第2話 動き始めた運命

アレクの眼前には小柄で黄金色の髪の少女がいた、歳はまだ幼い子供の様だがその瞳には強い意思のような物を感じた。

しかし、今その少女に襲い掛かかろうと言わんばかりの武装した男達が彼女の目の前にいた、少女は胸元に何かを抱え込んでいるように見えた。

『これはあなた達のような輩に扱える物ではない!下がりなさい!』

少女は言った、しかし男達は笑いながら少女に歩み寄る。

『大人しくそれを渡すんだ!渡しさえすれば貴女の身柄は自由になる。さぁ!早くそれを!』

男達は、焦っているようにも見えたがアレクは勢い良くその男達の中の一人に殴りかかった。

カァーン!と言う金属のぶつかり合う音が響く!

『何だ!貴様は!』

どうやら服の下に何か着けているようだった。

『チッ!』

アレクは殴りかかった勢いで少女の前に出た。

『貴方は何者ですか!?一般人が何故こんな所に?』

アレクは咄嗟に嘘をついた。

『女の子一人に大人げないんじゃないですか?俺が相手になるぜ!』

『一般人が我々軍の相手をするだと?バカめ!相手が悪かったな小僧!』

男達のリーダーらしき男が腰の剣を抜き放った!

アレクもこれを受け流そうと手にした鉄パイプを突き出した!

しかし、男の剣から急に大きな焔が上がりアレクを鉄パイプごと貫いた。

『ガハッ!何だ…それは…』アレクは口から大量の血を吐いた。

男の剣はアレクの胸に穴を開けていた。

『身の程を弁えていれば命は助かったものを。』

アレクの意識はどんどん遠退いていく。

そんな意識の中で後ろから少女の声がした。

『貴方は死ぬのですか?』

単調な何処か機械じみた口調のようだった。

アレクは崩れ落ちながら、

『すまない…な…助けられなかったよ…』

アレクはもう動けなかった。

薄れ行く意識の中、急に光に包まれアレクの体は光の中に吸い込まれた。

『貴方は私と契約を交わしますか?』

少女の声だ。

『私は貴方に命を与えます。代わりに貴方はその身を私に捧げなさい。』

少女の言っている意味を理解するまでに不思議と時間はかからなかった。

『わかった。お前にこの身を捧げよう。』

『契約成立ですね。では、再び立ち上がりなさい。』

アレクは目映い光に包まれて再び男達の前に出た。

『何だ!傷が無くなっているだと。』

『これが巫女の力か⁉』

男達が何か騒いでいる。

アレクは自分の身体に目をやると胸元に黒色の鉄の玉が埋め込まれていた。

『何だ!これは?!』

少女は答えた。

『スチームコア。』

『貴方の命、そして、世界を変える力。』

アレクは少女の方を見て驚いた。

少女の胸にも同じ物があったのだ。

『世界を変える力…』

アレクは呟いた。

『面白い…やってやるよ。君と一緒に世界を!』



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