金たちぬ

負け犬と呼ばれる人と親しい。

スロットで破産したと呼び出され、

煙草をくれと言いわれ、一本渡した。

冬のパチンコ屋、喫煙所で無言でいる私と負け犬。


「やってく?」


と、無い袖をブンブン回し、

やる気をみせる負け犬。

暗にたかられ千円だけ渡し、

隣の席で私は見ている。


当たりだ当たり。

とか言いながら、高揚している負け犬。

短期間に2.3回デカいのと、弱いのが2回。

「パーだけど君から貰ったのはプラスだね。飯を奢ってやろう。何でも食べろ」

図々しい負け犬と隣接する蕎麦屋で食事をした。


外は寒くて、空しくて寂しくて。

気楽に笑う負け犬は、徒歩で次のパチンコ屋へ行くのだ。

明日の予定は無くて。

何をしたいわけでもない。

何かをしたかったのは、内緒である。

現実は何も出来なくて、ただただ息苦しい。

次第に蝕む私の頭のモヤは、煙草の煙で満たされている。


冷えた大気は、眠気覚ましに丁度良かった。

せめて私の車に乗ってくれ。

夕陽が沈む前に。


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