第25話 魔王
「おばあちゃん!!」
エントランスに戻ると、おばあさんがうつ伏せに倒れている。
「クラン、か……」
クランが近づき、おばあさんを抱きかかえる。
「しっかりして、おばあちゃん!!」
「クランどけ。回復すればまだ助かる」
そう言って回復魔法を唱えるサニーは、すぐに限界を迎えて倒れる。その体をシレーナが支える。
「大丈夫?」
「……大丈夫や」
そう言ってサニーは腰に付いたポーチから、オレンジ色の液体が入った小瓶を取り出して飲む。
その時、爆発音と共に館が大きく揺れる。
「あっ……」
クランが窓の外を指さす。先ほど復活した魔王が城の方へ飛んでいく。どうやら先ほどの音は、封印されていた部屋を破壊した音のようだ。
「あかん。早よおばあさん治して城に戻らな」
そう言っておばあさんに回復魔法をかけるサニー。勢いの良かった薄緑色の光は、すぐに弱々しくなっていく。
「とりあえずこれでオッケーや」
「エルヴァの娘よ、ありがとう」
「かまへんて。それよりこれから戻って魔王討伐か。しんどいなぁ……」
立ち上がり、額から流れる汗を拭うサニー。そしてもう一本小瓶を取り出して飲む。
「今から歩いて戻っても間に合わんな。四人乗せて飛べってことか……冗談キツイわ、ホンマ」
ぶつぶつと一人言を言って肩をすくめる。
「ほら杖貸してーな」
シレーナから杖を奪い取るように借りて跨がる。本気で飛ぶつもりだ。
「ほら、はよ乗り」
そう言って俺たちを急かすが、誰一人乗ろうとしない。消耗しきったサニーが四人も乗せて、空を飛べるわけがない。
「クラン、これを使いなさい」
おばあさんは俺たちが乗ってきた、薄汚い箒をクランに渡す。
「それは……」
シレーナは驚き、
「嘘やろ……」
サニーは跨っていた杖を落とし、
「これ、スカイハイ……」
クランは箒を受け取り、驚いた表情のままおばあさんを見る。
「なんでそんな物、クランのばあさんが持ってるねん」
「ウチに代々伝わっている物での。クラン、これでお前も飛ぶのじゃ」
「でもおばあちゃんは……」
「安心せい。エルヴァの娘のおかげでだいぶ回復できた。もう少し休んでからゆっくりと歩いて帰る。魔王を倒すのは、お前たちにしかできんじゃろう?」
「……わかりました。おばあちゃん、また後で会いましょう」
「うむ」
おばあさんがクランに笑顔を向ける。
「クラン、空飛ぶならこれ飲み」
サニーはそう言って、オレンジ色の液体が入った小瓶を渡す。
「それ、なんなんだ?」
「魔力を回復させる薬や」
「そういえば、サニーって薬屋が本職だったな」
「なんや、今まで忘れとったんかい」
そう言って俺を小突くサニー。
「すごい、魔力があふれてきます……」
「でも無茶したらあかんで。一時的なもんやさかい」
「わかりました」
「ほな行こか」
サニーを先頭にして、俺たちは外に出る。
(一雨来そうだな……)
先程まで雲一つなかった空は、分厚い雲に覆われている。この世界に来て長いが、こんなに天気が悪い日は初めてだ。
「ダイスケさん、乗ってください」
「おう」
俺は行きも乗ってきたボロボロの箒に跨がる。
「じゃあシレーナはこっちやな」
「お邪魔するわ」
「ところでクラン。あんたちゃんと飛べるんかいな?」
「わかりません」
「え?!」
自信満々にそう言い切るクラン。
俺が「降りる」と言う前に「いきます」とかけ声をかけて、地面を蹴る。右へ左へバランスを崩しながら、なんとか木の高さまで浮き上がる。
「意外とできました」
ぶれることなく、まっすぐ上がってきたサニーに笑顔を向けるクラン。
「ほならまっすぐ行ってみ」
「ちょっと待って」
箒を前に傾け始めたクランをシレーナが止めて、防御魔法をかけてくれる。
「これで落ちても大丈夫よ」
「大丈夫です。絶対に落ちませんから」
クランが不安になる自信を見せる。おばあさんの時も怖かったが、やはりクランの方が数十倍怖い。
「……サニー、もう一人乗れるか?」
「残念ながら定員オーバーや」
そう言って手を振るサニー。サニーもシレーナも、とても楽しそうな顔をしている。
「クラン、任せたぞ……」
ここに味方はいない。ならば自分の身を全力で守るしかない。俺は全力でクランにしがみつく。
「はい。行きます!!」
クランが箒を前に傾け、魔力を込める。その瞬間、体が吹き飛んでいくほどの加速が俺を襲う。
(いやいや速い速い速い!!)
