ACT:一般サイエンスⅡ
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夜中の12時。普段は何かと騒がしいこの街も、ひっそりと静まり返っている。僕は何だかやりきれない気持ちになって、家を飛び出してきた。ちょっと変えるのが遅くなったくらいで夕飯を抜くのはどうかと思う。
「だいたいいつもお父さんたちは…」
そんなことを言いながら歩いているうちに、知らない場所についてしまった。あまり歩いてないから、近所のはずだけど。それはとても大きな建物で、見た目は小学校のように見える。だが、おかしい。家の近くにはこんな建物はなかったはずだ。僕は怪しく思い、中に入ってみることにした。
普通の小学校だけど、何処かが変な気がする。変なオーラが漂っているような、そんな感じだ。と ころで、なぜかその学校の鍵はかかっていなかった。そのため、簡単に入ることができそうだ。見た目は、たん、耳元で声がした。
「ようこそ。」
…え?
いきなり聞こえた声に驚いて、思わず後ろを見た。するとそこには、何故か宝石商のような服装をしている、可愛らしい少女が立っていた。
「ようこそ。
いや待って。逢魔が時小学校?黄昏時小学校?意味わかんないんですけど。でも、命が危ないのは確かだ。僕は覚悟を決めて、校舎に足を踏み入れる。その時、少女がまた口を開いた。
「今から一時間数えるから。」
どうでもいいけど、少女の声はいちいち耳に響くんだよね。まずは鬼から遠い校舎の奥に行かなきゃ。いや待てよ。鬼だってそれくらいのことは考えているかも。それなら玄関付近に居たほうがいいのか?でも、それも読まれていたとしたら…。
3分間の葛藤の末、校舎の奥のほうに行くことに決めた。自慢じゃないが、こういう時の冷静さについては自信がある。それにしても、意外とこの学校は広いんだな。結構時間がかかるぞ。
時間というのは、結構あっという間に過ぎるものだ。それを今、改めて実感した。考え始めえからすぐ、校内放送が入った。
「1時間たちました。今から、捜索を開始します。」
その言葉で、ゴクリと唾を飲み込んだ。
いよいよ、始まる。
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