16話 人形

一通りの自己紹介は終わった。


そこで、黎は不思議に思う。


絹田を含めても四人というのは、少なすぎるのではないか。

これで滞りなく機能しているのだろうか……と。


そうした黎の疑問が発されようとしたとき、返答の一つを示すかのように、藍梨が口を開いた。


「あと一人いるんだよな。今は外に出ているんだ。白崎しらさき明日華あすかというんだが……」


……と、紹介をしているときである。


勢いよく扉が開き、白い何かが飛び入ってきた。


それは人の形を成していて、黎にはどこか見覚えのある姿であった。


「お、ちょうど来たな」


白いふわっとした髪に、可愛らしい顔立ち。

身につけている洋服と相まって、人形を彷彿とさせるそれは。


……今朝、見かけたばかりの人物のような気がする。


それもまた、彼女がこちらを向いて顔を赤らめているのを見ると、確実だと断定できた。


彼女は、恥ずかしそうに目を逸らし、顔を手で覆ってしまう。

その人形は、大変に恥ずかしがりなのだろうか。


だが、藍梨は黎の方を向いているために、その様子に気付いていないようである。

先程の雰囲気を引きずっていて、少女と対照的に和ませてくる。


「紹介しよう。この子が雪女の、白崎明日華だ」

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