少しでも力を緩めれば、吹き飛ばされるほどの速度で空を駆け抜けるクラン。サニーと空から落下した時よりもさらに速い。少しでも気を抜いたら、俺の体は宙に投げ出される。俺はすべての筋肉を使ってクランに抱きつく。
速度を落とすために箒を少し上げるクラン。すると急ブレーキが掛かり、今度はクランごと前に吹き飛ばされそうになる。
「く、クラン……。も、もうちょっとゆっくり……」
別に激しい運動をしたわけでもないのに、心臓がむちゃくちゃに跳ね回る。
「す、すいません…… 」
「やっと追いついたわ」
サニーが俺たちの横に並ぶ。
「さすがスカイハイ。速さに関しては天下一品やな」
「サニーさん、どうやったら上手く飛べるんですか?」
「う~ん。スカイハイはめっちゃピーキーって聞いたことあるさかい。初心者にはちょっときついかもな……」
ペーパードライバーになんてものを渡しているんだ、あのばあさんは……。
「う~ん。クラン、箒に魔力を送るんやのうて、箒から魔力引き出してみ?」
クランは疑問符を浮かべるが、言われた通りに魔力を引き出す。するとゆっくりと箒が進み始める。
「できました!」
「速さはかなり落ちるけど、その方が動かしやすいと思うわ。ほないこか」
先ほどよりもはるかに遅い速度で、でもおばあさんよりも少し速く空を飛ぶ。
焦る気持ちが勝つクランは、徐々にスピードが上がっていくが、サニーがそれを制止する。それを何度も繰り返し、ようやく町が見えてくる。その中心。ちょうど城の前に魔王が見える。城の魔法使い達が魔王を囲んで応戦している。応戦している数と同じか、それ以上に倒れている人がいる。
「ダイスケ、クラン! ちょっと時間を稼いでくれ」
「どうしたんだ?」
「城に忘れ物取りに行ってくる。ええか、ウチらが戻るまで絶対無理するなや」
そう言ってバルコニーに降り立ち、シレーナに連れられるようにして、二人は城の中に消えていった。
「なんだろ?」
「わかりません。とにかく私たちは加勢しましょう」
俺とクランは戦っている魔法使いの少し後ろに降り立つ。
「ふははははっ!! お前たちにこの俺は倒せんわ!!」
そう言って近くにいた魔法使いを殴る。防御魔法がかかっていたため最悪の事態はを逃れたが、大きく吹き飛ばされて動かなくなる。
無防備にゲラゲラと笑う魔王の背中に、大きな炎の球が当たるがびくともしない。
(こいつ、物理攻撃型なのか……)
プロクスの時に感じたが、この世界ほど物理攻撃が猛威を振るう世界はない。それに加えて魔法攻撃が効かないとなればまさに無敵だ。
魔王は立ちふさがる魔法使いたちを軽々と薙ぎ払っていく。
「弱い! 弱すぎるぞ人間ども!!」
高笑いする魔王の瞳が俺を捉える。
「ほぉ……。貴様はこの世界の人間ではないな」
「そうだ」
「ならば貴様が憎き勇者か。残念だな。俺は封印を解き、こうして復活した」
天に向かって大きな雄叫びを上げる魔王。ビリビリと空気が震え、遠くで雷が鳴る。
「どうした、恐怖で声も出ないか?」
「……正直な話、その通りだ。でもさ、これほど強いお前はどうして封印されたんだ?」
「くくくっ。冥土の土産に教えてやろう」
そう言って語りだす魔王。
俺の後方には、魔法使い達の陰に隠れて、魔法を詠唱しているクランがいる。時間を稼げば稼ぐほど、クランの魔法の威力は上がる。サニーとシレーナが別行動をしている以上、これしか有効な攻撃方法はない。
