第7話 兄弟
アレクは左目に手を当ててその男を睨み付けた。
『お前!何なんだよ!いきなり斬り付けて来て兄貴だと?信じられるか!』
それよりもセブンとキャロットはどうなった?アレクは不安になり辺りを見回した。
いた。
男の後にいたが二人とも平然としていたがセブンが口を開こうとした…
『アレク…この人は…』
刀がセブンの言葉を遮った。
『セブン様、この話は自分の口からアレクに話します。すいません。』
キャロットも頷いた。
『わかったわ。貴方にこの場は委ねます。』
『ありがとうございます。』
男はフードを取った。綺麗な蒼い髪をしていた。
『俺はジーク、ジーク セイランだ。そしてお前の名前はアレク…アレク アンドレアス。俺達は腹違いの兄弟だ。そして…』
アレクは床に落ちた左目に目をやった。
『こいつがお前を狂わせ、記憶を改ざんした元凶だ!』
ジークは左目を刀で凪ぎ払った!
『ジーク…兄さん…目…両親…生きてる。俺はアレク…アンドレアス。アンドレアス博士の息子…博士!父さんは!』
アレクは記憶を僅かだが思い出した。
『アレク…すまなかったな。手荒な事をしてしまった、許してくれ。今は父さんの事は考えるな心配するな…俺が何とかする。昔からお前は俺が守ってきた…今度こそ必ず守りきってみせる…』
アレクは右目から涙が出ていた。小さい頃に離ればなれになり大きくなってやっと再会した兄の記憶を思い出したからだ。
『兄さん…俺…ずっと忘れていた…何もかも。大好きだった家族の事さえも。』
ジークは静に答えた。
『アレク…俺も家族が大好きだったよ。今もな…』
『話は終わったか?』
部屋に入って来たのは総統だが初めて会った時と何か違う事に気付いた。
女性の様に綺麗だった男だったはずが今は男にしか見えない。
『えっ?どうなっているんです?これは…総統は…確かに…』
アレクは戸惑った。
『関わった人間に関する全てを隠ぺいする道具…君の左目に埋め込まれていた物だ。』
総統は答えた。
『アレク…私からも話しておきたい事がある。聞いてくれるかい?』
それはとても穏やかな声だった。どこか懐かしささえ覚えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます