第6話 再会
アレクは目を覚ました。
随分長い間眠っていたようだった。
ふと横を見ると黒い毛玉が丸まっていた。
『ふぁ~あ、おはよう。アレク!よく寝てたね?』
『キャロットか、おはよう。ごめん俺気を失ったのかな。』
『色々あったからね~一度頭の中を整理したら良いよ?ニャハハ。』
アレクは左目がズキンズキンする気がした。
誰かに見られている?
ドアの方へ目をやると小さな椅子に腰かけて寝ている少女がいた。セブンだ。
『そうだな。俺は自分の事も皆の事もまだ何も知らない。ちゃんと話さないとな。』
『皆、君の事は心配していたよ。僕もだけどね。ニャハハ。酷くうなされていたよ?大丈夫かい?』
『ありがとうキャロット。』
『勿論だよ!ニャハハ。』
『うん、あれ?アレク!起きてたの?体は大丈夫?』
セブンが目を覚まして聞いてきた。彼女自身も疲れているはずが始めに俺を気づかってくれた。
『ありがとうセブン。これから時間あるかな?俺、ちゃんと自分の事を話したいんだ。仲間なんだよな?俺達は?』
『うん、仲間だよ。話してあなたの事を私たちに。』
少し間を空けてアレクは話し出した。
『俺の名前はアレク火星に来る為に左目に手術をした…』
アレクは体を震わせながら言った。
『これしか覚えてないんだ…家族や地球の事やもっと他にも大切な事は沢山あった筈なのに…』
アレクの目からは涙が出ていた。
『アレク…覚えてなくて当然なの。』
セブンが答えた。
『セブン。その話は僕から…』
キャロットの言葉を手で制してセブンが続けた。
『火星に来る者達は皆記憶を書き換えられているの。全て政府の都合の良いように。でも、貴方は違った書き換えられたのでは無く消された。』
キャロットも答えた。
『怖がる事は無いよ?実は僕たちも一緒なんだよ。記憶を消されて何らかの手術をされている。アレクの場合は特殊だけどね?ニャハハ!』
アレクは不意に寒気、いや殺気のような物を感じた、ドアの方だ。
『セブン!危ない!』
自分の体がついてかない、ベッドから転がり落ちながらアレクはドアの方を見た瞬間にアレクの左目が床にゴトンと音をたてて落ちた。
『あっあぁ、俺の目が…』
アレクは恐る恐る顔を上げた。そこには黒いフードを被った鋭い目付きの男が刀をかざして立っていた。
男は言った。
『久しぶりだな。アレク…いや弟よ。』
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