久しぶりに話せたことが嬉しかったのか、思ったよりも長かった魔王の話を要約すると、封印された時代の魔法使いは今よりも強く制圧に手こずり、さらに人魚たちが裏切りで多くの手下が倒されてしまう。そしてそれらを的確に指示した勇者の采配に絡め取られ敗北し、あの棺桶の中に封印されたらしい。
その後、何度も封印を破る寸前までいったが、その度に勇者とその仲間に妨害されてきたそうだ。
「だが残念だな勇者よ!! 俺はこうして復活した!! この世界の王になるために!!」
「そうか、それはよかった」
俺は右手を後ろに回し、クランに合図を送る。刹那、鉄をも貫く水撃が、油断しきっていた魔王の分厚い胸板に直撃する。
大きく仰け反った魔王はそのまま倒れるかと思ったが、ギリギリで踏みとどまった。
「ぐぅ……。さすがに今のは効いたぞ……」
しかし魔王の胸に傷跡はない。
クランは間髪を入れずに二撃目を放つ。しかし魔王はそれをあっさりと避け、俺たちに接近してくる。
「ラクス・ネブラ!!」
クランがそう叫ぶと、一里先も見えないほどの濃い霧が辺りを包む。
「ダイスケさん、こっちです」
後ろからやってきたクランが俺の腕を引っ張る。クランはこの霧の中でも辺りが見えているようだ。
「クラン、大丈夫か」
「はい……。なんとか」
荒い息を吐くクラン。先ほど封印を行い、空を飛び、そして全力で魔法を使った。薬を飲んだとは言え、もう体は限界を迎えているはずだ。
「浅はかだな! 勇者よ!!」
大きな羽の音と共に、霧が吹き飛んでいく。
濃霧のお陰で魔王との距離は少し稼げたが、それ以外はなにも変わっていない。
「あ~はっはっは! 終わりだな、勇者よ!!」
俺はクランの前に立ち、無言で構える。
「ほぅ。俺と素手でやり合おうと言うのか。魔法の加護がないお前など指で一撃だ。やめておいた方が良いぞ」
「忠告ありがとう。なぁ、弱い者いじめなんてやめて、元の世界に帰ってくれないか」
「それは無理な相談だ」
そう言って魔王が近づいてくる。二メートルは優に超えた筋肉質の男だ。その威圧感に、思わず後ずさる。
「おいおい勇者、腰が引けてるぞ」
どう考えても勝てる相手じゃない。でも俺がやらなければ……。そう思っている間に、魔王が丸太のような太い腕を振り上げる。
「顔を下げてください!」
クランの声に反応して頭を下げた刹那、クランの甘い匂いと、この世のものとは思えないほど柔らかいお餅が俺の背中に当たり、体が分裂するんじゃないかと思うほど一気に上昇する。
「危なかったですね……!!」
一息吐く間もなく、今度は急降下するクラン。思わず舌を噛みそうになる。
見上げると、魔王が腕を振るったあとだった。
「逃げていても一緒だぞ? ほれ、攻撃してみろ」
大きく手を広げて挑発する魔王。
クランは残り少ない魔力を上手くやりくりし、魔王の攻撃を避ける。しかし目に見えて速度が遅くなっていく。魔王もクランが消耗していることをわかっているようで、弱っていくクランをいたぶるために、わざと攻撃を当てない。
クランの動きが鈍るにつれて、魔王の攻撃が掠める回数が増える。そして魔王の笑みがどんどん嫌らしくなっていく。
「クラン、無理せずに降りろ」
「ダメです。降りたらそれこそ避けられません」
「なら俺が魔王に飛びかかる。そのタイミングでどうにかしてくれ」
「無茶です。魔法も使えないのに横着しないでください」
「こそこそと何の相談だ?」
とつぜん魔王が目の前に現れる。
「これで終わりだな」
