第3話 神田玲奈25歳

25歳の玲奈は、熊本の高校を卒業後、東京の大学に進学し教員免許を取得した。高校の先生を目指して採用試験を受けたが不合格となり、親は熊本に戻って地元で教員をするように進めたが熊本には帰りたくないため千葉で塾講師のアルバイトを始めた。

大学時代にアルバイトで知り合った男性と親に内緒で同棲していた事もあったからだ。

しかし、7年間付き合った彼は、先月、別の女性と結婚を前提にお付き合いしたいと言って玲奈の前から消えてしまった。彼と結婚するつもりで二人で蓄えた約200万円も消えていた。将来の生活設計も見えてきたところだった矢先のことだった。


「私は今まで何のために親を裏切ってまで頑張ってきたんだろう」


彼に騙されたショックは計り知れなかった。

冷静になると悔しさがこみ上げる。


「彼を見返してやりたいから彼の前で派手に死んでやる」


玲奈は同棲時代に聞いていた彼の友人宅前で張り込みを続け、ようやくアイツを発見した。深夜に友人宅から出てきたのだ。


すぐに彼を尾行した。


JR大森駅から電車に乗り、蒲田で降りた。駅から徒歩10分、比較的新しいマンションのようだったがベランダ側を見上げてみると1軒分の仕切りがかなり狭い。

彼は入り口横のエレベータに乗り込んだ。エレベータは5階でとまった。


「5階ね。今に見てらっしゃい」


マンションの周辺を一周して様子を伺い、そのまま帰ろうとした時、エレベータが降りてきて彼が現れた。慌てて物陰に隠れ様子を見ると隣には長い髪で長身の女性が寄り添っていた。


「あの人か・・・」


あの二人の前で灯油でもかぶって自殺したやるか、どうせなら二人を刺してからにするか、など考えながらこの日は帰宅した。

眠れないベッドの中で考えた。


彼の前でどうやって自殺する?やはり焼身自殺?


玲奈はネットで検索した「自殺サイト」のある掲示板にたどり着いた。

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