002
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現在夜11時。もうほとんど歩行者もいない。ただ今、俺──
しばらく歩いていると、だんだん自分の家が見えた。しかし、その隣には、無いはずのものがあった。疲れているのか。そう思っていったん家に帰った。気になって、カーテンを開けてみると、そこには、小学校のような建物があった。ちょうど夏の日。半袖ハーフパンツに着替えると、家を出て、隣の建物に向かった。
建物は、大きい。学校のような見た目。広い校庭。門の脇には、学校名は煤けて見えないが、かろうじて「小学校」とだけは読める。やはり、ここは小学校なんだな。中に入って、周りを見回す。塀には不審者防止のためか、有刺鉄線の様なものが張り巡らされていた。とたん、真後ろに殺気を感じた。
「誰だ!」
そう言おうとした一瞬前、相手が口を開いた。
「ようこそ、逢魔が時小学校へ。」
だめだ。こいつやばい奴だ。用心して、俺は後ろを向いた。その声の正体を見て、俺は息をのんだ。なんとそこには、可愛らしい少女が立っていた。何故かその子は、宝石商のような服を身にまとっていた。少女は口を開くと、
「今から、逢魔が時小学校でかくれんぼを行ってもらいます。」と告げた。
「…は?」
いやいや何を言っているんだ。今から?ここで?かくれんぼ?
…無理無理無理無理。こんな遅い時間には寝なくてはいけないんだよ。
途端に良い子精神が目覚めた。まあ、そんなことはどうでもいいのだけれど。
しかし、なぜこんなに胸が痛いんだろう。この建物、どこかで見たことあるような気がする。俺の高校か?それとも、大学?少なくとも、何か見覚えがある。
「…ぅあっ…まさか、あいつが?ここに…?」
俺はとあることを思いだし、その少女に話しかけた。
「このかくれんぼの参加者を教えてくれ。」
少女は、このくらいなんてこともない、というふうに、どんどん参加者を告げた。
「深澤来夏、アンシャール・ルスワール、水上圭、あとはあなたです。」
「…まさか?いやただの偶然か?でも俺の近くにいる…?」
自然と、涙がこぼれた。
「分かった、参加する。その代わり………いや、何でもない。」
「分かりました。それでは、1時間待ちますので、その間に隠れてください。制限時間は24時間。その間に見つかったら、覚悟しておいてください。」
さらっと怖いことを言うな。それより、あいつがいるだと…?
俺は覚悟を決め、校舎内に入った。そして、最期の時のために、今、この言葉を送ろう。
「じゃあな、小百合。最期まで好きだったよ。」
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