拳が振り上げられる。「避けられない」そう思ったが、魔王の攻撃が俺たちに当たる事はなかった。
「え……」
「全員出撃!!」
生き残っていた魔法使い達が、魔王に向かって攻撃魔法を唱える。
「くそっ、雑魚どもが……」
「勇者様たちを守るんだ!!」
「命に代えても魔王に攻撃させるな!!」
「いくぞ!!」
それぞれ何か叫び、魔法で魔王を攻撃する。加勢してくれているのは、最後の魔法使い達だろう。
流石の魔王もこれだけ手数が多いと、攻撃に転じられないようだ。避けて防いでを繰り返している。
「ダイスケ! クラン!」
サニーとシレーナが俺たちの横に並ぶ。
「サニー! 今までどこに!!」
「すまんちょっと調合してた!! これ飲み!!」
そう言って手に収まるサイズの小瓶を渡される。中にはミカンの皮が腐ったような色の液体が入っている。
「……これ、飲むのか」
「さっさと飲み。魔王がひるんどる今しかチャンスはないで!」
俺とクランは目を見合わせてから、一気に飲む。えげつない味がするかと思ったが、ほぼ無味無臭で喉越しも悪くなかった。
「あれ……」
「どうしたクラン」
「魔力が湧いてきます」
そう言って水の球を辺りに浮かべるクラン。
「すごいやろ。即席の超高性能の回復薬や。ダイスケのはシレーナの強化魔法を組み込んだ、筋力アップの薬や」
サニーが親指を立てる。
「さて、魔王を封印するわよ」
「どうするつもりだ?」
「私たちの魔力じゃ、致命傷を与えないと魔王は封印できない。だからいつも通り、クランの一撃にかけるしかない。クラン。あなたに限界まで強化魔法をかけた後、私の魔力を注ぎ込む。それを全て使って、一撃で魔王を沈めるの」
「それじゃうちらは陽動やな」
「ええ、お願い」
「シレーナ。そんなことして大丈夫なのか?」
「……わからない。自分のキャパを越える魔力を扱うクランは当然として、魔力を使い果たす私も、揺動するダイスケもサニーも、命の保証は出来ないわ」
「大丈夫です。ダイスケさん、私、絶対に魔王を倒して見せますから」
「クラン……」
「もちろん命を捨てるつもりもありません。大丈夫です。私、タフですから」
クランの瞳は今まで最も美しく燃えている。しかしそれが最後の炎じゃないかと、燃え尽きてしまうのではないかと、俺は気が気でない。
「よし、決まりや! うちとダイスケと下におる連中で搖動や。ほら、こっちに飛び乗れ」
「え?」
「大丈夫やて、シレーナが強化魔法かけたら、落ちても死なんて」
「はいはい。でもダイスケ、落ちないようにね」
「わかってる」
シレーナは何重にも防御魔法をかけてくれる。
俺はシレーナの杖に足をかけて慎重に乗り移る。俺が乗ったあと、シレーナは俺と同じ要領でクランの箒に乗る。
「よし、これでオッケーや。ほなら行くでダイスケ!」
「おう!!」
俺たちが話している間に戦況は変わっていた。魔王が魔法使いたちを薙ぎ払い始め、残っている魔法使いは十人ほどになっている。
サニーは魔王に近すぎず遠すぎずの距離をとりながら、攻撃しようとする魔王の気を散らす。
三階のバルコニーを見ると、クランが魔法を溜め始めている。人魚の湖で見た五つの魔方陣が、ゆっくりt青色に染まっていく。
あの時は攻撃の寸前で大蛇に飛びかかられたが、俺がクランを抱き抱えて事なきを得た。
しかし今回、俺は傍にいない。何かあっても、助けてあげられない。
「クランが見つかったら終わりやな」
「……そうだな」
魔力を少しでも多く充填するために、防御壁は最低限の数枚だけだ。魔王の攻撃を防ぐのは厳しい。
