第6話 四人の出会い

権三はこのスレッドのやり取りが続いていくのを見て考えた。


---この人たちと会って話してみたい。自殺願望の人が集まったらどんな会話になっていくのか。できればみんなで一緒に集団自殺した方が寂しくないし手っ取り早いかも?


権三は自分のツイッターのアカウントを掲示板に書き込み、みんながフォローしてくれればダイレクトメール(DM)を送ることを伝えた。


DMで会う場所を連絡すれば集まれるかもしれない。

そしてみんなでこの世からおさらばすればすべては終わるんだ。


『ツイッターをフォローしたとの連絡をいただきました。私達は自殺願望者の集まりです。私自身、このような集まりは始めてなのですが一度集まってみませんか?自殺について話し合ってみたいんです』


この呼びかけに勇輝、玲奈、香里が集まることになった。

来週の3月8日(土曜日)午前10時、場所は渋谷の喫茶店で権三が黄色の小さなバッグをテーブルの上に載せておくのが目印だ。


当日、権三は横浜から東横線特急で渋谷に向った。

自殺願望者の集まりだ。派手な服ではおかしいかもしれないな・・・」

そう思い、紺色のジャケットにジーンズという服装にした。黄色のセカンドバッグが目立ち過ぎて奇妙に見えることだろう。電車の乗客の視線が気になる。

待ち合わせの喫茶店に着いてコーヒーを買ってから空いている席を見つけ、セカンドバッグを入り口から見やすいように机の上に置き、コーヒーを飲みながら入り口を注視していた。


まもなく待ち合わせの時間の10時になる。


そこに渋谷ギャル系の女性が入ってきた。あたりを見回して権三のバッグを見つけると頭をペコリと下げて近づいてきた。

「ん?誰かな?ミルキーか?かおりんか?あの派手な若い服だとかおりんだろうな」


玲奈「こんにちは」

権三「やぁこんにちは、かおりん?」

玲奈「いえ、ミルキーです」

権三「あ、そうなの?初めまして、よろしくお願いしますね」

玲奈「はぁい、よろしくお願いしまーっす」

権三「メッチャ元気な子だねぇ」


挨拶していると、車の絵が描かれたTシャツにジーンズの男性と首元がダラリと伸びたようなシャツを重ね着した女性がたて続けにが入ってきた。勇輝と香里である。二人とも黄色のバッグを見つけて権三に近づいて来て驚いたようにお互いに目を合わせた。


勇輝「こんにちは、初めまして、ヨタハチです」

香里「初めまして、かおりんです」

玲奈「こんにちは、ミルキーです」

権三「はい、集まったようですね、私がゴンです。さぁ座ってください」


四人はテーブルを囲んで着席し、緊張してお互いの顔を見た。

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