不死身
の、だが。
『……なんちゃって』
『っ!! ぐわぁ!』
何かが吹き飛ぶ音。ユウの叫び声も聞こえたから、彼が攻撃を喰らって吹き飛ばされたようだ。
どうして? マーザは倒したんじゃないの?
『クックック、残念だな。その攻撃は我には通用しない』
『それが、お前の能力か……!』
『ああ、我の能力は、再生。どんなに我に傷をつけようとも、すぐに治癒される』
再生能力。だから刀爆で斬ったと思ったけど、すぐに再生したんだ。
『もっとも、この能力は万能ではない。我の身体の核を破壊されれば、我は消滅する』
マーザが自分の弱点を暴露する。
普通に考えて、自分の弱点をわざわざ敵に押してる馬鹿はいない。きっと何かあるはずだ。
『だったら、その核ごと、お前を吹き飛ばすまでだ。……火炎砲! veel!』
ユウがあの技の態勢に入る。
皆の能力を合わせた、強力な合体技。
『ハイドロボム!!』
耳が痛くなるほどの、凄まじい爆発音。炎がメラメラと燃え上がる音。
「やったか!?」と車田くんが叫ぶ。
私もマーザを倒したと思ったのだが。
『無駄だ』
『……!』
『不動ユウよ。まさか我が何の対策もせずに、お前の眼の前に現れたと思うか? 我の核は分離させ、この星の安全な場所に保管してある』
自分から弱点を暴露するなんて、絶対に何かあるとは思っていたけど、まさか核を別な場所に隠してあるなんて……。
『なるほど、同じというわけか』
ユウが呟く。
『さて、不動ユウ。新しいゲームの始まりだ。この要塞が地球に到達するまで、あと三十と数分。その短い制限時間内で、核のない無敵の我の妨害を掻い潜り、要塞を止め、全てのエンダーを倒すことができるかな?』
状況は絶望的だった。
私は空を見てみる。はるか上空に黒い点が見えた。きっとあれがエンダー星だ。地球に向かって近づいてくる。
『くっ……』
ゴトっという、何かが落ちる音。
『クックック。武器を手放し、膝を着いたか。どうやら無理だと判断したようだな』
『……キリキリ』
「? なにか妙な音が聞こえてきませんか?」
氷華ちゃんが言う。私は聴力に意識を集中させる。
『それとも、そのポーズは我に服従するという意思の表れかな?』
『キリキリ…キリ…』
確かに、聞こえる。キリキリという音が。
私は、この音の正体に心当たりがあった。
『残念だが、貴様も地球に到着し次第、抹殺……。!? 貴様、何をやっている!?』
この音は……。
『機械仕掛け、発動!!』
ゼンマイを回す音だ。
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