クランもシレーナも、俺たちのことを信じて詠唱に集中している。もし魔王が二人の元に向かったら、その時点で負けが確定する。
クランの背中の魔法陣が二つ目に入る。一個溜めきるのに大体三分くらいだ。あと十二分。
しかし戦況は刻々と悪くなっていく。どんどん魔法使いがやられていく。あと五分も持たない。そう思った時だった。
「三十路童貞勇者ダイスケ! 加勢に来たわよ!」
聞き覚えのある声が聞こえた方を向くと、俺が最初に泊まった宿の女将が立っていた。そしてその後ろには、二十人ほどの魔法使いがいる。各自散開し、魔王を攻撃する。
「女将さん!」
「話はあとね。とにかく、魔王を倒すわよ」
三十人ほどとなった魔法使い部隊の攻撃は間断なく続き、魔王が強引に攻撃に転じようととすれば俺たちが飛び回り注意を逸らす。
魔王はなかなか的が絞れず、かすり傷にもならない小さなダメージをひたすら与えられることで怒りが溜まり、暴れるようにして拳を振り回す。どうやら正常な判断が出来ていないようだ。
暴れまわる魔王にクランの姿は見えていない。最後の魔方陣も四分の三ほど青色に染まっている。もうすぐだ。俺は勝利を確信した。
その時、魔王の口元がニヤリと歪んだ気がした。
魔王は地上にいる魔法使いを狙うと見せかけて、急旋回し、三階のバルコニーにいるクランとシレーナに向かって走り出す。そして驚異的なジャンプでバルコニーを襲う。
俺たちを信じて、目を閉じて詠唱するクランには魔王の姿は見えていない。シレーナは魔王に気が付いたようだが、もう魔力を注ぎ込み終わって力がでないのか、地面に座ってただ魔王を見ているだけだ。
「ウチに任せとけ!!」
サニーが恐ろしい速さで空を飛び、魔王の真横に体当たりをする。しかし魔王はそれも計算済みだったようで、俺たちの体当たりを躱し、跨がっている杖の後端を握る。そして大きく振りかぶる。このまま杖ごと投げてクラン達に当てるつもりだ。
(ここだ!!)
体が勝手に動いた。
俺は魔王に向かって飛びかかり、左の頬に渾身の右ストレートを叩きこむ。サニーの薬の効果で、極限まで力が上がっていた俺の一撃は、魔王の頬を激しく打つ。
「くっ、人間ふぜいがぁ!!!!」
しかし魔王は俺の拳程度では倒れない。今度は魔王の拳が俺の左頬を激しく打つ。一瞬で視界が真っ白になる。意識が飛びそうになるが、俺がしないといけないことはクランに指示を出すことだ。このタイミングなら、確実に魔法が当たる。
「クラン!!」
気合だけで視界を元に戻し、俺はありったけの力を込めて叫ぶ。
「はい!! ウェルテクス!!」
大きな水龍が俺の横を通り過ぎ、魔王を一飲みにする。
「くそがぁああぁあぁぁっっ!!」
龍に飲み込まれた魔王の絶叫が辺りに響く。
水龍がはじけると、魔王はその姿を消していた。
(魔王を、倒したのか……)
はじけた水龍の水分が雨となって降り注ぐ。
魔王の姿はどこにも見えない。クランの一撃で倒してしまったのだ。
(……ありがとう。それとさようなら。クラン、サニー、シレーナ)
その光景を見届けた俺は、かろうじて繋がっていた意識を切り離し、落ちていく感覚に身を委ねた……。
★ 次のULは 7/24(月) 19:00 を予定しております。
UL情報などはツイッターにて報告します→@mirai_pretzman
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます