勇者クラス「特D」

「双方それまでっ!」


 石壁が囲む部屋に、再びノクトの声が反響した。それは模擬戦の終了を告げる声だった。

 それと同時にエリスとエイビスの体が光だし、それぞれの体から聖霊が離脱する。それに併せて彼等の纏っていた装備も霧散した。

 両者に近づいて来たノクトは、両膝を着き肩で息をするエイビスに話しかけた。


「エイビス、貴様最後の攻撃で“アドゥリム”を使わなかったな。何故だ?」


 その問いにエイビスは答えない。いや、息が上がっており、未だ答えられる状況では無かった。


「ユーキ。“アドゥリム”って……何?」


 その言葉に疑問を持ったエリスだったが、雰囲気でノクトに質問する事が憚られ、小声でユーキに質問した。


「んー……魔力を全部使った必殺技……かな?」


 ユーキは出来るだけ簡略化した答えを小声で返した。

 僅かな後、徐々に呼吸の整ってきたエイビスはユックリと顔を上げてノクトを見た。


「……ハァ……ハァ……これは……模擬戦で……私の役目は……そこのが持つ力をだったのだろう? 単に勝つ事が目的では無かった筈だ……それに……」


 その答えを聞いて、僅かばかりノクトの目は見開いた。予想外の答えが返って来た事に喜色ばんでいる。そしてエイビスは力を込めて立ち上がり言葉を続けた。


「……それに私は、必要なく人殺しをするつもりは無い。戦いの場に措いて死は常に身近な物ではあるが、この様な戦いで彼女を死なせてしまうのは忍びないと判断したのだ」


 その言葉を聞いて、エリスの顔が一気に青くなった。少なくとも彼女の中では勝利に対する喜びがあったのだが、それも紙一重の勝利だったと今更ながらに思い知らされたのだ。


「フッ……フハハハハハッ!」


 そしてノクトは、本日二度目となる笑い声を響かせた。


「宜しい、エイビス=アノンシュタイン。貴様をBアラートクラスに認定しよう。所属はBクラスだが今後の状況次第でAクラスに格上げされる位置だ。いいな?」


「はっ! 謹んでお受けいたしますっ!」


 その宣告に背筋を伸ばして返答したエイビスは恭しく一礼した。

 あの激しい戦闘で自身が劣勢に晒される中にあっても、冷静に状況を理解する事が出来る彼の判断力をノクトは評価したのだ。

 エイビスはただ目の前の勝利を掴むだけにガムシャラとなる猪武者では無かったのだ。

 彼の返礼を受けてノクトは小さく頷いた。


「貴様は別室にて休息と手当てを受け待機せよ。準備が整い次第叙勲の儀を執り行う。メイファー、彼に手当を」


「畏まりました―」


 ノクトのやや後方に位置していたメイファーが進み出てエイビスに肩を貸そうとする。しかし女性に肩を借りる等潔しとしないのか、その申し出をやんわりと断った彼は体を引き摺る様に、だが自らの足でこの部屋から出て行った。その後をメイファーが続いて行く。


「エリス、そしてユーキ様。二人には別室で聞きたい事があるのだが良いか?」


 エイビスが完全に部屋から出たのを確認して、ノクトが此方へ向き直り彼女達に声を掛けた。


「はい」


「別にいいよ」


 短く答えた彼女達を確認したノクトは踵を返し、部屋の出口へと進んでいった。




 ノクトに連れられて向かった部屋は、先程模擬戦を行った部屋の隣に当たる。

 扉を開け、先に入ったノクトがエリス達を招き入れた。


「入ってくれ。ここはバレンティアでの執務室だ」


 その言葉を聞いて、ドアの外で待機していたエリスが一礼して中に入りユーキがそれに続いた。

 部屋の間取りは恐らくエリス達が使った待機室と同じくらいだろう。しかし内装は全く違っていた。

 最も大きな違いは、壁が見えなくなる程に備え付けられている本棚と、そこに収められている書籍や資料の量だった。本棚に収まりきらない物は、床の上に高く積まれている。それは床の上に留まらず事務机の上も同様で、資料に埋まってしまい机の表面を確認する事が出来ない程であった。

 唯一の安全地帯と化しているのが応接テーブルとソファーセット。流石に訪れた者を立たせておく訳にはいかないのか、ここだけは綺麗に片付けられていた。エリス達はその応接用ソファーに座る様勧められた。

 殆ど選択肢の無い状況ではそれに従うしかなく、圧倒されたエリスは恐る恐るソファーに腰掛け、ノクトはその正面に腰掛けた。


「失礼いたします―」


 聞き覚えのある間延びした声が聞こえ、ノクトの返事を待つ事無くドアから入って来たのはやはりメイファーだった。彼女の手にはトレーに乗ったティーセットが持たれている。

 そして流れる様な所作でノクトとエリスの前に紅茶とお菓子をセッティングして行く。

 一通りセットし終わると部屋から出て行く事も無く、スッとノクトの背後へと待機した。

 ノクトはその動きを確認して、エリスにお茶を勧める。


「あ……い、いただき……」


「なぁ、エリスッ! これ食っても良いのかっ!?」


 恐縮して返答する彼女の言葉を遮って、ユーキが置かれたお菓子に興味全開で声を上げた。その声で見る間に顔を赤くするエリス。


「フフフッ。どうぞ」


 そのユーキを嗜めようと声を出そうとしたエリスに先んじて、小さな笑い声を出したノクトが彼へお菓子を勧めた。奇声とも取れる喜びを表現して、ユーキは器に盛られたクッキーの山に飛びついた。


「メイファー、エイビスの容体はどうだった?」


 次いでノクトは、先程自室へと戻って行ったエイビスの容体をメイファーに確認した。彼がダメージを受けたのは勇者化している時であり、エリスの使用した魔法もそう強力では無かった事からそれ程深刻な怪我になるとは思えなかったが、余りに早くメイファーが返って来た事に僅かばかりの疑問を抱いたのだろう。


「はい―、彼は特に―治療が必要な怪我では―ありませんでした―。彼の状態も―問題ないと判断して―戻って来た次第です―」


 簡潔に要点をまとめたメイファーの返答なのだろうが、その話しぶりが間延びしているので、エリスなどは妙に長い説明だと感じてしまっていた。


「……そうか」


 しかしノクトにはその説明で十分通じた様であり、特に補足説明を求めずこの話は終わりとなった。


「ではエリス、本題に入ろう」


 お菓子を食い散らかすユーキを尻目に、ノクトは話を切り出した。特に鋭い物言いでは無かったが、その言葉でエリスの背筋はピンと伸びた。

 それと同時に控えていたメイファーが一歩前に進み出る。


「彼女が君達の教育係を執り行うメイファー=ガナッシュ。Aクラス勇者だ」


 突然の爆弾発言にエリスは絶句した。今の今まで彼女からそんな素振りは一切感じられなかったのだ。着こなしているメイド服も彼女に似合っていて、エリスのイメージする勇者とはとても似つかなかったと言う側面もある。

 硬直するエリスに構わずノクトはメイファーに視線で合図を送り、彼女はそれに頷いて答えた。


「改めて―宜しく―お願いします―。メイファー=ガナッシュ―十九歳です―。因みに―彼氏はいませんので―募集しております―。好みのタイプは―礼節が合って―男らしくて―それから―……」


「……メイファー」


 相変わらずの間延び口調で止まらないメイファーの自己紹介をノクトがたしなめる。ハッとして言葉を止め、メイファーは頭を掻いて照れ笑いした。


「メ、メイファーさんって、てっきりこの城のお手伝いさんかと思ってました……」


 そのやり取りでどうにか再起動を果たしたエリスが素直な感想を漏らした。


「メイド業務はですね―私の―趣味なんです―」


「しゅ、趣味!?」


 彼女の返答にエリスは驚きの声を上げた。勇者が趣味でメイド業をこなす等初耳も良い所だった。


「彼女はこれでよく気が利くし目端が効く。主に私の身辺を世話して貰っているのだ。しかし実力は私の折り紙付きだ」


 彼女達のやり取りにノクトの表情が変わる事は無かった。淡々と説明を終えた後、彼女の視線はテーブルの上のユーキに注がれる。


「ユーキ様、一つお伺いしておきたいのですが」


 そう言ったノクトの瞳にはこの場の雰囲気に和んだものでは無く、何物をも見透かす様な鋭さと、同時に何かを期待した高揚感が含まれていた。


「んむぅあ?」


 その言葉に、お菓子を口一杯に頬張ったユーキが振り返った。まるでリスが餌を詰め込んでいるかの如く膨れ上がった両頬をぶら下げながら、それでもまだ新たなお菓子を詰め込もうとしている。

 その彼を前にしても表情を崩さずにノクトは続けた。


「貴方が見せてくれた能力、アレが貴方の持つ全てでしょうか?」


 彼女の言うユーキの能力とはつまり、複数の武器を高いレベルで初めから使用出来ると言う事。ユーキはこの世界に顕現して間もないにも拘らず、エリスに貸し与えた能力はエイビスのそれに匹敵していた。

 そして今日の模擬戦中エリスがエイビスに使った、途中で使用武器を変更する技も今までの聖霊には無い試みだった。


うぉへはそれはははまふほほははなすことがへきはいできない


 その問いに答えるユーキの言葉は、理解出来ない言葉で紡がれた。


「ちょっと、ユーキッ! 行儀が悪いでしょっ!」


 それもその筈、彼は口一杯にお菓子を頬張っていてまともに発音出来る訳が無く、流石に見かねたエリスが激しくユーキを叱責する。


「食ってる時に話しかけられれば誰でもああなるよっ! 俺は悪くないっ! ハムッ!」


 それに対して高速で口内にある食べ物を飲み下したユーキが怒涛の反論を試み、そして言い終わると再び食事を再開した。


「じゃあ食べるのを止めなさいっ!」


 一向に手が止まらないユーキに対して、エリスはお菓子を取り上げると言う暴挙に出た。お菓子の盛られた皿をエリスは頭上に掲げる。


「ちょっと待ってよっ! 酷いぞ、エリスッ! 食べて良いって言ったじゃんっ!」


 それにはユーキも猛抗議だった。しかしエリスはそっぽを向いて皿を戻そうとはしなかった。


「はははっ! これは失礼した。私が拙速だった」


 一触即発と化した彼女達の空気を和らげたのはノクトの笑いだった。

 見ればメイファーも、なんとノクトの聖霊であるベルナールも笑いをこらえるのに必死な様だった。

 一気に恥ずかしくなり顔を真っ赤にしたエリスの膝に、彼女が持ち上げていた皿がユックリと着地する。それを見計らった様に、野獣と化したユーキが再びお菓子に飛び掛かった。


「まずはお茶を楽しむとしよう。話はその後で」


 その言葉で場が和み、メイファーがノクトとエリスのお茶を新しく入れ替えた。

 暫しの後、皿の上のお菓子は殆ど無くなりユーキの食べるスピードは激減した。それを見計らって、再びノクトが先程の質問を投げかける。


「それではもう一度お伺いいたします。ユーキ様、今日見せて頂いた能力が貴方の持つ能力の全てでしょうか?」


 再びあの射貫く様な視線でユーキを窺うノクトには思う所が合った。

 模擬戦で見せたエリスの変化技は今までの聖霊にない戦法だった。使われた武器や魔法の威力も十分にレベルが高く、どれもランクBに相当する。彼女の考えでは、恐らくユーキは現在顕現している聖霊が使う武器全てをランクB相当で扱えるのではと考えていた。

 対峙する敵と武器には相性があり、それは相手が勇者だろうと魔属だろうと変わりない。

 現状は予測出来る範囲で相性の良い部隊を編成し、戦場へ送り込む以外に方法は無い。だがそれでも絶対有利と言う事は無いのだ。魔属にはどの様な特殊能力が備わっているか分からず、一切油断出来ないからだ。しかしユーキの様に臨機応変な武器の変更が可能ならば、投入する兵力も激減し、更に自由度の高い作戦が実行可能なのだ。

 また、それにより勇者の生存率は跳ね上がる。

 常に相性の良い武器で戦えば、此方が有利なのは明白だった。魔法耐性の高い魔属には物理主体で、物理耐性が高ければ魔法主体で、空を飛ぶ者や近づき難い敵には遠隔攻撃で。これまでの様に、相性に関わらず戦いを勇者へ強いる様な事は無くなるのだ。


 ―――だが、それだけだった……。


 模擬戦で見せた変幻自在の攻撃は、Aクラスの勇者に匹敵しており、即戦力が欲しい状況ならば願ったりだろう。だがに向かうにはやはり「経験」が必要となってしまう。

 魔界の奥に君臨する強力な魔属。特に魔王とその下に君臨する四獣候は間違いなくSS級の魔属だ。生半可な力ではどうしようもない。

 そこに辿り着く為に、一体後どれ程勇者が倒れればいいのか見当もつかなかった。

 ユーキの能力は驚愕に値するが、現状を大きく打破する程のものでは無かったのだ。スタート地点が繰り上がっただけと言って良い。


 ―――ただしユーキの能力がそれだけならば……である。


 数百年ぶりに新しく顕現した聖霊であるユーキの能力がたったそれだけとは思えなかった、いや思いたくなかったと言うのがノクトの考えだったのだ。


「さっきも言ったけど、俺からは何も言えない」


 だがユーキの答えは、模擬戦前と何ら変わらなかった。


「でも今日君達が見たのは、俺の持つ能力の一端とだけ言っておくよ」


 しかし新たに綴られた言葉もあった。その言葉にノクトの表情は崩れなかったが、明らかに目の色は喜色ばんでいた。


「それは天界の御意思なのでしょうか?」


 ノクトの質問は方向を変え、唐突に切り込んだ。ユーキの言葉を飛び越え天界の、天属の意志を探ろうとしたのである。


「それも言えない。でもその事は君達人属には関係ないよね?」


 ユーキの答えは当然でありノクトの予想通りだった。元々実害を受けていない天属が人属に手を貸す義務も責任も無かった。あくまでも“好意”で聖霊達を人界に送り込んでくれているのであり、聖霊に守秘義務を課した所で何も不都合は無い筈だった。


「だけど誤解しないでね。天界は何かを画策して俺の事を秘匿しているんじゃないよ。俺は新しい聖霊の試作型なんだ」


 まさしくノクトが聞きたかったのはこの言葉だった。彼女の目が明らかに大きく見開かれる。

 ユーキの能力が彼女に分かった訳では無い。だが彼の口から明かせない理由が語られたのだ。そしてそこに秘められた可能性も。


「分かりました、ユーキ様。有難う御座いました」


 キョトンとするエリスとメイファーを横目に、満足気なノクトはユーキに恭しく頭を下げた。

 彼女の想像通りだとすれば、エリスとユーキは間違いなく人界の希望となる。しかしそれ故に今知る事も話す事も出来ない。ノクトはこの事を胸に秘める事を決意した。

 そして再び目を瞑り考え込むが、その時間はそう長くは無かった。


「エリス=ランパート。お前に勇者クラスを通告する」


 そしてユックリと目を開けたノクトはエリスにそう言い放った。口元には笑みが零れている。


「お前の勇者クラスは“特D”とする」


「特……D!?」


 これにはエリスとメイファーが同時に声を上げた。

 現存する聖霊の下位クラスはCでありそれ以下は存在しない。だがノクトが告知したのはDクラス。明らかにCよりも低いクラスだと思われた。


 しかしそれに「特」が付くと話は全く変わってしまう。


「特」とは特別任務……つまり特務を更に省略したもので、これまで特務に任命されるのはAクラス以上の者のみ。

 特務とは指揮官が直接作戦の指揮を執り、勅命に充当する。

 任命されたDクラスが前代未聞なら、特務扱いなのもまた空前の事であった。


「ユーキ様の能力ならば今すぐにでもBランク、いやAランクでも見劣りはしないでしょう。しかしエリス、お前の戦術理解度はCクラスでも見劣りする物だ」


 高評価なユーキは鼻高々でエリスに目を向ける。一方のエリスは散々な言われ様だが事実なので反論出来ないでいた。全く正反対の評価となり明暗が分かれた格好だった。


「本来ならば総合評価でBクラス辺りが妥当なのだが、ユーキ様は自身を“試作型”だとおっしゃった。ならば今までの規格に当て嵌めて運用する事は出来ない。更に何か特殊な能力がある事を鑑みて、総司令官たる私直属の扱いとする」


 ノクトはそこまで言って話を区切ったがどこからも反応は返ってこなかった。


 ―――メイファーは絶句している。何もかも規格外な扱いに驚きを隠しきれていないのだ。


 ―――ユーキはご満悦でエリスの目の前を行ったり来たりしている。


 ―――そしてエリスは……そのユーキに飛び掛かろうとする両手を必死で押さえつけていた。


 彼の評価が高かった事と、エリスの評価が低かった事は、彼女が受け入れなければならない事実だ。だがドヤ顔をしたユーキが目の前をブンブンと飛び回るのには我慢の限界が近づいていた。彼女は今、震える両手を抑え付けるだけで精神は一杯一杯だったのだ。


「エーリースー。これで少しは俺の事を見直したー?」


 ―――ブチッ!


 そして……何かが……キレた……。


「なーに言ってんのよ、この悪食聖霊がーっ! あんたなんかほんっとーに居なくなれば良いのよーっ!」


 ユーキが最後の一線を越えてしまい、涙目のエリスは目の前の彼を両手で掴み握り潰さんとする勢いだ。


ばなぜはなせーっ……! ぼんどのごどほんとのこといばれだがらっでいわれたからってどぅるいどーっずるいぞーっ……!」


 ユーキの顔は真っ赤になったかと思えば、今は真っ青だ。昇天するのも時間の問題に思われたが、それでエリスに力を緩める気配はない。

 メイファーも騒動を止めようと介入を試みているが、エリスの気迫に近づけずにいた。


「双方……いいな?」


 ―――ピシッ!


 大声ではない。怒声でも無い。ただノクトがそう口にした瞬間、周囲の空間が凍り付きその部屋に居る者全ての時間が止まった。それによりユーキは一命をとりとめる事が出来たのだった。

 そしてノクトは、その場からスッと立ち上がった。


「エリス=ランパート。これより三十分後に叙勲の儀を行う、別室にて待機する様に。メイファーはエリスを案内する様に。解散!」


 その言葉でエリスも立ち上がり、メイファーも居住まいを正した。それ程に彼女の言葉には力が込められていた。

 周囲の状況を見て、ノクトは何も言わずそのまま部屋を後にし、ベルナールがそれに付き従って行った。

 ノクトの威圧感に圧倒され、エリス達はその場から暫く動けなかった。




「ノクト……なんだか楽しそうね」


 廊下をやや早足で歩くノクトに付き従うベルナールがポツリとそう漏らした。事実、彼女の顔からは笑みが見て取れる。


「……やっぱり彼女達が?」


 答えないノクトへ、更にベルナールが言葉を続けた。


「ああ……可能性はある」


 彼女はベルナールにそう答えた。


「彼女達は今まで届き得なかった四獣候、そして魔王の喉元に道を開ける希望かもしれない」

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