チーム蘭子危機一髪!

 いけない私は私の羞恥心の千分の一も持ち合わせていませんから、大股開きのままで天野天童を睨みつけます。


「今からごめんなさいって言っても遅いぞ、粗チンヤロウ。粉微塵にしてやるからな!」

 

 いけない私が気を高めます。


「ほお、さすが噂に名高い裏蘭子さんだ。惚れてしまいそうですよ」


 天童は凶悪な顔を封印し、微笑んで言いました。


「な、何だと?」


 いけない私が動揺しています。どうしたのでしょう?


「美しくて残忍で強い。最高の女性だ。貴女こそ、私が捜し求めていた人です」


 いけない私の心がいつになく混乱していました。


 暴言には滅法強い彼女も、誉められるのには弱いようです。

 

 天童はニコニコしながら私に近づいて来ます。


「いやあん、行かないで、天童様……」


 すっかり天童に籠絡してしまった親友の八木麗華が天童の足にすがりつきますが、天童は麗華を跳ね除け、私の前に立ちました。


「それで精一杯か?」


 気を取り直したいけない私は天童の股間を凝視して言いました。私は目を背けたいのにいけない私がジッと見ているので、天童のあそこが瞼に焼きつきそうです。


「いえいえ、私のモノには限界がありませんから」


 天童はニヤリとして自分のあそこを見ます。


「何!?」


 驚いた事に彼のあそこが輝き出しました。


「貴女のお望みのサイズになりますよ、裏蘭子さん」


 天童はまた微笑んで私を見ました。


「何者だ、お前!?」


 いけない私は天童の妙な力を感じたのか、飛び退いて身構えます。


「私は神に選ばれた男なのです。妊娠可能な人類の女性全てがこの私の子種を宿す時なのです」


 天童の目が狂気を帯びました。


「頭がおかしいんじゃないか、粗チンヤロウ?」


 いけない私は警戒を強めながらも更に天童を挑発します。


 彼が何を狙っているのか、見定めるつもりのようです。


「いいえ、そんな事はありませんよ」


 そう言いながら近づく天童の輝くあそこがまるでたけのこのように伸び始めました。


「げ!」


 さすがのいけない私もそれには驚き、また後ずさりました。


「どうです? これなら貴女もお気に召すでしょう、裏蘭子さん?」


 天童のあそこはすでに彼の上腕より長くなっていました。


 しかもその、そそり立っているのです! 恥ずかしい……。


 あんなものを使われたら、身体を壊されてしまいます。


 輝いているせいで、グロテスクな様を見なくてすむのは不幸中の幸いですが。


「先生!」


 脱がされた服を着終えた弟子の小松崎瑠希弥が私の服を持って来ました。


「瑠希弥、来るな!」


 いけない私が叫んだ時はもう手遅れでした。


 瑠希弥は再び天童の淫の気で籠絡され、私を羽交い絞めにしたのです。


「くそ!」


 いけない私がその馬鹿力で振り解こうとしますが、


「先生……」


 瑠希弥に首の後ろを舐められ、力が入りません。


「お前はいくら表の西園寺蘭子と違って力があるとしても、所詮身体は一緒の男を知らぬ生娘きむすめ。ちょっと誉められると動揺するところなど、表の蘭子と変わらないな」


 天童が凶悪な顔に戻り、失礼な事を言い放ちます。


 でも、本当の事なので反論できません。


「お前が出て来るのを待っていたんだよ、裏蘭子。私は気が強くて自分に絶対の自信を持っている女を屈服させるのが何よりも好きなのだ」

 

 天童は高笑いをしました。


 その間にも、瑠希弥が私の背中を舐め、お尻まで舌を這わせて行きました。


「はああ……」


 いけない私が遂に脱力しました。


 瑠希弥の舌が、いけないところを突いたのです。汚いのでやめてと言いたいのですが、それ以上にいけない私が感じてしまっています。


「ううう……」


 膝を着いて四つん這いのような格好になったいけない私を瑠希弥が更に攻め立てます。


「はああ!」


 いけない私は逝ってしまいそうです。


「おお、これはいい」


 それを見ていた天童のあそこが更に巨大化しました。


 もう物理的に不可能なくらいの大きさになっています。


「はあ……」


 いけない私は力尽き、地面に突っ伏してしまいました。


『入れ替って、もう一人の私!』


 私は必死に呼びかけましたが、いけない私は応答しません。


 強制的に入れ替ろうとしましたが、何故か拒否されてしまいます。


「表の蘭子が出て来ようとしたようだな? 残念ながら、裏蘭子は弟子の舌が気持ち良くて入れ替りたくないようだぞ」


 天童がさげすむような目で私を見下ろしています。


 ヌチャヌチャと淫靡な音をさせて舌を動かす瑠希弥。


 それにすっかり感じ入ってしまい、恍惚とした表情のいけない私。


 そして、全く「無傷」なのに何もできない私。


 更に天童に籠絡されたままでニヤけている麗華。


 三人がかりでこんな状態になると誰が予想したでしょう?


「さて、もう準備完了ですね、裏蘭子さん。更なる桃源郷にご招待しますよ」


 天童はうつ伏せ状態の私の身体を四つん這いにさせます。


 もしかしてこれは……?


「貴女はその次です、瑠希弥さん」


 天童は微笑んで告げました。


「はい、天童様」


 光を失った目の瑠希弥が応じました。


「さあ、楽しみましょうか」


 天童が私の腰をグイと引き上げます。


 ああ、まさか、そんな……。こんな形で初体験なんて、絶対に嫌です!


『瑠希弥、助けて、お願い!』


 私は全神経を集中させ、瑠希弥に呼びかけました。


 天童に操られているとは言え、心の奥底までは縛られていないはずです。


『先生、申し訳ありません、今お助けします!』


 何とか瑠希弥の心の底に呼びかけが届いたようです。


『オンマリシエイソワカ』


 瑠希弥は身の内に摩利支天真言を放ち、天童の縛りを吹き飛ばしました。


「何?」


 天童は瑠希弥が淫の気の縛りを吹き飛ばしたのを感じ、私から離れました。


「ほお、一族全てが名高い霊媒師の家系の小松崎家の者だけの事はあるな。よく私の淫術を解いた」


 天童は輝く股間のモノを瑠希弥に向けて言いました。


「瑠希弥……」


 いけない私がほんの少しだけ顔を上げて瑠希弥を見ました。


「ウチの家の事を知っているの?」


 瑠希弥は身構えて天童を睨みます。


「知っているとも。我が天野家こそ、小松崎一族の源流なのだからな」


 天童が衝撃的な事を言いました。瑠希弥は唖然としています。


「お前達小松崎一族は、我が天野家の下働きに過ぎん存在だったのだ。それなのにこの私に逆らうのか、小松崎瑠希弥!」


 天童の気が爆発的に膨れ上がり、瑠希弥を圧倒しました。


「下僕なら下僕らしく、我が子種を宿して我が子を産め!」


 天童が瑠希弥の迷いの隙を突き、彼女を押し倒してしまいました。


「それが天命なのだ、お前達の!」


 天童は瑠希弥の服を引き裂き、プルンと飛び出した乳房を乱暴に揉みました。


「いやあああ!」


 瑠希弥の絶叫が辺りに木霊します。


「いくら叫んでも誰にも聞こえない。ここは人里離れた場所だからな!」


 天童はニヤリとして暴れる瑠希弥を押さえつけます。


 そんな天童と瑠希弥を只見ている事しかできない私。


 相変わらずヘラヘラ笑っている麗華。


 ごめんね、瑠希弥。貴女に助けを求めたばかりに、貴女がそんな目に……。


 私は心の中で涙を流して瑠希弥に詫びました。


『先生、そんな風にご自分を責めないでください』


 天童に必死に抵抗しながら、瑠希弥が私を気遣ってくれました。


『瑠希弥……』


 でも指一本動かせないのです。助けに行けないもどかしさで、私はどうかしてしまいそうでした。


 とうとう瑠希弥はパンティも剥がされてしまいました。


「さあ、天野家の子を宿すのだ、瑠希弥よ!」


 天童の股間のモノが瑠希弥に迫ります。


「何だと!?」


 その天童に向かって、まさしく突風のような気の塊が迫り、彼を遠くへ跳ね飛ばしてしまいました。


「ぐう……。何だ、一体?」


 近くの花壇に叩きつけられ、頭を振りながら天童が起き上がります。


「ボクの大切な瑠希弥さんに手を出す奴は絶対に許さない!」


 そこには暴風のような気の流れを身に纏った柳原まりさんがセーラー服のスカートをはためかせて立っていました。


 怒りで目が吊り上がっています。


「ガキが……。お前も我が子を宿すか?」


 天童はまりさんの美しさにニヤリとし、舌なめずりしました。


「瑠希弥さん、大丈夫ですか?」


 まりさんが瑠希弥に一番に駆け寄ったのを何となく嫉妬してしまう私。バカです。


 でも、まりさんもあいつの毒牙にかかってしまうのではないかしら?


 それにしても、どうしてここがわかったの?


 いろいろ疑問です。


 


 西園寺蘭子でした。

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