世界まるごと異世界転移!?

@ezelu

第1話


〜世界丸ごと異世界転移〜


俺は井戸田光輝(いとだこうき)。


極々普通の高校に通って、極々普通の家庭で育った極々普通の男子高校生だ。


自分自身で極々普通って言うのは気がひけるけど、俺の人生というものは特にこれといったビッグイベントがまるで無い。


いじめ?無い無い

そもそもそんな勇気もないし、やられる理由もないよ。


親友が出来ちゃったり?無い無い

親友ってのはいないんだよ。


みんな平等で接していきたいじゃん?


みんなで仲良く!これ俺の基本ね


家柄も普通だし、なんか本当極々普通すぎて何の魅力もないんだよね、ごめん。



なんて、考えてたりして、毎日毎日普通の生活を送って、それが億劫になることも無く、このままフツーに死ぬんじゃないかなとか思ったりして


毎日牛のように食って牛のように寝るだけ。


そんな生活が当たり前なんだよなきっと。


これからもこれが当たり前に続く。



ーーと、俺は思っていた。

これからも退屈しない普通の生活、毎日が毎日の積み重ねな生活。

それは今もこれからも変わらないと思っていた。


あの日の朝になる前までは…。



ーー八月十五日。

起床:7:00


眩い日差しに起こされる気持ちのいい朝。


ベッドから降りて、ベッドのシーツと布団のシワを伸ばし、綺麗な状態に戻す。


パジャマからフツーの私服に着替えようとした時、俺は異変に気がついた。



>>>タンスが開かない!!!<<<



いくら普通の男子高校生だったとしても、筋力も普通並みだよ?

タンスを引っ張っても開けられない力なんてことは絶対にないはず……!!


中で服が折れて挟まってるのかな?

その線を確認したけれど、毎日服は自分で畳んでいるし、折り目も一切ないくらい清潔な状態を保っている。


もう、こうなれば意地だよ意地!


全力を振り絞って開かなければ、父親の部屋にあるハンマーで叩き割ってやる!!


あれ、思考がおかしい。

何だよ今の発想は!!


普通じゃないよな。どう考えても。


でも、開かなきゃそうするしか、今の所、考えられるのはない。


もう、とにかく本気で開けるしかないな!!


タンスの引き出し口を持って、体重をかけながら俺は全力を振り絞って引っ張り出そうとする。

が、ビクともしない。



え?なんで?

こうなりゃ、マジでハンマー…。


物騒な思いつきを実行しようと考えている時、部屋の扉が開いた。



「……お兄ちゃん、何やってるの?」


清楚な私服姿の妹、愛(めぐみ)が疑問と若干引き気味な感じさえ伺える表情で、タンスにしがみついている俺を見つめている。



「い、いや!!

何でもないよ!

そんなことより、何か用があったんじゃないか?」


実の妹にタンスが開けられなくて困ってるんだ!なんて言えない!

なんか、俺の良いお兄さんのイメージが一瞬で崩れてしまう気がする。


適当にごまかしていくしかないな!


「あー、うん。

ママがご飯の準備できたから下に降りてきてって伝言!


そう言えば、お兄ちゃんのタンスの中にママが間違えて私の服を入れちゃったみたいなんだよね。

ちょっと、どいてー?」


いかん!

あの母親め、何をしてくれているんだ!

いつもは甘くて優しい声で俺達を優しく育ててくれたけど、


こんな時ばかりは、俺のイメージを崩す側に加担にしようとしているのか!!

※していません。


「え?

俺が後で部屋に置いておくよ。


だから……」


「良いよ、別に。


ここでもってけば一緒だもん!」


ーーと言って、仕方がなくタンスから離れた俺を差し置いて、メグはタンスの引き出し口に手をかけた。


ゴクリ。ゴクリ。ゴクリ。


尺が長すぎて唾を3回も飲み込んでしまった俺を無視するかのように彼女は。


ーータンスの引き出しを開いた!



俺は驚愕に驚愕を重ねてさらにフライパンで焼きながら驚愕で味付けをした驚愕という食べ物のように驚愕を超えた驚愕を見せてしまった。



「ちょ、え、えっ!?

め、メグ!!


お、お前その小さな体でゴリラ並みの握力と筋力でも持ってんのか!?」



「服あったー!

ママ、普通間違えないでしょー。


やっぱり魔力の生成を同時にやってると視界がぼやけちゃうっての本当なんだねー」



ん?今、なんて言った?


魔力…?


何だその二次元みたいな。


まさか、メグ、厨二病に目覚めたのか?

あの痛々しいことで有名なあの!!


厨二病にぃぃ!?


俺は全力で耳を疑った。

あり得る筈がない、そもそも、魔力って?

え?


状況が追いつかない状態が二分ほど続いて、勇気も平凡な俺は、平凡な勇気を振り絞って意味の分からない言葉を次々と並べる我が妹に問いを紡ぐ。


「え、魔力?」


俺の言葉に視線を向ける妹。

何かおかしいこと言った?


みたいな視線を向けてきている。

うん、おかしい。


なんかまるで異世界にいるような気分だよ。

なんか、今日はおかしい…


疲れてんだろうな


俺は一度、状況整理のために脳をフル回転させて状況を必死に整理した。

が、訳がわからない。


俺がわけがわからない理由をいくつか出して例に挙げてみよう。









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