14話 妖怪

よく考えれば、ありえない話でもなかった。


歯には歯を、目には目を。

ならば、妖怪には妖怪が対するのが妥当である。


妖怪ではないにしても、普通の人間が妖怪に敵うはずもない。

ココが、普通の警察官に務まるはずもないのだった。


「かく言う私も、吸血鬼と人間のハーフ、いわゆるヴァンピーラってやつだ。吸血鬼を退治できる種族とか言われてるが、『ママ〜!!』などと言いながら親を殺しかけてはアホなんで、あれは畜生のウソでしかない。とはいえ、他の吸血鬼はそれなりに殺してきたけど」


黎は「ヒエッ」という声を抑えることに必死であった。


ヴァンピーラで、かつ吸血鬼はもちろん殺してきた……と。

笑えない冗談はやめてほしいものだ。

吸血鬼を退治できる種族ではないか。

顔が凍ってしまうのを感じた。


「ここでの仕事は、妖怪の逮捕が目標になってるが、殺害も許容されている。敵が凶悪であるとき、殺すしか対処法はない。簡単に殺されもするし、殺しもする。それがここで働くということだ」


黎の硬直を読み取ってか、藍梨は冷気を浴びせかけるようにして述べた。

黎が、普通の人間でしかないと認識しているにもかかわらず。

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