コピー能力は、使いよう!?

プラスチックバック

第1話 異世界転生

それは、ふとした時だった、何気ない日常が一瞬で変わってしまった。

「貴方は、転生を望みますか?」



「あーあ、なんかいいことないかな。」

親友の裕二ゆうじに、下校しながらなんとなく言った。

「俺は、今のままで十分だな。」

「お前はいいよな、勉強はできるし、運動もできる。さらには交友関係も悪くない。俺から見たらお前に足りないものは、不幸だな。」

いつものように俺は言った。

「そんなことはないよ。俺にないものをケンちゃんは、持っている。」

皮肉でも言っているのか。

「そんなものがあったら、俺は生涯それを誇っていくよ。」

そんなくだらないような、ある人にとっては大事な事のような話をしている時すべてが一瞬にして壊れるのが分かった。高校生活が、これから始まる未来が...

一瞬の出来事なのに長く感じた、これが走馬灯というやつなのか。

曲がり角から何かが俺の体にぶち当たるのがわかった。痛みはあった。それよりも今までのことを思い出していた。だんだん意識が遠のいてく。あぁ、これが...死か...


目が覚めた、天井は白かった。とても白かった。この部屋がどれだけ高さがあるのか、本当に今見ているのが天井なのか、そんな疑問を抱くほどの白だった。そんなことを思っていると、だんだん冷静になってきた。

「確かあいつと帰っていてそれから...」

あぁ、俺の人生終わったんだな。早すぎるなぁ。まだやりたいことあったのになぁ。いろいろやりたいことを思い出してみた。けど、ほとんどがくだらなかった。

「まあ、今更しょうがないか...」

これからどうなるんだろう、やっぱり次の人生をおくるのかな?できればまた人間がいいな。けど鳥とかにも憧れるな。

そんなことを考えていた。やっぱり直視できなかった。そんな少しでも悲しみから逃げていたとき、声が聞こえた。

「あなたはしにました」

びっくりした。そして、自分以外の人間から現実を突き詰められた感覚が、再び俺に悲しみを与えた。気持ちを落ち着かせた。

「あなたは えらばれました あなたは べつのせかいで ぼうけんを してもらいます」

はぁ、そうですか。その声を聴きさっきまでの悲しみが消えた。

「やったね、冒険ができるなんて、俺はラッキーだ。」

そんな皮肉にも似た言葉を吐いた。いろいろありすぎて、今気づいたがその声がどこからするのか。そして何者なのか。考えようと思ったがなんとなくやめた。

「あなたに きょひけんは ない それでは がんばって」

その言葉が聞こえるとともに、だんだん意識が遠のいてく。あぁ、もっと遊んでおけばよかった...


 


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