第2話 おじいさんとの出会い

一休みして公園を出ようと走り出した時、小さな男の子が自転車の前に飛び出して

きた。


「キキー」


自転車は急ブレーキをかけ男の子の目の前で止まった。

男の子の母親が慌てて男の子をかかえて「ごめんなさいね」と言って公園に戻って

行った。

翔太は心臓がドキドキしたが、それは子供を轢きそうになったからじゃなかった。走り出した時、よそみをしていて子供に気づかずブレーキをかけていなかった気がしたからだ。


「どうして止まったんだろう」


でもすぐに翔太は自分を納得させた。


「とっさにブレーキかけていたんだろう」


公園を出て道路の歩道をゆっくり走っているとペダルが急に重くなった。


「あれれ?どうしたんだろう」


自転車を停めてタイヤを見ると前のタイヤがパンクしていた。


「うわーどうしよう」


翔太が困ってパンクしたタイヤを眺めていると一人のおじいさんが声をかけて

きた。


「パンクしちゃってるね、坊や、家は近くかい?」

「家は隣の町です」

「そうか、それは大変だ、おじいさんの家はすぐそこだから家でパンクを直して

 あげよう」


そう言っておじいさんは自転車を引いて歩きだした。翔太は下を向いてついて

行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る