく体、その中に一瞬でも隙が出来ればユウラはアガミを逃さない。黒い髪が動く、アガミの見せた一瞬の隙、ユウラは黒の一族がそうするように殺人の一撃を繰り出す。早すぎて刃の軌道は完全に見えない、闇から死神の刃が死すら気が付く間もなく命を奪う。

 だが、アガミの目は闇を開き刃を捉えていた、何事もなく横に躱しユウラの腹に手加減した蹴りを入れる。戦闘センスは殺人技術を凌ぎ、呻くユウラに反撃を、更にそこへ追い打ちの一撃を放っていく。

 重い刃がユウラに響く、これが、これが彼の本気。

 一撃必殺の攻撃を躱された時からユウラは動揺していた、自らの力量には自信があった、あの状況から反撃出来るはずがない。

 それはユウラの自意識過剰で判断ミスだった。ユウラはこれ以上踏み込めないと慌てて飛び退く、砂利を巻き上げ後退し、やがて止まる。停止してから彼女の頬を冷や汗と切れた髪が数本舞った。

 (心臓が、煩いよマナコ)

 彼女はごくりと唾を呑む、同時に、彼女の唇が歪んだ。

 愉しい――。


 ユウラは笑みを浮かべた。

 殺したいのに愉しいと感じる笑み。矛盾した憎しみと喜悦の見せる笑み。


「マナコ、これは感謝だよ」


 そう言ってユウラは持っていた剣を地面に投げた。ガラン! と音を立てて剣は横たわった。

 新たに持ち出したのは刀、そして上着の中から短刀を取り出しそれぞれ左右に握る。

 アガミも初めて見る、共にこちらの国で共闘を張ってきたが両手に武器を構えるユウラは初めて見た。


「どちらかが死ぬんだよ」

「いや、オレはお前を殺す気はない」

「殺す気がないのにあんなに強いの? ははっ、凄いよ」

「オレが……悪いのか、全部」

「違うよ。僕は貴方を殺したい、殺さなきゃどこにも行けない。もう救いはないんだ、それだけだよ、だから貴方が本気で戦わないなら僕はどんな手段でも使う」


 ユウラが鉄扉に視線をやる。白い天使は無力だから、

 ――殺させない。アガミは自らが選べる道を知り悲しくなった。


「なんで、こうなっちゃったんだろう」

「どちらかが死ねば終わる、それだけだよ」


 再び熾烈な攻防が始まる。

 黒の殺人集団、赤の戦闘民族。どちらも一般人が相手にすれば数分と保たず首を落とされる。それだけ二人は強い、恐らく二夜の誰よりも強い。その二人が戦い合う、どちらかは確実に死ぬ。

 出会ったのは偶然だった。トキワという人間を通じ二人は繋がっていた、その繋がりこそが愛であり憎しみであり苦しみであった。

 死こそが片方の望みであり、片方の救済。

 これは救いだ、苦しみから解き放たれる、死とは誰かにとっての救いなのだ。


「復讐心は満たされ、負い目は消える、か」


 オウサマは呟く。こんなやり方でしか清算出来ない、哀れな二人。

 出会わなければ普通でいられたのに、ユウラがトキワを愛さず、アガミが親の言うことを跳ね除ければ、こんな事にはならなかった。

 何が悪かった? 答えなんて永遠に出ないけれど。


「っ……」


 鈍い呻きが聞こえオウサマの視線が動く。そこにはユウラに押し倒され、馬乗りにされるアガミの姿があった。

 ユウラは刀を垂直に構えアガミの体に振り下ろそうとしていた。

 決着は、ついたか――。

 刀が突き刺さる音がする、血が溢れ、呼吸が止まる。

 女は涙を流していた、それは悲しみでもなく満たされた喜びでもない。

 この虚無はなに? こんなに胸が苦しいのはなんでなの。眼下には愛した人の顔、愛して、憎んで、殺した相手の顔。その顔があまりにも悲しくて、何もわからなくなる。

 刀は、アガミの体の脇に刺さっていた。殺そうと思えば殺せた、だけどそれはしなかった。例え殺せたとしても殺さなかったとしても、この胸の苦しみは消えないだろう。


「簡単に死のうとするなよ、わざと殺されて楽になろうっての!?」

「オレが死ねば君は満足なんだろ? 君は知ってしまった、オレが……」

「それでも、僕はキミが好きだったよ、好きだから容易く殺されてほしくない、本気で戦ってよ、それで僕が死ぬなら構わない、貴方が死ぬなら構わない! 戦え!」

「……」


 闘争でしか心を洗えない。これが不器用なユウラの決着の付け方だ。


「うあっ」


 その時ユウラが目を抑えた。

 砂利がユウラの目に入り、ユウラはアガミの胸の上に体を倒した。


「っ、こんな事するのは」

「早まるな!」


 ナギ、彼はようやくこの場に辿り着いた。二夜の終わりが始まる場所、最後の戦場へ。

 二人の静止を確認してから、ナギはいきなりオウサマに飛び掛かる。後先は考えない、確実に、躊躇いなくオウサマを殺す。そうすれば月は大人しくなり水も引く。


「終わりだ! お前が死ねば世界は救われる」


 いつかにしておけばよかった事。自己犠牲等微塵も思考にない、ただウルワやミズガレを少しでも生きながらえさせたいだけ。目先の愛する家族の未来を願う事に、不自然な点等何もない。

