4話 藍梨
現れた女性を見て、たちまち黎はその姿から目を離すことができなくなった。
つまりは、意識の全てを吸い取られるほどの美貌だったのである。
それはまるで、高純度の精巧な氷像を目の当たりにしているようであった。
黒髪のロングヘアで、凛とした爽やかな顔立ちをしている。
キリリとした二重の目は、いっそう強く
スタイルもまた抜群で、スーツに映える曲線が艶やかである。
そうした芸術にうろたえて、
彼女は、それに構わず少しずつ近付いてきて、その影が、黎と重なるくらいのところで足を止める。
「申し訳ありません、課長」
そう言って、頭を下げた。
洗練極めた
私たちも先ほど来たところだよ……と茶楽。
言われて彼女は頭を上げる。
「ところで、この方が、貴方のおっしゃっていた期待の新人という認識でよろしいですか。そうであるなら、今から案内を変わろうかと思います」
そして、黎に目をやった。
その凜然とした
不可視で巨大な氷柱が、そこから降ってきたのだ。
だが、黎の血は
そのとき茶楽は、よろしく頼むよ、と言った。
女性は、黎へと歩み寄る。
すると、彼女は涼しく変化の無かったその表情を、融解するように、暖気をまとった豊かな笑顔へ変化させた。
かと言って、当初からの一貫した
黎は、言葉を見つける努力をしていた。
その中で、女性は言う。
「初めまして。超常特殊捜査課の、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます