第5話 2人の誕生日ー1

 ギルドを後にしたロイは、雑貨の前で足を止めた。


「そっか、今日はセシルも誕生日だったんだ。今年で一緒に過すのも最後になるかも知れ無しプレゼント…買って行くか」


 カランカラン…

 雑貨屋のドアを開け中に入る、少々ロイには場違いに思える店内。


「いらっしゃいませ」


 元気のいい感じの女の子の声が店内に響く。


「何にしようかな?」


 プレゼント選びなどしたことの無いロイが店内をきょろきょろしていると。


「何かお探しでしょう?」


 店員の女の子が声を掛けてきた。


「あっいや、友達の誕生日に何か買おうと思って」

「そういう事でしたら、こちらなんてどうですか?」


 店員の女の子が進めてくれたのは、赤い石の入ったネックレスだった。

 菱形のボディーの中央に少し大きめの赤い石が填められているだけのいたってシンプルな形のペンダント。


「これは、魔除けの効力もあるんですよ、女の子ならこう言うのきっと喜ぶと思いますよ」


 優しい笑顔で接してくれる店員の女の子は、そう言いつつ自分もなぜか嬉しそうな顔をしていた。


「あれ?俺女の子にあげるなんていったかな?」

「そうでしたっけ?でも、顔に女の子にあげるって書いてありますよ」


 くすくすと笑いながら女の子は小さく舌を出して見せる。


「こんな雑貨屋に男の人が一人で来るってことは、大体女の子へのプレゼントを買いに来たって事ですよ」


 そう言われて少し顔を赤くするロイ。


「まぁその、そのネクッレス貰うよ」

「ありがとうございます。きっと喜んでもらえますよ」


 そう言い、ニコニコしながらネックレスを包んでくれた。


「またお越しくださいね」


 そう言われ、店を後にするロイ。


「あいつ喜んでくれるかなぁ」


 そう呟き、家路に着いた。

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いつか世界の果てで… 珠洲樹義 @yoshiyukisan

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