 ナギは冷淡な性格の部類だ、ただ此処で出会った第二の家族が愛しいだけ。その為なら王を殺す、そして自分は消える。自己犠牲ではない、二夜が救われるのは副産物なのだ。

 ナギは走り抜ける。当然ルナは疾走するナギを止めるべく邪魔に入る。指を引く、見えない糸が周囲一帯をたゆたう。

『そうだ、みなさんの異能教えてもらえませんですか?』

『いつか戦う為にか?』

『へへっ、そうならない事を願いますがねぇ〜』

『冗談じゃなさそうなとこが怖いわ、はは』

 そう言っていたのはつい昨日の事、ナギもルナも冷笑する。

 ルナの指が振りかぶられる。ナギは補足しにかかる糸を風で切る、ワイヤーのような硬質を無理矢理風が通り切断する。いくら糸をけしかけようと風が切断してしまう。

 細い糸では広範囲の風に対抗出来ない。ルナは失敗を教訓に糸を太く強く強化する、第二の見えない糸がナギの体を締め付けに掛かる。ナギは走りながらそれを避ける、見えないものを避けきるのは不可能なので、体に風の層を纏い糸を弾く。

 口の悪い少年と快活な少女、喋る隙もなく戦う二人は真剣だった。

 ナギはルナに向かってナイフを投げる、ルナは糸でナイフを絡め取り速度を吸収する。ナイフが落ちる。

 ナギの意図はルナを傷つける事ではない、一気に四本、ルナに目標を付けナイフを投擲する。そして追い打ちにまた四本。全て種類の違うナイフ、形も大きさもばらばら。刃物の王は風に乗せナイフを踊らせる。踊り狂う刃物は銀に輝き美しくルナに降り注ぐ。

 ナギは信じていた、ルナならば防ぎ切ると。案の定ルナはナイフを迎撃仕切った、ルナを傷付けず気を逸らしたナギは既にオウサマの懐に飛び込んでいた。

 端からルナ等狙っていない、目の前に見えていたのはずっと月だけだ。

 ナイフの先、オウサマは笑っていた、いつもの不愉快な笑み。

 ナギはその笑みを潰すように胸にナイフを突き刺した。

 終わった――。

 ――だが、オウサマは倒れなかった、それどころかナイフは刺さっていなかった。

 ナギは止まっていた、時を止められたように切迫した表情と今にも躍動しそうな姿勢で。

 彼は体の動かし方が解らなくなっていた、あと一歩というところでナギの進撃は止まった。


「オウサマの異能はいつもよくわからないですねぇ」


 ルナが言うと同時にナギは倒れる。ルナはひょこひょことオウサマの隣に並んだ。

 ナギは足の進め方、物の握り方、思考方法までも消し去られ呼吸だけを繰り返している。

 これが月の支配を受けた奴隷の姿なのだろう。まるで赤ん坊だ。


「月の元では私は無敵に近いのですよ」


 笑う、全てが無力に近い。王は驕り高ぶった、その時――何かが王の体を突き抜けた。


「ッ! な」


 支配が解ける。一瞬の出来事、ナギは起き上がり、そして終わりの一撃をその胸に突き刺した――。



「殺した……」


 ナギはナイフを引き抜き地面に落とす、カラン――と音を鳴らす。オウサマは血を吹き出し崩れ落ちる、ルナは慌てて体を支える。


「なっ、どうやってこんな」


 ルナは地面に転がるナイフを"二本"見つめる。

 初撃がオウサマの隙を作る役目になり、二本目は直接オウサマの胸に突き刺されたもの。だとしても、初撃のナイフは一体何処から……。


「風の異能つったろ」


 不得要領ならばとナギは見せてやる。命令すれば転がっていたナイフすら宙に浮く。


「風でナイフを浮かせていたのですか? それが貴方を支配した事により解け、オウサマの肩に落ちた。貴方はそれからまんまとオウサマを刺した」

「仕掛けたのはお前にナイフを投げた時だ」

「知りませんでした」


 ルナは抵抗も見せず降参する。オウサマの傷は胸深くに達しており出血は止まらない。オウサマは死に、ナギも消える、あと数分もすれば。

 治癒の能力でもない限り助かりはしない、周りを見てみる、水が屋上にまで達し、この場に居るのは医療の知識もない人間だけ。

 大人しく諦めるしかどうせない。


「いやいや、予測出来ない事をされると対応が追いつきませんねぇ。これが権能の弱点でしょうか」


 オウサマは胸を押さえ顔を上げる。不愉快な笑みはこんなになっても顔に張り付いている。


「何回刺されたら私は許されるのでしょうか、あははは」

「まだ喋れるのかよ、あんたはもう終わりだ、俺も、あんたを殺したから消える」


 ウルワが声を頼りにナギの傍までやってくる、腕に縋り付く。


「消えないで……置いていかないでっ」


 腕に纏わりつき、何処にも行かせないようにぎゅっと捕まえる。可愛い妹の健気な行為に、だけど気休めなんて思い付きもしない。

 兄はそっと頭を撫でた。

 水は少しずつ引いていく。


「ミズガレによろしく、最後まで仲良くな」

「ううっ」

「あのお兄さんがまだ生きているとでも? 水は全てを飲み込んだのですよ」

「あんた、死ぬまでくらい静かにできねぇのかよ」

「いやいや、だってまだ生きてますし。その後の話をするのは早いのでは?」


 突然だった。ナギとウルワの体が地面に倒された。



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