おじいちゃんの自転車
ジャッキーとしお
第1話 おじいちゃんの古い自転車
翔太は家の庭にある物置に古い自転車があることを小さい時から知っていた。
とても翔太には乗れない大きさだったので何も気にとめていなかった。しかし翔太が12歳になった頃、お母さんに聞いて見た。
「お母さん、物置の自転車に乗ってもいい?」
「あなたは自分の自転車があるじゃない。あれはもう古いから乗れないんじゃない
かな、あれはおじいちゃんが亡くなるまでずっと乗っていた自転車なのよ。
もし翔太が乗りたいのならパパに直してもらったらいいね」
日曜日にパパが自転車を物置から出して修理してくれた。
「タイヤはパンクしていたし、チェーンは錆びていたけれどこれで大丈夫だよ」
翔太はきれいになった自転車に乗ってみた。
「すごく乗りやすいよ、パパ」
ペダルが軽くてハンドルも持ちやすかった。翔太は少し大人になった気分になって
近くの公園までペダルをこいだ。
翌日、翔太はおばあちゃんがいる施設まであの自転車で行くことにした。おばあちゃんに自転車を見せてあげたかったからだ。
「気を付けていくんだよ」
見送ってくれたお母さんに手を振って翔太はペダルをこいだ。おばあちゃんがいる施設までは30分くらいはかかるだろう。
おじいちゃんの自転車は自分の自転車よりも大きいので乗りながら見える景色も違って見えた。
途中のコンビニでジュースを買いトイレを借りてからまた走り出した。
大きな公園があったので翔太は自転車を停め、ベンチに座ってジュースを飲んだ。
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